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野口吉昭著『コンサルタントの「ひと言」力』
今年の1月、「挽き出せ!場ヂカラ」以来の野口さんの本です。野口さんの本、もう何冊読んだんだろう?今回の本、中身も勿論なのですが、私は「はじめに」にグッときました。



●ラジオで大津波の話を聞いた。愕然としたが、映像ではないのでその被害の甚大さは実感できていなかった。途中、多くの自動車ディーラーやチェーン展開している外食の店舗などが早々に店じまいしていた。しかし、トヨタのディーラーは、帰宅困難者に休憩所、トイレを開放していたのを見て、日ごろの組織運営の底力を垣間見た。現場の判断だろう。トヨタウェイの素晴らしさを感じた。沿道にある川崎の中規模病院では、温かいスープやお茶、パンなども用意してくださっていた。その際のひと言「休んでいってください」は、心に沁みた。(p.4)

●たった「ひと言」が、人の心を動かしたり、怒らせたりする。普通のおじさんおばさんが沿道に立って、「休んでいきなさい!」と手招きしてくれた「ひと言」で、どれだけ勇気づけられ、疲れが癒えたか。箱根駅伝のコースを途中まで歩いていたので、走り終わった駅伝の選手が「沿道の応援が励みになりました!」とインタビューで話す意味がわかった気がした。結局帰りつくまでに、箱根駅伝の一区を歩き、花の二区の半分までも歩くことになった。「ひと言」の言葉、放つタイミングとニュアンスで、その場の空気を一変させることは可能だ。そして、たった「ひと言」で相手の考え方や行動を大きく変えることもできる。コンサルタントの「ひと言」力は、たったひと言で場を変え、人を変える力のことである。「ひと言」自体の強い意味というよりは、タイミング・ニュアンスが大事になる。(p.5)

●本書は、コンサルタントの能力の中でも最も重要なものの一つである「話す力」についてお話しするものである。「対話力」「会話力」などといい換えてもいい。~(中略)~こうした「論拠を明確にして、論理的に結論を出す」という話し方は、コンサルタントに限らず説明の大原則ともいわれるものだ。(p.18)

●私と初対面の人がよく、私と話し終わったあとにいうセリフがある。それは、「コンサルタントの方ということで、よほど理路整然とロジカルに話をされるのかと思って緊張していましたが、非常にざっくばらんで熱い感じで安心しました」というものだ。ざっくばらんではあっても、ロジカルであることは心がけているので、そこだけ少々心外ではあるが、こういってもらえたということは相手が心を開いてくれたということだから、基本的には嬉しい。だが、逆にいえば、杓子定規すぎるロジカルな話し方は、「知らず知らずのうちに人を緊張させているもの」だということだ。これではいけない。プロの話し方として重要なのは、まずは場をマネジメントすることである。(p.19)

●誰もが、あなたの話を10分でも20分でも黙って聞いてくれればいい。だが、そんな機会がいったいどのくらいあるだろうか。限られた時間、限られた場面で、あなたは何かを相手に伝えなければいけない。伝えるだけでなく、それに納得してもらい、動いてもらわなければならないのだ。しかも、理路整然と話そうとすればするほど、話は長くなる。長くなればなるほど、人は集中力が散漫になるものであり、要点が伝わらなくなってくる。さらには話を聞くことが苦痛になってきてしまい、それが相手への反感にさえつながってしまうこともある。その結果、「お説拝聴。それで?」というような反応になってしまうのだ。(p.23)

●ビジネスの世界で有名な言葉として「エレベーター・ステートメント」というものがある。~(中略)~ちなみにP&Gには、トップや上司に指示を仰ぐ際には30秒以内で説明するという「30秒文化」があるそうだ。(p.25)

●その後、吉野家はセゾングループの支援を受けて再出発をするのだが、この時にキャッチフレーズを「はやい、うまい、やすい」から「うまい、やすい、はやい」に変えたのである。これは単に言葉の順番を入れ替えただけではなく、企業としての最優先事項を「はやい」から「うまい」に変更したことを意味している。以来吉野家は「うまさ」にこだわり、2004年にBSE問題でアメリカ産牛肉の輸入が停止された時には、牛丼の販売の休止を決断した。(p.35)

●まず重要なのは、自分自身がその会社の社長や社員になったぐらいの当事者意識を持ってコンサルティングに臨むことだ。いくら課題分析や戦略策定が的確だったとしても、評論家的な態度をとってしまったら、社長や社員の心を動かすことはできないからだ。コンサルタントの仕事は、クライアントに解決案を提示すればそれで終わりというわけではなく、目的や目標に向かって意欲的に行動を起こさせるところまでコミットメントできてこそ、初めて役割を果たしたといえる。だから「自分もこの会社の社員になったぐらいの気持ちでこの問題に向き合いますから、一緒に汗を流しましょう」という覚悟と姿勢が重要になる。(p.41)

●たとえばホンダの創業者である本田宗一郎の口グセは、「どこがよそと違うんだ?」や「それはどこが新しいんだ?」だったという。~(中略)~松下電器産業(現・パナソニック)の創業者である松下幸之助の口グセは、「それでお客様は喜びますか?」だったそうだ。(p.43)

●どんな話でも、前後の話の間には何らかの関係がある。理由と結論を述べているなら「だから」、物事を並列しているのなら「また」、逆のことをいいたいのなら「しかし」などである。つまり、「えー」とか「そのー」とかいう言葉のひげの箇所には、本来なら接続詞が入るはずなのだ。だから意識して、その言葉のひげを接続詞に置き換える。そうすれば、言葉のひげも減ってくる。(p.48)

●私は、日本人は上層部から目的なり目標なりを与えられた時、それを実現するための手段を考えて計画どおりに遂行していくのは得意だが、そもそも自分で目的や目標を設定するのは苦手な国民だと思っている。(p.65)

●Whatとしてのミッション・ビジョンを作るということは、未来を作るということ。なのに薄暗い会議室で話していたら、未来も薄暗いものになってしまうと、私は本気で信じている。「会議をどこでやるか」というのは、実は結構重要な要素なのだ。会議室でやるにしても、広い窓のあるなるべく明るい部屋で行うのがいいだろう。(p.67)

●部下の行動にいちいち難癖をつけるリーダーがいる職場よりは、何でもすぐに「いいじゃん!」といってくれるリーダーがいる職場のほうが、断然雰囲気は明るくなる。部下は萎縮することなく生き生きと行動できるようになる。それが結果的に良いアウトプットへと結び付くわけだ。(p.83)

●では何が違うのかといえば、一番の違いは「コーチは、クライアントである個人の目標・行動指針などを自分で決めてもらう必要がある。カウンセラーは覚悟を促すひと言をクライアントに発する必要はほとんどない。が、コンサルタントは個人だけでなく、組織自体に大きな覚悟を促す必要がある」ということだ。(p.86)

●わかっていないところがわかっていない人は、世の中にたくさんいる。日本の政治力が弱いのは、この点にあるのではないか。政局ばかり意識して、日本の未来を真剣に考えている雰囲気がない。赤字国債を乱発しているような政治力では、わかっていないところがわかっていないとしか到底思えない。(p.100)

●改善・変革・進化に終わりはない。いつも「ここからが始まり」である。「部外者が無責任に何を」と思われるかもしれないが、そもそも励ましなどというものは他人が無責任に発するもの。だったら少しでも前を向いてもらい、問題解決の糸口となるような励ましのほうがいいではないか。(p.102)

●そもそも世の中で、「できない理由」などいくらでもあげられるものだ。できない理由があるから変革が行われていないわけで、すぐできることはもうとっくに行われている。たとえば医者が、難度の高い手術を前にした時に、できない理由をいくつも並べ立てるだろうか。成功率は低いとしても、その手術をしない限り患者が助からないとすれば、できない理由を並べるよりはできる可能性を探っていくはずだ。会社の変革とは、これと同じようなものだと私は思っている。いますぐではなくても、じわじわと会社を死に追いやるような病気を、いますぐ手術して治さねばならない。それに対して、できない理由を述べて手術を先送りしていては、いずれ取り返しのつかないことになる。(p.109)

●実際、覚悟を促すには感情を動かすことが必要ではあるのだが、少し感情的な言葉ばかりが多すぎるかな、という時、この言葉を添えることがある。ご存知、松下幸之助翁の言葉である。「大変だと思います。でも、松下幸之助さんも、『成功の要諦は、成功するまで続けるところにある』といっているじゃありませんか」こうして、松下翁の力を借りることで、説得力は一気に増すことになる。(p.110)

●役員や事業部長クラスで、いま一つ意思決定を明確にしない、できない人がいる。会議でも、「その企画だけど、X社の競合商品の技術はちゃんと調べて検討した?」「代理店のキャパは大丈夫か、検討した?」などという「検討(?)好き」な幹部も多い。そうではなく、提案した企画や計画が、まずは「いいのか、悪いのか」を大きく判断して伝えてほしいとつくづく思う。そこで、よく使うのが、「あえて大きくいうとイエスですか?ノーですか?」というひと言。細かい枝葉の前に、大きな方向性を教えてほしい。大きな考えを部下に伝えてから、細かい点を確認・議論してほしいのだ。(p.117)

●これは実は、インタビューのテクニックとしても使える。なかなかはっきりとした表現を使わない人に対して、「大きくいうと、イエスってことですかね?」とたたみかけていくわけだ。(p.118)

●この「つまり……」の性質を、まったく逆に使うことができる。それは、「相手に反論する」時である。相手のいっていることがいくらおかしくても、面と向かって「それは違うでしょう」などと口を挟むと、相手は完全に身構えてしまい、対決モードに入ってしまう。そうなると、いくらこちらが論理で納得させようとしても、そのガードをなかなか崩してもらえない。(p.123)

●私が「さあ、ルビコン川を渡ってください」という時も、「もう躊躇している段階ではありません。前に進みましょう」という思いを込めてのものだ。なぜリーダー層に対して主にこの言葉を使うのか、といえば、リーダー層には比較的知識レベルが高い人が多いということもあるのだが、何といっても塩野七生氏の『ローマ人の物語』(新潮社)の影響が大きい。リーダー必読の書として知られていることもあり、リーダー層の間での同書の知名度は驚くほど高い。(p.132)

●私はこのようにすべての物事について、「自分でコントロールできることか」「自分ではコントロールできないことか」に分けて考えることをおすすめしている。自分次第でいくらでも状況を変えることができるなら、考えるだけの意味があるから考える。だがそうでないなら、すっぱりと考えることをあきらめてしまう。これは、コンサルタントの仕事にも通じることだ。コンサルタントはあらゆる可能性を考え、あらゆる仮説を立て……といったように、ひたすら考えを突き詰めていく。だが、あらゆる可能性を網羅するということなど、そもそも不可能。仕事も、いつまでたっても終わらない。そんな時は、ある程度突き詰めた段階で、「これ以上は考えても無駄。だから考えないようにしよう」と、打ち切ってしまう勇気も必要になるのだ。(p.143)

●ちなみにプロジェクトメンバーが、上層部に新規事業の提案をした時にも、似たような反応をされることがある。「この新規事業では、うちの強みを活かせないんじゃないのかね」などというのだ。この時の切り返しのひと言はこうだ。「強みがないから難しいといっていたら、いつまでたっても新規事業はできないですよ」もちろん自社の強みを活かせる新規事業があるのなら、それを始めるのが一番だ。しかし自分たちの強みを活かせることが誰にでもわかる明確な事業なら、とうの昔に参入していたはずだ。新規事業とは、強みを活かせる分野に参入することではない。新規事業を行うことで、新たな強みを作っていくのだ。(p.188)

●メールを書く時には、「お世話になっています」というあいさつ文から入る人が多いと思う。私も「お世話になっています」と書くことも多いが、親しい人に対しては「まいど!」や「まいどです!」というひと言(?)から入るようにしている。~(中略)~「まいど!」という表現に、人を和ませる何かがあるとすれば、2つ理由があると思う。一つは大阪弁という方言であること。もう一つは「毎度!」ではなく、「まいど!」であることだ。(p.197)

●たとえば九州の人であれば、失敗を犯して深く反省している部下を慰める時も、「大丈夫。そんなに気にすることはないから」と標準語でいうよりも、「よかよか。気にせんでよかばい」といったほうがより気持ちが伝わるはずだ。(p.198)

●ひらがなを使うと、漢字やカタカナを使うのと比べて、温かくて柔らかい雰囲気が出る。~(中略)~ひらがなには、温かさや柔らかさを演出する効用があるのだ。ささいなことだと感じられるかもしれないが、こういうささいな言葉遣いに対して敏感であることも、「ひと言」力を磨くうえでとても重要だと思う。(p.199)

●終章にあたるこの章では、私自身が自分の「ぶれない軸」を確認するために、普段から口にしているひと言を紹介する。これらのひと言は、自分自身にもいい聞かせるし、人にもよく話す。~(中略)~本章のパートは大きく3つ。「自分の生き方を確認するためのひと言」と、「リーダーの役割を確認するためのひと言」、そして「本質探究心を忘れないためのひと言」に分かれる。(p.204)

●コンサルタントとしてよりも、経営者としての私を支えているひと言がこの「人をあきらめない組織」である。これはまさに私にとって「ぶれない軸」であり、実際にメンバーに対してもしょっちゅういっている言葉である。実は、同名の本も出しているくらいだ(『人をあきらめない組織』HRインスティテュート著、野口吉昭編、日本能率協会マネジメントセンター)。(p.218)

●汲めども汲めども湧き出てくる泉のように、人材が次々と育っていくチームを作ることが重要になる。リーダーの役割は、育っている人を発掘したり、外部から連れてくることではなく、人を育てることをあきらめず、人が育つチームを作ることなのである。ちなみにHRインスティテュートは、設立して今年で18年になり、メンバーの人数は約20人である(ベトナム、韓国のメンバーを含めると約30人)。(p.219)
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