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日本経済新聞社編「ユーロが危ない」
この本は数日前に読み終わっていたのですが、ブログにアップするのが遅くなってしまいました。最近は、備忘録としてまとめるテキスト入力に時間が割けない事が多いんです(言い訳)。でも、なんとか月3冊をキープできています。今後もこのペースは維持したいと思っています。



●今回のユーロ危機は、欧州の実像を浮き彫りにしました。通貨は1つなのに財政政策がばらばらという欠点、通貨マルクを捨ててまで欧州統合を進めたドイツ国内の複雑な心境、南北問題と呼ばれる域内の経済格差-。市場拡大の恩恵で高い成長を謳歌し、地球環境問題など外交面でも世界をリードする力をつけたことで覆い隠されていた欧州の様々な構造問題が一気に噴出した感があります。~(中略)~ユーロ危機を目の当たりにし、英国ではユーロ導入賛成派の声がほとんど聞こえなくなり、中・東欧の予備軍の中にも導入へのためらいが広がっています。(p.5)

●欧州中央銀行(ECB)もこれまで「タブー」としてきたユーロ導入国の国債を市場から買い取る方針を示すなど、危機を封じ込めるためにはなりふり構わない姿勢を見せたことで、「少なくともギリシャが債務不履行(デフォルト)に陥る懸念は遠のいた」との見方が少しずつ広がりだした。(p.21)

●一方、ユーロ圏諸国の間では、ギリシャ危機が拡大した理由の1つとして、投機筋による「売り浴びせ」が危機を増長させたとの疑念も根強い。ギリシャ国債が債務不履行になった際に損失を補償する金融商品であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を売り浴びせることで、現物のギリシャ国債の値下がりを促し、それが危機を拡大させたという主張だ。もちろん「売り浴びせ」を狙った投機筋もいたが、市場が危機を増幅したという「市場悪玉論」にデリバティブ(金融派生商品)の業界団体、国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)は明確に反論する。(p.22)

●2010年7月23日、英国の夏時間の午後5時(日本時間24日午前1時)。世界中で市場関係者、金融当局、マスメディアがあるウエブサイトをにらんでいた。欧州連合(EU)各国の銀行監督当局の連携組織である欧州銀行監督委員会(CEBS)のホームページだ。EU域内の91の銀行の資産査定(ストレステスト)結果が5時に発表される予定だったが、5時が過ぎてもトップページに変化は見られない。ようやくA4版55枚分の結果概要が載ったのは5時10分ごろ。「CEBSが結果発表」「不合格は7行」。~(中略)~ストレステストとは、経済成長や市場環境が予想外に悪化しても耐えられる十分な資本を銀行が持っているかを調べるのが狙い。(p.44)

●中核的自己資本比率が6%未満の不合格は7行にとどまる一方、6.0~6.5%の合格ぎりぎりの水準にイタリア、アイルランド、ドイツ、ギリシャ、スペインの10行以上がひしめいた。査定基準はCEBSがつくる一方、実際の検査は各国の銀行当局が手掛けたため、「自国の銀行の競争力が落ちないよう手加減したのでは」と疑う声もある。(p.54)

●ストレステストの発表後、各銀行の開示情報をもとに世界のアナリストが欧州銀の「再テスト」を始めた。例えば短期売買目的のギリシャ国債に適用した価値下落リスク23.1%を満期保有目的のギリシャ国債に適用しただけで、「ギリシャの民間銀5行が追加で不合格となり、91行全体では220億ユーロの追加損失が出る」(みずほ総合研究所)。(p.57)

●実はギリシャには、短期間で実際の財政赤字のデータを大きく修正した前科がある。04年の政権交代時にも過去にさかのぼって財政赤字を修正し、それまでの政権が財政データを虚偽申告する「粉飾」があったと発表している。01年のユーロ導入の際の条件を満たしていなかったことになる。(p.61)

●なぜギリシャはIMFカードを振りかざすようになったのか。真相はヤブの中だが、ドイツ国内でギリシャ支援に反対論が強いなか、あえてEUの嫌がるIMFへの支援要請をちらつかせることで、ドイツの態度軟化を促した可能性がある。ユーロ圏にIMFが支援するということは、「ユーロ圏で起きた問題をユーロ圏自らが解決する能力がないことを示す」「EUはIMFの干渉を受けざるを得なくなる」とかねてEU内で反発が強かった。「IMFを使うぐらいならEUで支援を」とギリシャが瀬戸際外交に出た公算が大きい。(p.75)

●「ギリシャは約束を破った」。ドイツ人がよく口にするこの文句はその限りで正しい。だが、ドイツにも、EU共通の財政ルールである安定・成長協定を破った前科がある。2002年から05年にかけて、安定・成長協定違反を繰り返したうえ、制裁を発動しないようにEUのルールを緩和させたのは、ほかならぬドイツだった。ドイツの緑の党は今回のギリシャ危機でもドイツ国民のエゴをいさめるように「協定違反を最初にしたのはドイツだったことを自覚すべきだ」と強く訴えていた。加盟国が自国の利益を優先している限り、経済通貨同盟としてのユーロ圏には常に結束にほころびが出るリスクがある。(p.87)

●脱税や社会保険料の未払いなどによる「ヤミ経済」の規模は、経済協力開発機構(OECD)加盟国でトップ。シュナイダー・リンツ大学教授らによると、ギリシャではGDPに占める割合が25%。イタリア、スペイン、ポルトガルといった他の南欧諸国もそろって上位を占める。(p.89)

ギリシャでは領収書を出さないで課税を逃れる業者が多く、公式統計では補足できない地下経済の規模が大きいといわれる。経済協力開発機構(OECD)の推計では、その規模は国内総生産(GDP)の25%に達し加盟国中で最大だ。次いで大きいのはイタリア(22%)、スペイン(19%)、ポルトガル(19%)などいずれも南欧諸国だ。(p.99)

●1999年にユーロに第1陣として加盟したスペインは、内需主導で経済成長を続け、08年には国内総生産(GDP)の規模でカナダを上回り世界第9位となった。1人当たりGDPも、86年の約1万ドルから08年には約3万ドルと、約20年で3倍に増えた。外国人労働者の受け入れにも積極的で、人口の10%、約450万人が移民というスペイン。~(中略)~「欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)がスペイン向けに最大2500億ユーロの融資枠の設定を検討している」2010年6月16日。欧州金融市場は同日付のスペイン紙エコノミスタの報道に揺れた。(p.108)

●「スペインの地方政府は金融危機の影響を受けやすい」。~(中略)~1939年から続いていたフランコ総統による独裁政権は、75年の総統の死去で幕を閉じた。その後スペインは、フランコ時代の独裁政治への反省から地方分権改革を進め、憲法でもそれを保障した。特にカタルーニャ州、アンダルシア州、バスク州など17の自治州政府は教育、医療など予算にも強い権限を持ち「スペインには(中央と自治州を合わせ)18の政府がある」と言われるほど地方の権限が強くなった。(p.112)

●スペイン国民は持ち家志向が強く、移民の増加につれて地元民向けの住宅需要が急増した。さらに温暖な気候を求めてドイツや英国、北欧などの市民が先を争ってスペインに別荘を購入した。それが08年の金融危機でブームは一気にしぼみ、大量の住宅ローン債権を抱える貯蓄銀行の経営を直撃した。(p.140)

●投資家が警戒するのは「次のギリシャはどこか」という点だ。2010年7月時点の国債利回りの高い順に見ると、ユーロ圏ではギリシャに次いでポルトガル、アイルランド、スペインといった国々が標的の「候補」として浮かび上がる。各国の09年の財政赤字が国内総生産(GDP)に占める割合はポルトガルが9.4%、アイルランドが14.3%、スペインが11.2%と、いずれもギリシャの13.6%並みの「危険水域」だ。ユーロ圏以外では英国が11.5%とやはり高水準にある。(p.169)

●2010年6月24日、フランス全土で公営交通機関を中心とする大規模なストが実施された。~(中略)~市民は自家用車やタクシー、自転車に頼るがパリの狭い路地は大渋滞となり交通は半ばまひ状態に陥った。相次ぐストが社会問題にもなっているフランスでは09年に「最小サービス法」が制定され、鉄道やバスなどのストの際も最低限の運行が義務付けられたが、あまり効果はないようだ。パリ市内からパリの表玄関、シャルル・ド・ゴール国際空港まで、通常ならタクシーを使えば30分ほどで到着するが、この日は3時間以上を要した。(p.174)

いまでもフランスでは日曜日はほとんどの店舗が閉まっており、バスが運行しない路線が多いが、日曜休業は経済成長を妨げるとして、政府が指定する大都市に限っては一部で営業が可能になった。パリの都心などでは休日にも開いているレストランや店舗が少しずつ増え始めている。(p.179)

●ドイツの緊縮財政の原点は第1次世界大戦後の1920年代にある。膨大な債務を返済するため、中高所得者に国債を強制購入させた暗い歴史。「国家破綻を回避」。当時の米紙ニューヨーク・タイムズのベルリン特派員は、こんな見出しでドイツ情勢を伝えた。まるで現在のギリシャのようだ。その財政悪化が超インフレにつながり、ナチス政権誕生に結び付くという構図は小学校から繰り返し教え込まれている。財政悪化のツケは納税者に回るとの認識が浸透している。(p.191)

英国に出張する日本のビジネスマンが犯す典型的な失敗の1つは、米国流市場原理の導入で改革に成功したサッチャー元首相を無防備に礼賛して英国人の思わぬ反論に遭うことだろう。社会の分断を強めたサッチャー流の「劇薬治療」や強引な政治手法については、いまも多くの英国民が複雑な思いを抱いている。(p.204)

●フランスとイタリア系の欧州半導体大手、STマイクロエレクトロニクスは本社機能をスイスのジュネーブに置き、決算はドル建てだ。事業のグローバル化に合わせ、コストの構成比をユーロとドルでほぼ半分になるようバランスを維持する。ボゾッティ最高経営責任者(CEO)は、欧州市場は域内人口が5億人と米国を大きく上回るが「小さい市場」だと言い切る。欧州を世界全体の中でとらえる「グローバルな視点が不可欠」とも言う。(p.221)

●7月14日はフランスにとって特別な日だ。1789年のフランス革命を祝う式典でパリ市街地がお祭り気分に包まれるだけではない。この日を境にフランス全土がバカンスシーズンに突入し、ビジネス街は閑散とした雰囲気が漂うようになる。(p.222)

●今後の焦点の1つは、欧州通貨基金(EMF)の創設にまで踏み込むかどうかだ。EMFは、ユーロ圏16カ国やEU加盟27カ国が出資し、域内の通貨・金融不安に共同で対処するアイデアだ。例えば、信用不安からユーロ導入国が市場で資金調達できなくなった場合、基金が緊急融資に踏み切る。(p.243)

●EMF創設に向けたこの「切り札」をファンロンパイ氏が切るかどうかが、2010年秋の議論の焦点となる。(p.245)
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