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スコット・バークン著「イノベーションの神話」
Title:the myths of innovation
Author:Scott Berkun

この本は、もう2週間ほど前に読み終わっていたのですが、なかなかアップできませんでした。なんだか疲れて、9時くらいに寝てしまい、パソコンも立ち上げない日々が続いてしまいました。。。

●素晴らしいと思えるアイデアはすべて、無数の小さな既存のアイデアから成り立っているのです。同じことが、イノベーションというもの自体にも当てはまります。ほとんどの場合、魔法の起きるたった一つの瞬間など存在しないのです。あるのは時とともに積み重ねられていく小さな洞察です。(p.8)

●神話の持つ力は極めて強大であるため、大きなアイデアだけで成功することはできないという教訓を知ると、多くの人はかなり驚くはずです。(p.9)

●ニュートンやアルキメデスの神話から得られる最大の教訓は、情熱的に仕事を行うことは大切であるものの、気分転換も忘れてはいけないということです。木陰で休んだり、風呂に入ることで心を解き放ち、私たちに代わって潜在意識が自由に仕事を行えるようにするのです。世界的な物理学者であり作家でもあるフリーマン・ダイソンも同様の意見を持っており、「私は息抜きが非常に大事であると考えている。・・・・・・一般的に言って、自ら常に忙しく立ち振る舞っている人はクリエイティブにはなれない。だから私は息抜きすることを恥ずかしいとは思わない」と述べています。私は勉強せずにサーフィンすることを正当化しているわけではありません。息抜きとして何らかの作業を行った場合、その息抜きのおかげで良い結果が生み出されるということを言いたいだけです。一部の仕事中毒のイノベーターは、これを少しひねり、複数のプロジェクトを同時に実施し、一方のプロジェクト作業をもう一方のプロジェクト作業の息抜きにしています。(p.13)

●上の文章をもう一度噛みしめてください。関連付け能力と狂気の違いはほとんど見あたらないはずです。このため、変人とクリエイティブな人を隔てる細い小径を歩んで行く際には、時折どちらかの領域に足を踏み入れてしまうこともあるわけです。多くの偉人が変人であると揶揄される理由がここにあります。彼らは、一見しただけでは論理性の見えないアイデアを試したり、他人が理解できないような関連付けを行おうとするため、必ずこういった評価を受けてしまうわけです(マッドサイエンティストや気まぐれな芸術家というステレオタイプが存在することには、それなりの理由があるのかもしれません)。新たなアイデアを生み出すには、すぐに理解できる人がほとんどいないような疑問やアプローチが必要となるため、真のイノベーターは孤独で誤解されやすい人物になるというリスクを負うことになるのです。(p.14)

●歴史というものは、失われたもの、秘密にされたもの、意図的に隠蔽されたものについては何も伝えてくれません。ほとんどの場合、伝えられるのは成功譚であり、成功の礎となった失敗は少しも含まれていないのです。そして少なくとも、ストーリーに欠けている部分を想像することなしに、何かを成し遂げる方法を概観しようとするのは、とても危険なことだと言えるのです。(p.25)

●ジョルジュ・デ・メストラルは、ハイキングに行った際、服に野生ゴボウの実がくっついていることに気付き、そこからマジックテープのヒントを得ました。彼は野生ゴボウの実のくっつきかたについて興味を持ち、顕微鏡で調べ、いくつかの実験を行ったのです。彼はダ・ヴィンチと同様に自然界からひらめきを得て、野性ゴボウの実と服から、フック面とループ面がかみ合って貼り付くマジックテープを設計したというわけです。(p.47)

●アイデアがあったとしても、それは人々に送り届けられない限りイノベーションとはなりません。人によってはこれをマーケティングと呼び、些細なこととして片付けようとしますが、意図していたユーザーのもとに送り届けられなかったがために失敗したというイノベーションは、過去に数多くあるのです。また、何十年にも渡って姿を消していたものの、適切な人々に送り届ける方法が見つかったために再発見されることになった偉大なイノベーションというものも実際に存在しています。(p.51)

●革命的なアイデアは、人々が受け入れるには斬新すぎるということもあるのです。その場合、その時点で存在している概念を用いてそのイノベーションを説明しなければならないこともしばしばあります。自動車の出力を馬力で表現し、電灯の明るさをロウソクの本数で表現したのは、このような理由があるためです。(p.51)

●3Mは、研削砥石用の鉱物を採掘する企業として、Minnesota Mining and Manufacturing Co.という社名で1902年に操業を始めました。(p.53)

一つのアイデアに何年も取り組んでいると、疑問を投げかけ、再考し、再び全力投球する勇気を持ち続けることは難しくなってくるものなのです。(p.56)

●イノベーションでは、安全である、あるいは楽しいと判っているものに対してではなく、判っていないものに対して信念を持つことが要求されるのです。~(中略)~最初に試してみる時には、どういった結果がもたらされるのか判らないのです(また、何回試みればうまくいくのかも判らないのです)。そして、アイデアがいくら素晴らしいものであろうと実際に証明できなければ、想像上のメリットは現実に存在する、すなわち想像上のものではない変化に対する恐れの前で色褪せてしまうのです。これによって不幸なパラドックスが生み出されます。アイデアの持つポテンシャルが大きければ大きいほど、人にそれを試してもらうことが困難になるのです(これについては8章で詳しく考察します)。(p.62)

●Digital Equipment Corporationの創業者であるケン・オルセンは1977年に、「あらゆる人が自宅にコンピュータを置きたいと思うようになる理由など存在しない」と述べています。また、フランスの一流芸術評論家たちは、エッフェル塔が建造された際に「この、内臓から突き出たような痛ましい街灯は、不幸と絶望の象徴のようだ」と酷評しています。(p.64)

●多くのイノベーターは、とても素晴らしいプロトタイプや計画が手元にあったとしても、アイデアというものはイノベーションの出発点でしかないということを知ると、あきらめてしまいます。その後の道筋で遭遇する難題に立ち向かうには、頭脳の明晰さよりも、人を説得するスキルの方が必要となるのです。有名な発明家のハワード・エイケンは、「アイデアを盗もうとする人々のことなど心配する必要はない。アイデアにオリジナリティがあるのであれば、どんな手を使ってでもそれを人々に受け入れさせなければならないのだ」と述べています。アイデアを納得するさせるために人を責め続けてもまず効果はありませんが、エイケンの主張は理に適っています。たいていの場合、人々はあなたのアイデアに対して、あなたほどには興味を抱かないものなのです。(p.66)

●革新的なアイデアは、それがもたらすメリットのせいで却下されることなど滅多になく、人々がそれをどう感じるのかということによって却下されます。もしもあなたがイノベーションを提案する際に、人々の懸案事項や感情に配慮しなかった場合、あるいは提案するものに対する彼らの観点を理解しようとしなかった場合、あなたは失敗の準備をしていることになるのです。(p.68)

●エベレット・ロジャーズはその著書『Diffusion of Innovations』で、以下のように記しています。多くの技術者は、優れたイノベーションであれば優れているというだけで受け入れられ、新しいアイデアの持つ明白なメリットは潜在的利用者によって広く認知されることになるため、そのイノベーションはあっという間に普及するだろうと考えている。しかし残念なことに、こういったことは滅多に起こらないのだ。ほとんどのイノベーションの普及速度は、驚くほど遅いというのが現実なのだ。(p.72)

●「発案者」という言葉の定義を明確にするというのも、これを解決する一つの方法でしょう。ソフトウェアエンジニアのブライアン・ディケンズは次のように述べています。「発案者」という言葉が、何かに関するアイデアを最初に思いついた人物を指すのか、実際に動作するものを最初に作り出した人物を指すのか、その発明を最初に商業的な成功へと導いた人物を指すのかという疑問は解決されていない。新しいテクノロジーを実用に供するものとするためには、こういった3つのステップすべてを実現しなければならないのは明らかである-しかし、こういったことすべてを、一人の人間が外部からの影響を受けることなく一度に行うことなどあり得ないのだ。(p.85)

●以下は、アイデアを否定する際に用いられる心ないセリフです。こういったセリフは、有益な批評や示唆を与えることを面倒くさがっている人々が用いるものであり、これによってアイデアを刺激するための質問を返す機会を自ら握りつぶしたり、優れたアイデアを持っていそうにないという先入観によって人をやりこめてしまうようになるのです。「そんな予算はない」とか「時間がないんだ」といったフレーズには、いくらかの真実が含まれているものの、十分に優れたアイデアのためであれば予算やスケジュールは変更できるはずなのです。その他の、「そんなことはやったことがない」といった馬鹿げたフレーズは、新しいアイデアに関して優れているとか劣っているという条件を述べているわけではありません。
・そんなことはもうすでに試してみた。
・そんなことはやったことがない。
・ここではそんな風にしない。
・そんなことはうまくいくはずがない。
・そんな予算はない。
・それは興味深い問題ではない。
・そんな時間はない。
・そんなことは上役が承認しない。
・それは関係のない話だ。
・誰もそんなことを喜ばない。
・そんなものは採算がとれない。
・お前はなんて馬鹿なんだ?
・お前は口ばっかりだから黙ってろ。(p.101)

●そして、おそらく創造性にとってさらに悪いことですが、現代の大人たちは効率を重視しているため、高速走行車線や電動工具といったものを用いることで常に時間を節約しようとしています。効率性の追求というものは、探検家や発明家が目的を達成するために採る方法ではありません。彼らは長い間フィルターを取り去り、誰も行ったことのない場所に行こうとするのです。彼らは安易な道を意図的に避け、危険なところに足を踏み入れるわけです。しかしほとんどの人々は、創造性を必要とする場合であっても、あまりにも早くフィルターをかけてしまうのです。(p.104)

●経験豊富で自信のある人ほど新たなアイデアによって失うものが大きいため、そのアイデアに抵抗を示すことになるのです。(p.112)

●ドラッカーは「マネジメントは、どんなものでも一定期間以上存在すれば正常と見なし、それらが永遠に存続するはずだと考える傾向にある。このため、一定期間以上存在していないものは不適切なものとして却下されるのだ」と書いています。ほとんどのマネージャーは、自然に生まれてくるこういった偏見に気付いていない、あるいはそれを克服する訓練を受けていないため、未完成で一風変わったアイデアに対する心の準備ができていないのです。これは知性や意図の問題ではなく、マネジメントの目的を再評価するという意思の問題なのです。(p.113)

●アイデアの寿命を健全に保っているチームはすぐに判ります。そういったチームでは、アイデアが自由に、そして大量に飛び交っているのです。対話によって疑問点や示唆が活発にやり取りされ、プロトタイプの作成やデモが定期的に行われ、メンバーは優れたアイデアを発見し、それをものにしようと全力を傾けています。(p.116)

●創造性のジャングルにいてしかるべきチームが、乾ききった砂漠をさまよっているという場合、その責任はまず、チームのマネージャーにあります。マネージャーは、ともに仕事するメンバー全員のためにアイデアの寿命に気を配り、生まれたばかりのアイデアを育むために時間と予算を投資し、メンバーに精神的な余裕を与え、アイデアの展開や仕上げ、(新たなアイデアへの)再生をサポートする必要があるのです。(p.117)

●IDEOのジェネラルマネージャーであり、『発想する会社!』の著者であるトム・ケリーは、以下のように述べています。イノベーションというものは、温室で生い茂るのだ。温室とは何のことだって?優れたアイデアの成長を育む要素が揃っている場所のことだ。そこには熱、光、水分、そして十分な栄養があるのだ。私たちが語っている温室というのは、もちろん職場、つまりオフィス内で作り上げられる世界のことであり、チームが共に働く場所のことだ。(p.118)

●天才にはできないものの、その天才のマネージャーならできるということがあります。それは援護射撃です。マネージャーは、権威、インスピレーション、カリスマ性といったものを用いて自分のチームを守るというとてつもない重荷を負わされるのです。イノベーションというものはいつの世においても、権威を持つ者を脅かす存在となります。また、予算削減を目指す役員によって最初に目を付けられるのがイノベーションであるということもしばしばあります。~(中略)~スティーブ・ジョブズは、MacintoshプロジェクトをAppleの本拠地にある別棟で進め、社内の他部門から隔離しました。東芝においても同様の話があります。~(中略)~ブレークスルーにまつわるすべての話には、イノベーションが生み出されるまで誰がその盾となったという逸話があるのです。(p.119)

●例えばもし、マネージャーが白紙撤回されるような予算(または資金の貸し付け)を当てにしていたり、達成できないことをできると主張していたりする場合、どんなに素晴らしいアイデアと創造的な環境があり、卓越した人材が揃っていたとしても、その取り組みは頓挫するはずです。一方、リーダーが必要以上に保守的であり、必要なリスクを冒さないという場合、プロジェクトは生き延びられるかもしれませんが、目標を達成することはできないはずです。(p.120)

●Palmの創業者であるジェフ・ホーキンスは、すでに発売されていたPDAに対する消費者からのフィードバックについて、彼のチームは競争相手と同じ程度の理解を有していると判断しました。~(中略)~そこでホーキンスは、自宅でメモ帳を片手に夜を過ごし、Pilotプロジェクトの目標となる以下の項目を書き上げたのです。
・シャツのポケットに収まること
・PCとシームレスに連携できること
・すぐ、簡単に使用できること
・299ドルを超えないこと(p.150)

●イノベーションを成功させる上で欠かすことのできない要素、すなわち問題の要となる制約に注力するというチームの能力こそが、Pilotのすごさを実現したのです。重要な目標を選び出すことによって問題の枠組みを作り出すという手法は、目新しいものではありません。十戒、米国の権利章典、面白いゲームのルールでさえもこういったことが実践されているのです。(p.153)
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