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肥田舜太郎、鎌仲ひとみ著「内部被曝の脅威」
この本の副題は、「原爆から劣化ウラン弾まで」です。2005年に書かれた本です。




●私たちは唯一の被ばく国といわれる日本に住んでいながら、放射線や放射能が人間にどのような影響を及ぼすのか、実は教えられてもいなければ理解してもいない。(p.8)

●このような状況とはうらはらに、たとえ原爆は使用されなくとも、無数の被ばく者を日々新たにこの世界に生み出す現実が進行している。すでに私たち一人一人が被ばく者になっているかもしれないのだ。私たち自身の被ばくに関する無知や無関心を今こそ問い直す時ではないだろうか。(p.9)

●国際放射線防護委員会(ICRP)は放射線に関する世界的権威である。ICRPは長い間、微量の放射性物質による内部被ばくを過小評価してきた。(p.10)

●その後、全ての被ばくは"経済的、社会的要因を考慮に入れて合理的に達成できるかぎり低く"保つという欲求がいっそう強く強調されるようになった。このことの意味は「放射線は人体に危険を与える潜在的な可能性のあるものであるが、一方で人類にとって必要不可欠な存在であるから社会が容認できるような被害にとどめるための安全な基準を設定しよう」というものだ。人や社会が容認できる「被ばく」の限度、すなわち「現在の知識に照らして身体的または遺伝的障害の起こる確率が無視できる」線量を超えないような線量限度を勧告している。これがICRP勧告と呼ばれているものだ。(p.10)

●日本ではICRP勧告を受けて、市民が1年間に浴びても健康上の問題はないとされる放射線の被ばく量を、年間1ミリシーベルト(人間が受けた放射線の影響の程度を表す単位。日本では5ミリシーベルトで屋内待避が勧告される。放射線の単位については78-80頁を参照のこと)と設定している。この1ミリシーベルトという被ばく量は、これだけ浴びたからといって必ず影響がでるということではなく、これ以下に抑えたほうが安全であるという予防的な数値であるとしている。(p.11)

●国際的な権威であるICRPが規定する放射線量に対して、歴史上、少なくない数の科学者が異議を唱えてきた。これらの科学者たちは、より微量の放射線でも人間は影響を受けると主張している。しかし、どれも科学的データが不足しているとされ、研究が引き続き必要という言い回しで学会では事実上否定されてきた。(p.12)

●世界保険機構(WHO)の報告によれば、経済制裁が直接の原因で、15歳以下の子供がなんと60万人も死んだという。国連は、水の消毒薬や抗癌剤が大量破壊兵器の材料になるとして、イラクへの輸出を制限していた。(p.15)

●湾岸戦争時、米軍はここでクウェートから撤退するイラクの戦車隊を劣化ウラン弾で壊滅させた。~(中略)~装甲にはまるで柔らかい豆腐に指をつっこんだような穴が開いている。劣化ウラン弾の弾痕の特徴だ。劣化ウラン弾は目的物にぶつかった衝撃で3000~4000度という高い熱を出す。その熱でぶ厚い戦車の装甲を貫通して、内部で爆発を起こすように設計されている。~(中略)~ガンマ(線)放射線計測器で穴の周囲の汚染状況を計測すると、針が少し上向きに振れ、地上に転がっていた30ミリ弾を測ると、一段と高い音を出して針は通常のおよそ百倍の値、3.50マイクロシーベルト/時(他の場所では0.03マイクロシーベルト/時)を指した。(p.18)

●「わしゃピカには遭(お)うとらんのじゃ。あの日の昼から中隊長の命令で広島に入り、怪我人を助けて運んだり、死骸を運んだりした。二晩、浅野邸で寝て、三日目に救援作業に出よう思うたら気分が悪うなり、ここへ運ばれてきた。なして、わしの髪の毛は抜けるんじゃ、ピカには遭(お)うとらんのに」最後の方は息ぎれしてしどろもどろになったが、ピカには遭ってないと繰り返し訴える通り、からだのどこにも火傷や怪我がなく、衣服にも破れや焼け焦げはない。本人の訴える通り、原爆の爆発時に市内にいなかった者に、どうして死んでゆく被害者と同じ症状が現れるのか。~(中略)~死因不明で私の手のなかで死んだこの人の名を私は知らない。しかし、この人こそ、その後の60年、私が生涯かけて探究することになった原爆の内部被曝の最初の証人だった。(p.36)

●閃光(ピカ)にも爆風(ドン)にも遭っていない者が市内に入っただけで原爆病を発病し死亡した典型をもう一人紹介したい。(p.40)

●私が低線量放射線という言葉をはじめて知ったのは、1976年にアメリカ、ピッツバーグ大学医学部放射線科のスターングラス教授から頂いた"Low-level radiation"(邦訳、『死にすぎた赤ん坊-低レベル放射線の恐怖』時事通信社)という教授の著書による。教授は1953年のネバダ核実験(サイモン)の放射性降下物(死の灰)が各地に大量に降って、専門家の多大な関心を呼び起こして以降、1963年まで続いた大気圏核実験と、スリーマイル島原発事故、サバンナリバー原爆工場事故に代表される核施設の大事故により、空中、水中に放出された低線量放射線の危険性、有害性について、膨大な資料をあげて警告し続けてきた稀有の科学者である。(p.65)

●スターングラスはこの本のなかで、微量の放射線も、それが体内から放射されると、精子、卵子、胎児、乳児、老人に吸収されて大きな障害を引き起こすこと、さらに我々が鼻や口から摂取する微量の放射性物質が、何代も経た後世の子孫のなかに流産、死産、先天性奇形をはじめ、癌、白血病などの不幸な犠牲者を、加害者不明のまま作り出す可能性を教えている。(p.67)

●原爆製造のマンハッタン計画は1939年から始動したが、参画した科学者、医学者のなかに核分裂エネルギーを破壊力として利用(爆弾志向)しようとするグループと、原子炉を通じてエネルギーを取り出そうとするグループが生まれ、後者のなかには放射線分子を体内にいれて殺傷する発想があり、プルトニウムを経口(食事や水にいれて)、注射で与える人体実験が行われたことが報告されている(『プルトニウムファイル』アイリーン・ウェルサム著、渡辺正訳、『原爆はこうして開発された』山崎正勝、日野川静枝編著)。内部被曝は原爆製造の初めから意図されていたのである。(p.68)

●①代表的な放射線は3種類あって、ガンマ線、アルファ線、ベータ線と呼ばれている。
②ガンマ線は、エックス線の一種で真っ直ぐ放出され、貫通力が強く、体外からの被ばくの主役である。
③アルファ線は、0.1ミリメートルしか飛ばず、貫通力は弱く、紙一枚で止めることができる。
④ベータ線は、飛距離は約1センチメートル、貫通する力はガンマ線とアルファ線の中間である。(p.72)

●放射線による被害を考える場合、爆発時、直接、爆弾から放射された放射線がからだを一瞬に貫通するいわゆる、「体外被爆(直接被爆)」と、爆発後、空中、水中に放出されて残留した放射性物質が鼻、口、皮膚から体内に入り、その存在を確認することができない微量の放射性物質が長期にわたって体内から放出し続ける低線量放射線による「内部被曝」の2つが問題になる。(p.73)

●③シーベルト(旧単位はレム)どれだけ「被ばく」をしたかを測る単位。人間のからだは場所によって放射線への感受性が違う。そのため、それぞれの臓器や組織の感受性を表した数値が定められている。人体が放射線を外部から浴びた時、その吸収量が同じでも、放射線の種類や浴びた臓器によって影響が異なる。このような違いを考慮して計算された「被ばく」量の単位がシーベルトである。(p.79)

●人類は2万年の進化の過程で、地上に存在する放射線量に適応してきた。つまり、自然界放射線を出す物質を体内で認知し、体外に排出するというメカニズムを持ったのである。ところが、人工の放射性物質はここ60年ぐらい前に突然現れ、人体にとっては全く未知の物質である。しかも、自然界のミネラルや金属と非常によく似ているので、人体は間違えて体内に取り込み、新陳代謝のメカニズムに混乱を起こしてしまう。人体は微量元素を濃縮する作用と機構を持っているので、本来なら栄養を吸収するメカニズムが放射性物質を濃縮する結果となってしまう。(p.81)

●また、ストロンチウム90は骨に沈着して最も排出されにくいことで知られている。このことについては1943年、原爆製造中のマンハッタン計画の中枢で、中心的な科学者のエンリコ・フェルミが主任のオッペンハイマーに「ヒットラーに原爆製造を思い留まらせるには放射性物質をドイツの小麦畑に蒔くのが効果的だ」と話した時、オッペンハイマーが「それには骨に沈着して離れにくいストロンチウム90が一番よい。ただし、50万人を殺せる確信ができるまではやめた方がいい」と答えたという話が残っている。(p.81)

●残留放射線の体外からの影響が微弱であり、無視できる低線量の放射線であり影響がないとされる根拠は、放射線分子の飛距離(アルファ線が約0.1ミリメートル、ベータ線が約1センチメートル)が短く、しかも皮膚を透過する力がないからだとされる。しかし、いったん体内に取り込まれると半径1ミリメートルの射程距離内には直径7~8ミクロンの細胞は少なくとも30~50個はゆうに存在し得る。当然、アルファ、ベータの両放射線はこれらの細胞に到達できる。(p.85)

●そして、放射時間を長く延ばせば延ばすほど、細胞膜破壊に必要な放射線量が少なくて済むことを確かめた。こうして、「長時間、低線量放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊する」ことが、確かな根拠を持って証明されたのである。これが、これまでの考えを180度転換させた「ペトカウ効果」と呼ばれる学説である。(p.91)

●③ピッツバーグ大学の教授で職業病研究のパイオニアであるT・F・マンキュウソーや、オックスフォード大学医学部の教授アリス・スチュワートとクニールらの調査、勧告によって、ワシントン州ハンフォードのプルトニウム製造工場の全労働者は、放射線現場の最高許容線量が引き下げられ、被ばく線量は最低だったにもかかわらず、1977年の発癌率は最高を示した。(p.106)

●1950~89年の40年間にアメリカの婦人(白人)の乳癌死亡者が2倍になったことが公表された。~(中略)~統計学者のJ・M・グールドは報告に使われた統計に不審を抱き、全米3053郡(州の下の行政組織で日本の郡に同じ)が保有する40年間の乳癌死者数を全てコンピュータに入力し、増加した郡と横ばい並びに減少した郡を分類、調査した。その結果、1319の郡が増加し、1734の郡が横ばい、または減少しており、乳癌死者数には明らかに地域差のあることが判明した。グールドはコンピュータを駆使して、増加している1319郡に共通する増加要因を探究し、それが郡の所在地と原子炉の距離に相関していることを発見した。即ち、原子炉から100マイル以内にある郡では乳癌死者数が明らかに増加し、以遠にある郡では横ばい、または減少していたのである。乳癌死者数の地域差を左右していたのは、軍用、民間用を問わず、全米に散在する多数の各種原子炉から排出される低線量放射線だったのである。(p.114)

●2002年に私はグールドに倣い、日本に52基ある原子力発電所ではどのようなことになっているのか、調べてみた。ところが日本全土が原発を中心にして100マイルの円を描くとすっぽり入ってしまい、原発のある県とない県を比較することができなかった。同時に、戦後50年間(1950~2000年)の日本女性の全国及び各県別の乳癌死亡数をグラフ化し、次の事実が明らかになった。(死者数は10万対)
①全国死者数は1950年の1.7人から2000年の7.3人まで一定の勾配で右上がりに上昇し、4.3倍になっている(図6)。
②次に気象庁の放射性降下物定点観測所(全国12カ所)におけるセシウム137の降下線量(1960~1998年)を調べた。降下量が増加しているのはつぎの通りである(図7)。
 ②a 第1期(1961~1963年)米ソ英仏が瀕回に大気圏核実験を行った時期。
 ②b 第2期(1964~1981年)1963年に大気圏核実験禁止条約発効で実験が中止、代わって中国が1964年から核実験開始。セシウム137はわずかに増加。
 ②c 第3期(1968~1986年[チェルノブイリ事故の年])秋田観測所でのセシウム137が単年度に極端に増加した。
③秋田観測所でセシウム137の降下量が著明に増加しているのは1986年だけである。原子力発電所運転管理年報によれば、この年には国内の原発にはどこも大きな事故の報告はなく、県別乳癌死者数分布図(図8)から推定して、1986年のチェルノブイリ原発事故から放出された放射性物質が死の灰の雲となって日本の東北部に濃厚に降下したものと考えられる。(p.115)

●1987年、政府はハンフォードに関する機密書類を公開した。1万9000ページに及ぶその書類のなかから、驚くべき事実が明らかになった。それは、9つの原子炉が日々の操業のなかで、無自覚にもしくは意図的に様々な種類の放射性物質を放出していたことである。その放出量の総量は、スリーマイル島の事故の1万倍にも相当していた。西側世界で最大の放射能汚染が引き起こされていたことが分かったのだ。しかも、そこに住んでいた住人はその事実を誰一人として知らなかった。(p.130)

●就任一期目にしてジョージ・ブッシュ大統領はあらゆる住民訴訟から原子力施設を守ると宣言して60億ドルの予算を計上した。「ワシントン州東部における甲状腺疾病調査」と銘打って行われた疫学調査は2000万ドルもの費用をかけ、健康への影響はなかったと結論づけた。内部被曝の被害は「全く心配ない」、「問題にならない」、「無視できる」、あるいは「国際的に容認されている基準や限度を十分に下回っている」などというお決まりの文句で、歴史のなかで否定されてきた。あらゆる放射能汚染が起きている、現地に住む当事者が異変を感じていても「癌などの疾病が増えるほどの放射能汚染はない。たとえ存在しても低いものだ」とされてきた。(p.134)

●癌の発症率が、原子炉が近隣に存在するか否かでいかに違うか、J・M・グールドが行った調査をみれば一目瞭然だ。図10に示したとおり、地図中で黒く塗りつぶされた州には原子炉が存在し、他の地域の5~6倍、癌の発症が増えている。グールドは内部被曝に関する情報統制が行き届いているアメリカでは稀有の存在であるといえるだろう。彼の発表した内部被曝に関する報告はことごとくメインストリームの科学者たちに反論され疑問が投げかけられている。学会のメインストリームにいる学者が発表する論文は圧倒的な経済的サポートを受けている。(p.141)

●私は2003年10月、ガッティ博士にハンブルクのウラン兵器会議で会ってインタビューをした。彼女の専門はミクロナノ微粒子が人体に及ぼす影響の研究である。「環境透過型電子顕微鏡」という新しい機材を使って調査し、ミクロン以下の微粒子がかなりの高い可能性で人体に入り、生理学的な壁を抜けて入っていくことを発見した。もし人間が2.5ミクロン以下の粒子を吸い込んだとしたら、肺の防御を超え血流に入り体内を循環する可能性が高い。汚染された食物を食べた場合には、含有している2マイクロインチ以下の粒子は肝臓、腎臓の防御機構から通り抜けて血流に入っていく。(p.152)

●母親の子宮は本来胎児を守るバリヤーとなって様々な毒が入ってこないような仕組みになっている。しかし、被ばくには「若者優先」という法則があり、若ければ若いほど放射線に敏感で影響を大きく受ける。体内に入った放射性物質はやすやすと子宮のバリヤーを通り抜けて、胎児に蓄積し、影響を与えてしまう。これもまた人間の最も深い部分が被ばくによって侵されているということだ。(p.168)

●ある環境NGOが、青森県六ケ所村の再処理工場にのびた排水口に一万枚の葉書を投入したところ東京湾の入口まで漂着した。(p.169)

●劣化ウランを世界で最初に掘り出させられたアフリカのコンゴ人たちや、アメリカやカナダのウラン鉱山で働かされたネイティブの人たちが死んでいく-。そういうところから被ばくははじまっているわけです。こうして掘り起こされたウランが原料となって核兵器が作られるわけですが、兵器が完成するまでのプロセスにおいて、すでに莫大な数の被ばく者が存在するわけです。(p.182)
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浮気調査は第一信用総合調査【2012/04/02 17:48】