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武田邦彦著「2015年放射能クライシス」
この本は、十数日前に読み終わっていたのですが、まとめに非常に時間がかかってしまいました。すごく怖いタイトルですが、今の日本においては、一読しておく必要があると思います。

なお、著者の武田邦彦さんのプロフィールを、公式ホームページより以下に抜粋しました。

内閣府原子力委員会専門委員、文部科学省科学技術審議会専門委員
主な受賞:日本工学教育協会工学教育賞(倫理)、日本原子力学会平和利用特賞、日本エネルギー学会賞

注)この本の初版発行は、2011年10月4日です。

●本著はこれから4年後、それはもしかすると被曝(ひばく)によって甲状腺がん患者が出る時期でもありますが、日本社会に何が起こるかを事実に基づいて明らかにしようとするものです。(p.5)

●世の中では今ごろになって、「何ミリシーベルトが危険なのか」と議論していますが、そもそも、そんな概念自体が間違いなのです。国際的にも、国内の法律でも「年間1ミリシーベルト」と決められているのだから、それに基づいて、徹底的に調査し、対策を講じ、情報公開することが必要なのです。~(中略)~後ほどその経緯を紹介しますが、「年間1ミリシーベルト」という被曝の上限は、長い年月をかけて国際的に議論した結果、合意に達した「気まりごと」です。(p.21)

●私がいつも言っていることは、「放射線による被曝と人体の関係はよくわかっていない」ということです。誤解されている人も多いのですが、私は「1年1ミリシーベルト以上は健康に害がある」とは1度も言ったことがありません。あくまでも、「わからないものは注意する」というスタンスです。誰にもわからないことを「わかったように言うこと」が危険なのです。(p.22)

●放射性セシウム137の50%致死量(成人、経口の場合)は0.1ミリグラム程度です。これに対して青酸カリの50%致死量(成人、経口の場合)は200ミリグラム程度ですから、青酸カリの方が2000倍程度、セシウムよりも毒性が低いという関係にあります。~(中略)~青酸カリは一般的に猛毒であることが知られているので、例に出しましたが、セシウムのほうが青酸カリより約2000倍の猛毒であることは一般的に知られていないため、驚く方も多いと思います。(p.24)

●ベクレルとは、放射線を出すもの(粒)が現実にどのぐらいの放射線を放出しているのかという「物理的な放射線の数」を表す単位です。一方、シーベルトとは、「人間の身体がダメージを受ける放射線の量」を表す単位です。事故で漏れた放射性物質100京ベクレルは、あまりに数値が大きいのでピンとこない人もいらっしゃると思います。~(中略)~簡単に言いますと、いわゆる「普通の原発事故」で漏れる放射性物質の量というのはだいたい数億ベクレルです。仮に1億ベクレルとすると、100京ベクレルはその100億倍に当たります。(p.27)

●チェルノブイリ原発事故では300京ベクレル程度の放射性物質が漏れたわけですが、数10京ベクレル規模が漏れると、国際原子力事象評価尺度で最悪の「レベル7」になります。「レベル7」に位置づけられている原発事故は、チェルノブイリ原発事故と福島原発事故だけです。(p.31)

●放射線と体の関係については、わかっているところと、わかっていないところがあります。~(中略)~1年間に100ミリシーベルト浴びると、1億人に対して50万人が「過剰発がん」になります。放射線によるがんの発生は「確率的」、つまり、被曝量に比例しているとされています。このため、1年間に1ミリシーベルト浴びた場合は、100ミリシーベルト浴びた場合の100分の1、つまり、1億人に5000人が放射線によってがんになると予想されます。年間20ミリシーベルトならば、その20倍ですから、1億人に対して10万人が発がんすると考えられます。年間1ミリシーベルトという数値は、「我慢できる限度」と呼ばれています。1億人当たり5000人の発がんですから、「100%安全な線量」ではありません。(p.35)

●国際的にも最も信頼性のある値は「1年間に1ミリシーベルト」です。目安として、それ以下ならば「安心」、それ以上ならば「注意」と意識したほうがいいと思います。私個人の意見ではなく、ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告や日本の法律に明記されていることです。1年間に1ミリシーベルト以内の範囲でしたらまず心配の必要はないでしょう。(p.36)

●にもかかわらず、普段ならば10万人に1人も出ないとされる小児甲状腺がんが、原発事故から4年経ってから急増し始めました(44ページの図表参照)。今では、チェルノブイリ原発事故で放出されたヨウ素131が子供の甲状腺にたまり、甲状腺がんを引き起こしたことははっきりと認められています。(p.41)

●原発の本質を一言で言えば、「原発とは、ウラン235が核爆発をして、その熱で水を蒸気(スチーム)にし、その蒸気でタービンを回して電気を起こす仕組み」です。たとえば、広島の原爆で使用されたウラン235は約30キログラムでしたが、福島原発の燃料装荷量は1号機が69トン、2号機~4号機が各94トンですので、計351トンです。(p.42)

●つまり、事故を起こした福島原発には、広島の原爆の500倍以上のウラン235が存在していたことをきちんと認識しなければいけません。このように、原爆で数十キログラムのウランが使われるのに対し、原発では何百キロ、何十トンという大量のウランを扱います。濃度や燃焼度などが違うので単純に比較できないのですが、原発事故のほうが放射性物質の規模が大きいのです。(p.43)

●なお、福島第1原子力発電所3号機にはMOX燃料と呼ばれるプルトニウムを含んだ燃料が使われていました。プルトニウムはそれ自体が肺がんの原因になる物質で、今回の福島原発事故ではこのことも考えなければなりません。(p.43)

●4年後に出始めた小児甲状腺がんは内部被曝が原因で、直接被曝によるものではありませんでした。原発事故の場合、一般的に直接被曝だけが気になってしまう傾向があります。福島原発事故でも、遠く離れた東京で被曝するということが当初はピンとこなかった人が大半だったのではないでしょうか。そのため、「東京は大丈夫」と思い込み、油断してマスクをしない人が実に多かったと思います。そのような油断がチェルノブイリ原発事故の際にもあったわけです。(p.45)

東京で空気中のチリの放射能濃度が最も高かった3月15日10時から11時に、東京の大気中に浮かんでいたチリは、それぞれ立法メートルあたり、ヨウ素131が241ベクレル、ヨウ素132が281ベクレル、セシウム137が60ベクレル、セシウム134が64ベクレルでした(放医研データより)。(p.46)

●つまり、外部被曝で約1マイクロシーベルト、呼吸によって体内に取り込まれた放射性物質による被曝で約5マイクロシーベルト、合計約6マイクロシーベルト(毎時)の被曝だったことがわかります。外部被曝より内部被曝が多いことに気がつくでしょう。~(中略)~私が当時、東京から離れるか、もしくはマスクをつけて口から入る放射性物質を防ぐことが大切と訴えていたのは、このためです。(p.46)

●小児甲状腺がんは非常に症状が厳しく、体がやせ細って、皮膚が透明になっていき、ベッドに寝ている状態になります。この衝撃的な映像が4年後から世に出てくることによって、私たちの社会は大きく揺さぶられると考えられます。(p.51)

●悔やまれて仕方がないのですが、福島原発が爆発した3月の時点で、0.5歳から7歳までの子供を全員、放射能汚染が及んでいないところに移動させ、安全のためにヨウ素剤を飲ませるべきでした。この2つの対応をしておけば、被曝による甲状腺がん発症の可能性はほとんどゼロになったのです。(p.53)

●「低レベルで大丈夫だからヨウ素剤を飲ませない」という論理は日本特有でしょう。実際、今回の事故直後、アメリカでは日本からの帰国者に空港でヨウ素剤を渡しました。ヨウ素剤を飲んでも医師の管理下では健康を害するわけではありませんし、放射線による甲状腺がんは防げるのですから、飲ませておくのが世界的に見ても普通の判断です。(p.54)

●10歳で被曝した女の子が甲状腺がんにはならなかったため、「ああ、この子は助かったのだ」とほっとしていたら、10年後、15年後に被曝による健康被害が出てくるのですから、安心はできません。~(中略)~何度も妊娠しても死産になる、そのような障害が出てきたことが明らかになりました。原因は被曝による遺伝子の損傷です。~(中略)~いずれにしても、被曝によるがんや体の異常には、早発性のものと晩発性のものがあり、それは遺伝子をどこで読み込みに行くかということによって決まるので、気をつけなければいけないのです。(p.55)

●今回の福島原発事故による被曝者については、仙台ぐらいから神奈川県の足柄あたりにかけての人々の間から、被曝によるがんが相当出ると予想されます。今回の原発事故に関するECRR(欧州放射線リスク委員会)など、ヨーロッパの論文を数々読んだところ、予想は20万~40万人台でした。(p.59)

東京で3月にマスクをしていない子供がたくさんいて私は驚きましたが、葛飾区や江東区に住んでいてマスクを当時していなかった子供たちの中からも発がん患者が出る可能性があります。(p.59)

●放射線には、線質の異なる「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」「中性子線」があります。ガンマ線放出核種(代表的なものにセシウム137などがある)が測定の対象であるホールボディーカウンターは、その人からガンマ線が出てこないと測定できません。ところが、被曝した直後ですらガンマ線は測れないのです。(p.62)

●たとえば、今ごろ福島の子供をホールボディーカウンターで測定しても、「問題ありません」と、ごまかされるだけです。~(中略)~「ホールボディーカウンターで測定したら数値は低かったので、健康に問題はありません」ということが公表、あるいは報道されても、それは完全にウソです。内部被曝量を測定できないホールボディーカウンターを使って測っておいて、「数値が出ませんでしたから安全」という卑劣なウソ、トリックはすでにバレています。(p.63)

●福島原発事故では、チェルノブイリ原発事故が経験していない「海に直接、放射性物質が放出された」という事態も招きました。原発が爆発するときは、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムの4種類の放射性物質が外部に出ます。このうち、ヨウ素とセシウムは上空に放出され、ストロンチウムとプルトニウムは重い物質のため海や土壌など下のほうに出ます。チェルノブイリ原発事故ではストロンチウムとプルトニウムは、重くて陸地を移動していかない性質のため、あまり害をもたらしませんでした。ところが、福島原発事故では汚染された水が直接、海に流出しました。今回、海には「ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウム」のの4種類すべてを含む汚染水が流れ出たと考えられるのですが、ストロンチウムとプルトニウムについてはまだ測定値が出てきていません。おそらくですが、わざと測定値を出さないようにしていると思われます。なぜ測定しないのかというと、ストロンチウムやプルトニウムが海の中に存在するからだと考えられます。測定値が報告されているのはヨウ素とセシウムのみです。魚からヨウ素とセシウムが検出されて、基準を超えるケースも出ていますが、もしかするとストロンチウムとプルトニウムも基準を超えているかもしれません。(p.70)

●海の場合、海流との関係もあるので難しいのですが、ストロンチウムは沈まない可能性が高いと思われます。プルトニウムはもしかすると沈むかもしれませんが、本当に沈むのか漂うのかどうかはわかりません。したがって、魚がプルトニウムで汚染される可能性は十分あるわけです。ここでプルトニウムがなぜ問題なのかについて説明しましょう。まず、プルトニウムは自然界にはない元素で、福島原発など多くの原子炉で使われているウラン235の核爆発によって作られます。そして、プルトニウムには非常に強い毒性があると考えられています。(p.72)

●わかりやすく説明するために、福島原発から遠く離れた大阪でプルトニウムが入った魚を食べたと仮定しましょう。プルトニウムは肺に入ると沈着しますが、胃に向かえば吸収されないので、そのまま排泄されることになります。ところが、食べ残しの魚には、骨などの部分に蓄積した状態でプルトニウムが残ります。プルトニウムは骨に蓄積されやすいという特徴も持っています。食べ残しの魚は生ごみとして捨てられ、大阪の焼却炉で焼かれます。すると、今度は0.2~1ミクロンぐらいの小さな粒子として自治体の焼却炉の煙突から空気中に放出されます。このプルトニウムの微粒子を吸って肺の中に入ると、肺がんになります。(p.75)

●海産物の放射線については2011年8月上旬、フランスの測定データが発表されました。日本のものは隠蔽(いんぺい)しているので基本的には信頼できません。それによると、福島、茨城、千葉の海産物は、アイナメ、メバル、昆布などから200~1000ベクレル程度のセシウムが検出されています。(p.78)

●そこで、8月現在での自衛策としては、「九州、関西、日本海」の魚と藻類に限って購入することをおすすめします。魚の種類によって差はありますが、どれということなく汚染されていると思われます。私自身は年齢的にそれほど注意しなくてもいいのですが、小型の魚は避けるようにしています。(p.79)

●1時間あたり0.11マイクロシーベルトまでが安全な領域とされていますが、2011年夏現在の福島や郡山などでは1.5マイクロシーベルトの数値が出ています。(p.84)

●福島原発からの放射性物質は、現在でも1時間に10億ベクレル以上、1日に約250億ベクレル漏れています。~(中略)~このように、放射性物質は増加する一方という事実にまず気がつかなければいけません。結論をはっきり言えば、除染をしなければ、お米はずっと汚染されるということです。(p.90)

●阻止するためには、現にそこに放射性物質が存在することを認識し、それを人間の手で取り除かないとダメなのです。原発事故から25年経っても放射性物質で土壌が汚染されたままのチェルノブイリの例を挙げるまでもなく、自然に土地から放射性物質が消え去ってしまうことはありません。(p.91)

●今の「政府の暫定基準値」は1キロあたり100~2000ベクレルですから、どうも政府は密(ひそ)かに「1年5ミリシーベルト」で食材の基準を決めたらしいのです。私は良心的な流通会社までもが、きちんと説明もされていない「政府の暫定基準値」で安心していることが理解できません。単に「政府が決めた値だから安全だ」ではなく、自ら「自分たちは子供を守るために1年1ミリシーベルトを守る」と宣言してから「安全です」と言ってほしいのです。今のところ、食材のベクレルを表示している生協ですら、「政府基準=5ミリシーベルト=子供にも安全」としていますが、私にはやはり理解できません。(p.96)

●安全な食材を求める人には大変なことですが、当面は国内産の牛肉はダメと言わざるを得ません。オーストラリアは放射線に対して厳しい対策をとっていますので、オーストラリア産の牛肉などでしばらくは回避しておきたいと思います。(p.97)

●原子炉の中でできる主にヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムという4つの元素ですが、爆発事故から半年以上も経つと、半減期の長いセシウムとストロンチウム、プルトニウムがとりわけ問題になってきます。セシウムは比較的軽いので地上に出やすく、ストロンチウムとプルトニウムは重いので海や土壌に出やすいことは第1章でもお話ししました。現在、セシウムが関心を集めているのは、単にセシウムだけが大量に放出されたというのではなく、セシウムしか測っていないからです。(p.98)

●セシウムはカリウムに近く、全身に蓄積されます。そこから放射線を出して体の臓器を全体的に傷めます。ストロンチウムはカルシウムに似ていますから、体内に出ます。つまり、体内に取り入れられると骨に入るわけです。人間は骨髄で血液を作りますので、骨の中に取り込まれると、大変です。骨髄細胞をがん化させ、それが白血病の原因になるので、基本的には、セシウムよりもストロンチウムのほうがはるかに危険であると言えます。牛肉は肉ですから、筋肉のところにセシウムがたまりがちになります。ストロンチウムの測定がされていないので、この点については可能性としてお話ししますが、魚ではしらす干しなど、ストロンチウムがたまるとされる骨も丸ごと食べる場合もありますので要注意です。貝類の場合、ストロンチウムがたまると思われる貝の殻を食べることはしませんが、貝殻付きで様々な形で調理したりしますので、そういうときもストロンチウムは問題となります。(p.98)

●福島原発事故後初めてとなる新米の出荷時期が近づき、「200ベクレル以上は警戒、500ベクレル以上は出荷停止」という方針で進めるようですが、政府はできるだけ早く500ベクレルを、少なくとも早急に100ベクレル以下にする必要があります。それから、玄米が好きな方には申し訳ありませんが、精米した白米をおすすめします。セシウムは胚と糠層にたまります。~(中略)~しかし、セシウムの多くは胚と糠層にありますから、精米することである程度、セシウムを避けることができます。現実的には2011年に収穫されたお米を精米した白米の多くは、100ベクレルを切ってくるのではないかと思います。(p.104)

●もともと玄海原発は耐震性があまり高くなく、耐えられる津波は高さ2メートルです。それに福島原発事故で問題になった電源問題、付帯設備問題は残されたままですし、住民の「救命ボート」がないこと(マスク、風向き、ヨウ素剤など基本的な防護システムが整っていないこと)など、まったく再開できる状態にはないのです。(p.129)

●現実に震度6で東日本の原発が全部壊れたということは何を物語っているかというと、耐震性を上げられるのに、電力会社がサボっていただけなのです。耐震性を上げるのにたとえば1000億円かかるとすると、それよりも政治家、マスコミ、学者への「つけ届け(お金)」にして100億円で済ませようとし、結果的にはそうなっていたわけです。電力会社自身がそれを意図していたかどうかは別ですが、政治資金を出し、広告をじゃんじゃん打ち、東大の先生にがんがん研究費を渡すので、誰も原発に文句を言わなくなってしまったのです。そのため、震度6で原発が倒れているのに新聞で報道されないことになったのです。(p.143)

●東日本の原発の安全性をすべて間違った原子力安全委員会、経産省の原子力安全・保安院に安全を審査する能力はありませんし、再開は技術的にはとうてい無理なのです。(p.152)

●4号機の建屋が大分、ぼろぼろになっているので、地震や台風で建屋が倒れる可能性はあります。4号機は当時、定期点検中でしたので、プールの中にあるのは使用済み核燃料ではなく、「使用中核燃料」です。使用中核燃料は使用済み核燃料に対して約10倍の放射線物質を含んでおり、臨界にも達する可能性があるので、確かにそれなりに危ないのですが、それほど大きな問題ではありません。(p.156)

●たとえば私は4、5年ほど前、原子力安全委員会の専門委員として耐震基準を確認した上で「日本の原子力発電所は地震によって倒れるように設計されている」と発言し、その警告を繰り返してきましたが、ほとんど相手にされませんでした。そして、2年前に著書『偽善エネルギー』(幻冬舎)で「原発は地震で倒れる」と書いたときも、編集者からも「ええっ、武田先生、本当なのですか」と言われたぐらいです。もちろん、当時は「いかがわしい」わけです。しかし、現実には震度6で壊れてしまう原発が相次ぎました。「武田先生の予言が当たった」などと周囲からよく言われますが、私に言わせれば必然的なのです。(p.170)

●歴史的に見ても、社会がいかがわしいと思うところに真実があるわけです。現在では誰もが地球が回っていると知っていますが、かつて天動説が常識だった時代、イタリアの物理学者、ガリレオは地動説を唱えました。「それでも地球は回っている」と叫んだガリレオの説は、当時の社会では当然、いかがわしいわけです。人間は神から作られたと信じられていた中、生物進化論を主張したイギリスの生物学者、ダーウィンもそうです。(p.171)

●2015年ごろ、被曝が原因で小児甲状腺がんが急増し始める可能性があると第1章で書きました。もちろん、小児甲状腺がんには治療法がありますので、くれぐれも絶望はしないでください。~(中略)~要するに、子供に何らかの障害が出たとき、当時の所在証明書でもないと、被曝(ひばく)の影響だと証明するものが何もないからです。~(中略)~当時の所在証明書は福島の子供だけに必要というわけではなく、仙台から足柄までのすべての子供たちが対象になると思います。(p.175)

●それから大事なことは、将来に希望を持ち、明るく前向きに過ごすことです。がんというのは、元々が自殺因子ですから、死のうとか暗い気持ちでいるとできてくるものです。ですから、死ぬ、死のうとは思わないこと、不安や心配でくよくよしないこと、ストレスをためないことなどが大切になってきます。(p.177)

●言うまでもなく、がん予防には、栄養のバランス、休養なども必要です。今の子供たちには、カリウムやカルシウムなどをどんどん食べてほしいのですが、現在、小魚を食べるのは避けたほうがいいですし、牛乳の安全性については不透明な部分があるので、その代わりの栄養源として、信頼できる外国産サプリメントなどを摂取するのも1つの手です。(p.177)

●それから、学問的な証明は完全ではないのですが、セシウムは体内に入っても100日程度で排泄(はいせつ)されます(「体内半減期」)。運動などで新陳代謝を高め、カリウムの多い食品を適量摂取することなどで、セシウムを体の中から早く追い出すこともできると言われています。体内での「滞在」日数を少なくすれば、それだけ被曝が減ります。もちろん、新たにセシウムを体内に取り込まないことも重要です。(p.178)

●補足ですが、アメリカにお住まいの人からアメリカの医師が日本に行った人についてヨウ素剤を飲むようにすすめているというメールが私に届きました。アメリカでは事故直後から日本に行った旅行客にヨウ素剤を配っていました。チェルノブイリ事故のときにヨウ素剤を服用した子供には甲状腺がんが出なかったとされるからです。(p.178)

●したがって、2012年までは不動産や家の購入決定は遅らせたほうがいいと思います。~(中略)~なお、群馬大学の早川由紀夫先生が作成された図「福島第一原発から漏れた放射能の広がり(3訂版・7月26日)」(私のブログにも掲載しています。こちらからアクセスできます。→http://takedanet.com/files/26julyJDhighresoHayakawa.jpg)も参考にしていただければと思います。(p.180)

●福島原発事故から約半年経った9月、一般の方から、「福島原発から約200キロメートル離れた関東地方で掃除機のゴミを調べたところ、1時間6マイクロシーベルトを観測した」との連絡がありました。1時間に6マイクロシーベルトと言いますと、1年間で計算すると53ミリシーベルトになりますから、甲状腺がんなどが発症するレベルの放射線量です。家の中で放射線の測定値が高い場合は、もしかすると掃除機に入っているダストなどが関係していることもありますので、慎重に掃除機のダストを捨てて、掃除機を水拭きした方がよいでしょう。(p.180)

●しかし、1970年に40年といわれた石油はその40年後、つまり2010年にどうなったでしょうか。2010年に世界石油連盟が発表した石油の残りは実に43年でした。40年経ったらなくなるという石油が実際に40年経ってもゼロになっていないということはあり得ることです。(p.188)

●実にへんてこな結果です。これはどうしてそのようになるのだろうかと言いますと、実は今まで地下に眠る石油の量を推定する学問もなく、人間が実際に探査したこともありません。現在石油をどのくらい石油会社が持っているかというのを消費量で割って40年という数字を出しているだけです。(p.189)

●尖閣諸島事件では、中国が突然尖閣諸島の領有権を主張したのですが、その原因は尖閣諸島の下に石油が眠っているということに原因があるとされています。尖閣諸島の下の石油はイラン、イラク並みと言われていますので、少し多めに見ますと1500億バレル規模ということになります。日本は1年間に約15億バレルを消費しますので、その意味からいうと、日本で使う石油の100年分に相当します。つまり、日本は今、40年しか石油がないと言っていますが、実は日本だけでも少なくとも100年分はあるわけです。(p.190)

●このほか、東シナ海にも天然ガス、次世代エネルギーとして注目されているメタンハイドレートなどが豊富にあり、私がざっと計算してみると、東シナ海、尖閣諸島、オーストラリアなど、比較的日本が自由に石炭、石油などの資源を買えるところだけを考えても、どんなに短く見ても1000年分ぐらいは余裕であるわけです。(p.191)

●私は資源学を専門としてきましたので、一度、地球というものがどのくらいの石油、石炭、天然ガスなどを含むかという計算をしたことがあります。8000年分は十分にある、がその答えです。(p.192)

●世の中には心配性の人がいて、石炭はたっぷりあると言うと、今度は「石炭を焚くとCO2が出て温暖化が進むではないか」と不安になるようです。温暖化を怖がるのは心配性に過ぎないというのは、私の意見だけでなく、事実がそう示しているのです。現在の世界を見渡すと、CO2削減をものすごく一生懸命やっている国は日本だけで、ついでにやっているのがドイツ、イギリスです。言ってみれば、3か国しかなく、他国はCO2削減には動いていないのです。アメリカと中国、この2か国で世界の排出されるCO2の半分を出していますが、CO2削減はしていません。なぜかというと、簡単に言えば心配性ではないからです。(p.195)

●生物はCO2を使うものです。大昔、CO2は95%も空気中にあって、そのうち少しずつ減っていくのですが、恐竜が繁栄していたころは、まだCO2が今の10倍、20倍ありましたから、比較的生物が住みやすかったのです。ところが今は0.04%になってしまったので、植物の育ちも悪く、その植物を食べる動物も数が少なくなってしまいました。この原因の最も大きいのは、もちろんCO2不足です。(p.196)

●世界中のCO2排出のうち、アメリカと中国はそれぞれ22%から25%程度を出していますが、日本はたった4%しか出していません。したがって、中国が5%経済成長すると、日本がどんなにCO2排出を減らしても太刀打ちはできません。努力は水の泡になります。CO2問題があったとしても、日本だけが削減すれば済むというものではなく、他国と共同で行なわないと意味がありません。今、日本だけが犠牲になっているという状態なのです。(p.197)

●今回の地震や原発事故で、今までの日本のような非合理的、感情的な部分がなくなった場合、たとえば「再生可能エネルギー」という言葉自体がなくなると思います。エネルギーは再生可能ではないのです。再生可能なエネルギーはこの世に存在しないということが、すでに証明されており、物理では「エネルギーは再生可能ではない」としっかり教えるわけです。学問の基本中の基本のことを無視し、国を挙げて再生可能エネルギーなどという日本だけ(英語では更新性という意味の単語が使われる)の言葉が飛び交い、国会の場などでも言われるということ自体が原子力発電所の事故を招いたと、私はそう思うのです。やはり基本的なことがしっかりしないと、全体的なこともきちんとできないのです。(p.199)

●「地球温暖化が進むと南極の氷が溶ける」という非常にバカげた話もありますが、科学的には「温暖化が進めば南極の氷は増える」が正しいのです。日本人が地球温暖化のデータの根拠としていたIPCCの報告書にも、「現在の全球モデルを用いた研究によれば、南極の氷床は十分に低温で、広範囲にわたる表面の融解は起こらず、むしろ降雪が増加するため、その質量は増加すると予想される」(IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 2007年3月気象庁翻訳)というように、「温暖化が進めば南極の氷は増える」としっかり書いてあります。(p.199)

●1980年後半から技術的には、よくこういうことが言われました。「今までわれわれはアメリカやヨーロッパが開発してきた技術を発展させるだけだった。これからは基礎的な技術をつくり出し、それによって日本が先頭に立つのだ」と。今では、このようなことはまったく言われません。なぜかというと、日本にその力がないということが、残念ながらはっきりしたためです。日本人は素直なところがありますが、反面、自分で考えたり、自分で新しい概念を生み出したりすることはどうも不得意です。その結果、福島原発事故によって日本中の原発が「救命ボート」さえ用意していないことが明らかになっても、そのまま九州の玄海原発を再開させようというおかしなことになってしまいます。そこには統一された思想や哲学はほとんどなく、「現実に納得性があればいいや」「対症療法でいこう」というその場しのぎしかないことがはっきり見てとれます。(p.208)
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