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鎌田浩毅著「富士山噴火」
この本は、富士山・富士五湖周辺で地震が続いた時に購入しました。2007年の本で、Amazonの古本で購入しました。


●珪肺とは、珪酸(けいさん)を含む非常に細かい石の粉が肺の中に張りつくことで、呼吸困難や肺気腫(はいきしゅ)を起こすとされている。(p.18)

●つまり、噴火の際に火山灰が噴出するということは、①マグマが引きちぎられて空中へ放り出されたあと、②急速に冷えてガラスの破片になること、を意味する。そのため火山灰には、鋭い破面をもったガラスが含まれるのである。こられが肺の中に吸入されると、18ページで述べたように珪肺という症状を起こすのである。(p.22)

●乾燥すれば何週間も舞いあがり、雨が降るとまるでセメントのように固まってしまう。城の壁に使われている漆喰(しっくい)のように硬化するのである。(p.23)

●日本の上空には強い西風が吹いているので、基本的に火山灰は東の方角へ飛来する。年間を通してその傾向は変わらないが、風の向きは夏と冬で多少異なる。富士山上空の風も、季節によって吹く方向が異なるのだ。その変化を考慮して、季節ごとに火山灰が降り積もる場所を細かく描いたのが図1-6である。(p.28)

●たとえば、冬のあいだは上空を強い西風が吹いているので、火山灰は東へ集中的に飛ばされる。これと比べると夏のあいだは風向きが変化しやすいので、火山灰は全方向に散る傾向がある。このため富士山の西の方にも、若干の火山灰が降ることが予想されている。(p.29)

●地面に火山灰が5ミリメートル積もると、喘息(ぜんそく)や気管支炎をわずらっている人は咳(せ)きこみだす。2センチメートル積もると、ほとんどの人に症状が出る。1977年の有珠山噴火の直後には、火山灰が降った地域の半数近くの住民がのどや目の痛み、鼻づまりの症状を起こしたという。同様に、1986年に起きた伊豆大島の噴火後にも、のどの痛みを訴えたり咳きこむ子どもが増え、1991~1994年の雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)でも火山灰が降ったあとに喘息発作の患者が増えたと報告されている。これに加えて、気管支がせばまり呼吸がしにくくなる症状も多く発生した。(p.34)

●また、火山灰が肌に付くと、べたべたして取れにくい。手や顔はザラザラになるし、髪や背中にも細かい火山灰が入り込んでくる。服に付着しても、なかなか取れず厄介だ。私は野外に出て火山灰をたくさん含む地層を調査するときに、同じことを経験する。1時間くらい仕事をしていると、背中も頭もザラザラしてきて風呂に入りたくてたまらなくなるのだ。富士山が噴火すると、関東中でこのような状況になるのである。(p.36)

●火山灰は家の隙間からも簡単に中に入ってくる。戸外で火山灰が舞ってきたら、窓や戸を閉め切るだけでなく、台所やエアコンの換気口などもテープで目張りをすることが重要である。(p.36)

●火山灰が屋根の上に1センチメートル降り積もったとすると、1平方メートルあたりの重さは10キログラムほどになる。さらに雨で濡れた火山灰では、1平方メートルあたりの重さが20キログラム程度になるという計算がある。このため、雨が降ったあとにしばしば家屋が潰れている。(p.39)

●道路に火山灰が積もると、車は火山灰を巻き上げながら通行する。舞いあがった火山灰は、自動車の吸気口から吸い込まれる。これがエンジンのフィルターを詰まらせてしまうのである。この結果、道路には走行不能となった自動車が多数、立ち往生することになる。~(中略)~聞くところによると、トヨタの自動車には桜島火山から降ってくる火山灰対応の「鹿児島仕様」車があるという。(p.48)

●火山灰が降っている最中の運転には、さまざまな注意が必要である。まず、ワイパーを使うとフロントガラスの表面が傷ついて、すりガラスのようになってしまう。したがってウォッシャーを頻繁にかけながら使用しなければならないが、水を含んだ火山灰はべっとりとフロントガラスにこびりつくだろう。また、エアフィルターやオイルフィルターは、火山灰が詰まって機能が低下する前に交換する必要がある。さらに、道路上に薄く積もった火山灰が、タイヤを滑らせるおそれもある。イタリアのシチリア島にあるエトナ火山の噴火で、実際にこのようなことが起きた。(p.48)

●火山灰は飛行機やヘリコプターや船舶のエンジンを止めてしまう。エンジンの吸気口から入り込んだ細かい火山灰は、いったん高温のエンジンの中に入る。火山灰は摂氏550度を超えると、軟らかくなりはじめる。エンジンの燃焼室の温度は摂氏1000度にもなるので、火山灰は完全に溶けてしまう。溶けた火山灰はマグマと同じである。このマグマは、燃焼室から出ると一気に冷やされる。冷えたマグマは固まって岩石となり、燃焼ガスの噴射ノズルをふさいでゆく。完全にふさがれると、エンジンは停止する。(p.50)

●たとえば噴出総量の大きかった青木ケ原溶岩の場合は、10年以上も流出したと考えられている。とても1~2年でできるような溶岩原ではないのである。(p.69)

●溶岩流は、流れる速さがそれほど速くないため、溶岩の流出が確認されてから避難を始めても余裕がある場合が多い。ただし、山麓にある火口の近くなど、溶岩が短時間で到達する可能性のある場所では、速やかに避難する必要がある。たとえば、富士吉田市や御殿場市の一部には、24時間以内に溶岩が流れてくる可能性がある。(p.75)

●富士山は冬季には雪で覆われ、最大の積雪は4月頃になる。この時期に高所で火砕流が発生した場合には、融雪型(ゆうせつがた)の泥流(でいりゅう)が起きる可能性がきわめて高い(泥流については第6章参照)。すなわち、高温のマグマが雪を融かして体積を増加してから、一気に流下するのである。(p.129)

●事実、2900年ほど前に、富士山では東斜面が山体崩壊を起こし、岩なだれを発生させたことがある。このときの岩なだれ堆積物は、現在の静岡県御殿場(ごてんば)市を埋めつくしたため、「御殿場岩なだれ」と呼ばれている(専門用語としては「御殿場岩屑なだれ堆積物」)。(p.144)

●富士山の山頂付近は秋から春にかけて、雪ですっぽりと覆われている。この時期に山頂から噴火活動が始まると、雪を融かして大量の水が出現する可能性がある。たとえば、火砕流が噴出した場合には摂氏500度を超える高温により斜面に積もっていた雪や氷が急速に融かされ、斜面を構成する土壌や火山灰と一緒になって泥流を発生させる。(p.161)

●いま話題となっている東海地震などの巨大地震に触発されて、それに富士山の噴火が連動するかもしれないという事態だ。地震と噴火というダブルショックが首都圏から東海地域を襲い、日本の政治経済を揺るがすような一大事となるおそれがあるというのである。この話はフィクションではない。江戸時代に起きた宝永噴火では、その49日前に宝永(東海南海)地震という巨大地震が発生した。地震被害の復旧で忙殺されている最中に、富士山噴火に追い打ちをかけられたのだった。実は、さらに恐ろしい事態もわれわれは想定している。2900年ほど前、富士山の西方にある富士川河口の付近で、直下型地震が発生した(第5章参照)。この大揺れが引き金となって、富士山の東斜面が大崩壊してしまったらしい。(p.193)
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