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大前研一、柳井正著「この国を出よ」
この本は、もう何か月も前に買っておいて、部屋の棚上に積まれていました(積ん読(=つんどく))。そして、既に読み終わっていたのですがブログアップが遅れていました。

大前研一さんの本は今までも何冊も読んでいるのですが、柳井さんの本は初めてです。ちなみに柳井さんというのは、ユニクロ(ファーストリテイリング)の社長さんです。



●僕はこれまで、政治的な発言はあまりしてきませんでした。自分にそれほどの力があるとは思いませんが、皆さんに親しんでいただいているユニクロというブランドのおかげで、社長の僕が発言すれば様々な人から注目を集め、結果的に影響力を持ってしまうことを恐れたからです。また、僕はビジネスの世界を歩いてきた人間です。その人間が政治的な発言をするのはどうかと躊躇(ちゅうちょ)する気持ちも正直ありました。それなのに、なぜ今、この本で政治や国家について語るのか-。もう黙っていられないところまで、日本の危機が迫っているからです。そして、そのことを言わない人があまりにも多い。そんな中で、日本の危機をきちんと正視し、言うべきことを言っている数少ない言論人の1人が、本書で対論した大前研一さんでした。そこで、大前さんと議論を重ねながら、やはり僕なりに知っている範囲で言うべきことを言おうと決意したわけです。最初に断わっておきますが、僕はそもそも政治が大嫌いです。(p.9)

●大前さんと出会ったのは、ファーストリテイリングが上場するかしないかの1990年代半ば頃だったと思います。大前さんが主宰するビジネススクールに講師として招かれたのが、親交のきっかけでした。何度かお会いするうちに、日本の現状を憂い、グローバルな目線から新たな日本の設計図を描く大前さんの考え方に深く共鳴し、いろいろと相談に乗っていただく関係になりました。(p.12)

●少子高齢化で日本の「老熟化」が進む一方、ITとグローバリゼーションで世界はフラット化し、どこへ行ってもビジネスが可能な時代を迎えています。この本のタイトルを『この国を出よ』としたのも、日本人(とくに若者たち)が、世界に広がる活躍のフィールドの扉を自ら閉ざすような真似だけはしてほしくないと願っているからです。(p.15)

●日本のバブル経済がピークに達した1989年当時、中国のGDP(国内総生産)は九州とほぼ同じ規模でした。それがこの20年間で、一気に追い越されたわけです。政府は2002年2月以降の日本経済を、「いざなぎ景気を超えた戦後最長の景気拡大」局面にあると呑気に発表していましたが、その間、日本の1人当たりGDPはカナダ、ドイツ、フランスに抜かれています。(p.18)

●例えば、韓国。日本との間で何か問題が起きると過剰とも感じるほど反応してきた、反日感情の強い国です。しかし近年は、かつての「反日ポーズ」はほとんど見られません。それはなぜなのか?おそらく、日本が世界をリードしていた家電・エレクトロニクス製品などの分野で韓国勢が日本メーカーを蹴散らしてトップシェアを奪い、「もう日本は敵じゃない」という自信を持ったことの裏返しだと思うのです。(p.31)

●日本人は情緒的な民族でロジックが苦手な反面、繊細な美意識など感性の面で優れています。洗練されたものや本当に良いものを見分ける目を持っています。例えば、マニュアル化しにくい"おもてなし"の文化などをアドバンテージとして活用すれば、付加価値はもっと高まると思います。とはいえ、日本がアジアの単なる保養所になって
しまってもいいと考える人は少ないでしょう。やはり"ジャパン・クラッシング"に見舞われないよう、もう一度、我々の手で強い日本を創っていくべきなのです。(p.39)

●ギリシャが今回の財政危機を招いた背景を見ると、日本との共通点が3つあります。まず、政府が悪化した財政の実情を国民に隠していたこと。もう一つは、予算のバラ撒きを続け、国民もそれに甘えてきたこと。そして、あり余るほどの公務員を抱え、しかも高い給与を払ってきたことです。(p.44)

●僕が政治家の皆さんに言いたいのは、「選挙のために政治家をやっているのですか?それとも、国民の生活のために政治家をやっているのですか?」ということです。テレビで何度か党首討論を見ていて痛感したのは、残念ながら、どの党首からも危機感も信念も感じられず、日本の未来は託せない、ということです。彼らには自分の国の真の姿が見えていません。国家財政が破綻する寸前だというのに、彼らもまた、「日本はまだまだ強い」と思い込んでいるのでしょう。(p.51)

●拙書『ロウアーミドルの衝撃』(講談社)でも書きましたが、日本は1990年代後半から、世帯年収300万円以下のロウアークラスが急増しており、同300~600万円のロウアーミドルクラスを合わせると全体の約80%に達しています。厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、2008年の1世帯当たりの平均所得金額は約547万円でした。これは1988年以来20年ぶりの低水準です。ロウアークラスとロウアーミドルクラスの大半がこの「平均」を下回っている現実を、国家も国民も直視しなければなりません。(p.62)

●このところ、アメリカと中国の間で貿易戦争が激しくなっています。中国はアメリカから殴られたら殴り返すタフさを見せています。例えば2009年には、保護主義を強めるアメリカが中国製タイヤに対するセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動すると、中国はアメリカをWTO(世界貿易機関)に提訴するなどの"報復"に出ています。「日米貿易戦争」当時の日本と比べると、今の中国のほうがはるかに「したたか」なのです。(p.68)

●「コーポレート・メモリー」を非常に重視しているアメリカのエンジニアリング・建設大手のベクテルは、1つのプロジェクトが終わると、時間を費やして、「学んだこと」「取引してはいけない企業」「資材購入してはいけない企業」「使ってはいけない人々」などの様々なデータを集めて蓄積します。そうしておけば、将来、違う人間がプロジェクトを受注した際、そのデータを参考にしながら進めることができるので、失敗が少なくなるわけです。組織もこのようにすれば「大人」に成長していくのです。日本企業が海外でのプロジェクトで赤字を出してしまうケースが多い最大の理由は、こうした「コーポレート・メモリー」がないことです。(p.70)

●日本企業は、個々の能力のある人だけが自分の記憶と経験でプロジェクトを進めます。したがって、その人が異動したり退社したりすれば、情報やノウハウや人脈などが丸ごと会社から消え去ってしまう。(p.70)

●とくにサラリーマンは「税金が高いなあ」と何となく思いながらも、自分がいくら税金を払っているか正確に答えられる人は少ないと思います。それは「源泉徴収」というシステムの問題だと思います。給料からの天引きだと、税金を納めているという意識を持ちにくいのでしょう。(p.72)

●僕は、20~40代のベンチャー企業のトップが参加するパーティーやイベントに顔を出す機会がありますが、彼らと話していると「名刺交換だけを目的に来ているのではないか?」と感じることが少なくありません。企業のビジョンや信念が伝わってこなくて、「お金儲け」のことばかり考えているように思うのです。(p.83)

●ところで、僕は「サラリーマン」と「ビジネスマン」は違うと考えています。ビジネスマンは自ら考えて行動しますが、サラリーマンは上司から指示された仕事をこなすだけ。勝手に「自分の仕事はここまで」と境界線を決め、その範囲の業務だけをするのですが、それは本当の意味での「仕事」をしているとは言えないでしょう。本来、仕事とは顧客のために汗を流すものです。顧客と向き合うほどに新しい発見があり、やるべきことは次々と増えていくはずなのです。(p.93)

●この『企業参謀』はその後、英訳されて海外でも発行され(英訳名『マインド・オブ・ザ・ストラテジスト』)、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズで「歴史上の経営書トップ50」に選ばれました。もう1冊、別の著書(『ボーダレス・ワールド』プレジデント社)も選ばれましたが、トップ50のうち、著作が2冊選ばれたのはドラッカーと私だけでした。(p.99)

●ところが、賢明なドラッカーはそれをいち早く察知して、経営哲学でお説教するスタイルからイノベーション(革新)に方向転換し、1985年に76歳で『イノベーションと起業家精神』(ダイヤモンド社)を発表。さらに1991年には、82歳にして『非営利組織の経営』(同)を著わし、NPOに経営の概念を持ち込むという天才的なひらめきを見せたのです。(p.106)

●「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である」(『現代の経営』上田惇生訳/ダイヤモンド社)ドラッカーの哲学の中でも、私が最も影響を受けたのは、「顧客の創造」というキーワードです。彼は、これこそが「企業の目的」であると説いています。~(中略)~私は、ドラッカーの「顧客の創造」というキーワードを、自分の仕事を認めてくれる人、自分の仕事に対して喜んでお金を出してくれる顧客を1人でも増やしていくことがビジネスの本質なのだ、という意味に解釈しました。要するに「企業側が何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を求めているか」を追求するのがビジネスなのです。(p.108)

●時代が変化するスピードは速くなっても、ビジネスマンに求められるスキルが昔と大きく変わることは決してないのです。むしろ、こうしたスキルの価値は『企業参謀』を書いた頃よりも、ずっと高まっているのではないかと思います。なぜなら、現代は手元のパソコンやスマートフォンなどでインターネット検索すれば何でもすぐに調べられ、「知識」自体の価値が相対的に低下しているからです。その分、深い洞察から答えを導き出すスキルの価値は、間違いなく上昇しています。表面的な情報はいくらでも手に入るからこそ、問題の本質を発見する力の持つ価値が輝きを増しているのです。(p.114)

●僕自身も、業績が悪くなったり、思い通りの成果が上がらなかったりすれば、正直、落ち込みます。心の中では、いつも落ち込んでいると言ってもいいでしょう。でも、上司には"落ち込む権利"というものはありません。上司が落ち込んでいたら、会社や組織はメチャクチャになるからです。~(中略)~言い訳が多いのもダメな上司、ダメな経営者の特徴です。~(中略)~しかし、景気も天気も自分たちではどうにもなりません。自分たちがコントロールできないことに関して、どれだけ言い訳を言っても、何の解決にもならないのです。~(中略)~結局、優れた上司やリーダーに求められるのは、不調の時や落ち込んでいる時にこそ、自分と自分の同僚たちに期待して、みんなを元気づける能力なのではないかと思います。(p.118)

●「サラリーマンは仕事で忙しくて休みも自由に取れない。余暇の時間などなくて当たり前だ」と反論する人もいるでしょうが、それこそが問題の核心です。おそらく日本のビジネスマンは、仕事だけでなく、プライベートにおいても目標を持っていないのではないでしょうか。つまり、「自分のやりたい人生」を生きていないがために、とにかく「サラリーマン」という看板を維持することに必死で、プライベートも我慢するという悪循環に陥っているのです。(p.125)

●また、日本人は「英語はイエスとノーがはっきりしている」と思いがちですが、これも誤解です。英語は日本語に比べて表現や語彙(ごい)が限られる分、ニュアンスが極めて広く、ビジネス英語では間接話法を多用するのが常套になっています。(p.158)

●うまい英語とは、流暢(りゅうちょう)に話せることではありません。世界の共通語は英語ではなく、文法もイントネーションも不正確な「ブロークン・イングリッシュ」なのです。ビジネスの世界で一番大切なのは、相手にどんなことを伝えたいのか、どんな結果を残したいのかを考えることです。それを実現するために不可欠なニュアンスを間違えずに話せば、ブロークン・イングリッシュで十分なのです。ビジネスでは聞く人が惚れ惚れするような演説は必要ありません。要はリーダーシップがあって結果が出せればよいのです。(p.158)

●企業や産業は、時代に合わなくなったら、死滅するものです。時代の変化に合わせて変革できない企業や産業は、いくら政府が保護政策を取っても、しばらく延命するだけで、再び元気になることは考えられません。そもそも日本の場合、競争力を失った産業の保護に多額の税金を投入する政府自体、首が回らないほどの財政危機に瀕しているわけですから、税金の使途をもっと真剣に考えるべきです。(p.174)

●「イギリス病」で衰退した国家を劇的に生き返らせたサッチャー元首相は、首相になる前から何年間も経済戦略研究所の副所長を務め、「スモール・ガバメント(小さな政府)」の実現を可能にする研究を徹底的に行なっていました。そういうことを「勉強」と言うのです。(p.176)

●官僚を解雇する制度は、お隣の中国が先駆けて実施しています。国務院総理(首相)や共産党中央政治局常務委員を務めた朱鎔基が初めて採用し、国務院の官僚を一気に半減しました。これにより中国の公務員たちは瞬く間に"ビジネスマン"になったのです。(p.182)

●リーダーシップについては、ランク(位)が上がってからつければいい、と考えている人がいますが、違います。育つ過程で身につけるものなのです。~(中略)~なぜなら、リーダーシップを取る傾向のある人は、人生で必ずそれを反復するからです。そういう人材は世界のどこに転勤させても活躍することを、彼らは経験上わかっているのです。日本も、リーダーシップのある問題解決型の人材を育成する教育に力を入れるべきです。(p.188)

●大学全入時代の今となっては、企業の"品質管理"という意味では、落としたくなるような人ばかりが卒業してきます。~(中略)~しかし、会社をいくつ受けても落ちるような人を税金で助けるという発想自体がナンセンスです。おそらくそういう学生は勉強も死ぬ気でやってこなかったのでしょうから、放っておけばいいのです。学校、本人、親たちの問題にもかかわらず、無理に税金で企業に押し込んでも、1年で退社するだけではないでしょうか。社会はそんなに甘くない、ということを見せることが大切です。(p.189)

●ですからデンマークには先生がいません。先生という呼称をやめ、「促進させる役割の人」を意味する「ファシリテーター」に統一したのです。ファシリテーターは子供の夢ややる気を否定せず、何とか実現できるようサポートします。そういう環境で伸び伸びと育った子供たちが才能の翼を羽ばたかせて、様々な分野で世界へ飛び出していく。その結果が、世界トップシェアを誇るグローバル企業群の集積に繋がっているのです。(p.192)

●さらに付け加えれば、1871年(明治4年)、わずか6歳で日本初の女子留学生の1人としてアメリカへ旅立った津田梅子もそうです。10年間にわたって現地で教育を受け、再度の留学を経て女子英学塾(現在の津田塾大学)を開き、女性が社会参画することの大切さを教えました。(p.196)

●この本のタイトルである『この国を出よ』は、若者は日本に早く見切りをつけて世界へ飛び出せというワンウェイのものではありません。ここで紹介したように、世界という道場で武者修行を重ね、どこにいてもリーダーシップを発揮できる力をつけておけば、再び日本にチャンスの風が吹いてきた時に、帰国した彼らが今の日本を根本から変え、復活させる原動力になるに違いありません。それを期待するツーウェイの意味を『この国を出よ』に込めています。(p.200)
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