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高橋俊介著「プロフェッショナルの働き方」
高橋先生の本は「キャリアショック」に続き、今年2冊目です。

●私が最も驚いたのは、40代の人たちの意識です。この世代というのは働き盛りであるにもかかわらず、自分が何のために働いているかということをきちんと考えている人の割合が、他の世代に比べ明らかに低い。40代というのは従来の日本企業でいえば、管理職の肩書が与えられる年代です。一方で、現在の40代というのは、日本経済がバブル景気にわいていた真っ最中に入社しているためボリュームが大きく、どの会社でも過剰感が強いという特徴があります。(p.5)

●キャリア研究の世界的権威であるスタンフォード大学のクランボルツ教授の提唱する「計画的偶然性理論」によれば、キャリアの8割は予想外の偶発的な出来事によって決定されるとのこと。つまり、現代のような変化の激しい時代においては、想定外のことがかなりの確率で起こるので、事前の計画どおりものごとが進まないほうが、むしろ自然なのです。そう考えると、大事なのは目標を立てて効率的にそこに向かうことではなく、偶然のチャンスを引き寄せる日ごろの働き方や、偶然性を高める人間関係の構築に投資することのほうだといえます。同時に、現代社会では誰もが、好む好まないにかかわらず、人生のかなりの部分を仕事に費やさざるを得ないのですから、長期にわたって充実感と働きに見合う収入を確保しながら、第一線で働くというイメージを持ち続けることも忘れてはならないのです。それは、プロフェッショナルとしての働き方を模索し続けることだと言い換えてもいいかもしれません。(p.8)

●それでは、プロフェッショナル化に向いている仕事の特徴を3つ挙げてみましょう。1つ目は、上司よりも顧客が大事である。この場合の顧客には、社内顧客も含まれます。2つ目は、分業によって細分化されたうちの一部を担うのではなく、ある程度自己完結できて自分で価値が生み出せる。3つ目は、同じことの繰り返しではなく、個別事情への対応などで常に創意工夫が求められる。プロフェッショナル的な働き方を目指すなら、この3つの条件を充たす業界や分野に身を置くことが必須であると考えるべきです。(p.64)

●同様にグローバル化も、キャリア形成に想定外の変化をもたらす要因です。今後内需が増える可能性は小さいので、必然的に企業のグローバル化は加速することと思われます。(p.68)

●21世紀の仕事のもう一つの特徴である高度な専門性は、過去の経験や実務の積み上げによって身についたものではなく、もっと体系的であり先端的でもある、深いものが求められるようになってきているという意味です。だから、昔のようなジェネラリストの活躍できる余地は、もうそれほど残っていません。(p.68)

●しかしながら専門性の深掘りばかりしていると、突然想定外の変化が起こってその専門性で勝負できない環境になったら、手も足も出なくなります。かといって専門性がないとアピールするものがない。このあたりの矛盾が現代のキャリア形成を難しくしているところでもあります。(p.69)

●プロフェッショナルならば、自分は何のために働いているのかを、常にわかっていなければなりません。言葉を換えれば、仕事を通じて誰にどんな価値を提供するのかを、自分で主体的に決めているのがプロフェッショナルなのです。(p.72)

●それでは、医者の顧客は誰でしょう。一般的には患者です。ところが、青梅敬友病院の創立者である大塚宣夫会長は、「患者様ご本人もそうだが、それ以上に患者様のご家族が自分たちの顧客である」と明確に定義しています。(p.73)

●日本国憲法に、国民の三大義務のひとつとして定められていることからもわかるように、勤労というのはその能力をもったすべての成人に課せられた社会的な役割であり、責任なのです。だからまず、その役割と責任を果たすのが先であって、自分がやりたいとかやりたくないとかを優先させるというのは、大いなる勘違いといわざるを得ません。仕事とは自分のためではなく、人のためにやるものであるという認識がないと、本当の充実感や満足感は、何をやっても得られないとわかるべきです。(p.84)

●ヨコ型リーダーシップをうまく発揮するためには、「一般化された信頼」という能力が不可欠です。これは、目の前の人が信頼できる人物かどうかを、言葉や表情などから短時間で見極められる能力のこと。また、自分は信頼に足る人間だという印象を、できるだけ早く相手に与えられることもこれに含まれます。この能力の根底にあるのは、人間というのは基本的に信頼しあえるという考え方です。しかし、そうはいっても、信頼に値しない人だってなかにはいるでしょう。そういう人は早めに見抜き、組織をつくる際は参加をご遠慮願うことも必要です。それをせず他の人と同じように信用してしまうと、組織全体が思わぬ不利益を被ることにもなりかねません。だから、とくにリーダーになる人は、「一般化された信頼」の能力を身につけておかなければならないのです。(p.102)

●ほとんど変化のない時代、つまり、ある職業に就いたら一生かけてその職を極めるのが普通だったときは、生涯学びは続くので、ラーニングカーブもずっと右肩上がりのままです。古いタイプのプロフェッショナルは、このパターンだったと言えるでしょう。(p.111)

●普遍性の高い学びをしていくためには、気をつけなければならないことがいくつかあります。そのひとつが「適応すれども同化せず」です。異動や転職などで環境が変わったら、新しい職場の人たちや顧客に適応して、うまくやっていかなければなりません。ところが、適応を同化と勘違いしている人が、日本のビジネスパーソンには非常に多いのです。(p.114)

●他社や他分野で働いたことがある人というのは、その職場では学べないことを学んできているのです。その職場しか知らない人にはできない発想やものの見方ができるのですから、それを自分の武器としない手はないでしょう。(p.115)

●もちろん、新しい環境でスムーズに仕事を行うのに必要なことは、素早く身につけるべきです。しかし、同化はしない。このバランスが重要なのです。(p.115)

●発言がぶれるのはよくないこと。日本では一般的にそう思われているようです。しかし、現代のように環境が目まぐるしく変わる時代においては、変化に応じて柔軟に対応できることのほうが、むしろ重要だと私は思います。一貫性に価値を置きすぎるという日本人の傾向が重大な損失につながった例としては、太平洋戦争が有名です。(p.116)

●『失敗の本質』の著者の一人、野中郁次郎氏から、以前こんな話をうかがいました。「いまから数十年前にこの本を書くにあたって、旧日本軍で生き残った将軍を数多く聞き取り調査をした。その結果わかったことがある。それは、彼らはそろいもそろって右脳しか使っていない人間だということだ」つまり思いが強く、状況がどう変わろうと自分の価値観は微塵も揺るがないというタイプの人が、旧日本軍では意思決定をしていたのです。戦況に応じて作戦を臨機応変に変える客観性や柔軟性など、もちあわせていないのですから、これでは戦いに勝てるわけがありません。(p.117)

●ただし、会議で意見を出し合っても、最後は上司のひと言で決まってしまうというケースも、日本の会社には少なくありません。これは、多様な意見の交換こそが普遍性の高い学びを促進するということを、上司がわかっていないからです。いろいろな意見を調整するのは時間の無駄だと思っているのかもしれませんが、議論の目的は調整ではなく、多様な考え方から新しい価値を創造することなのです。プロフェッショナルな働き方を志すならば、上司のひと言よりも、議論の力のほうを信じてほしいと思います。(p.127)

●たとえば、人事のプロでなくても昔からずっと人の心理に興味をもっているなら、心理学の本を読んだり、カウンセラーになるための講座に通ったりといったことを、週末やアフターファイブを利用して積極的にやってみるといいでしょう。それから、そうやって学んだことはそのままにせず、さまざまな機会に発信すること。あるテーマについて発信を続けているところには、必ず最新の情報が集まってきます。(p.129)

●現在の人材開発は、いま会社が必要とするスキルをもった人材、というような「会社都合」に応えるという方向に、安易に向かいがちだといってもいいでしょう。しかし、そこからは本人を支援するという、人材開発の基本である視点が抜け落ちているといわざるを得ません。(p.147)

●ここで、現在のキャリア教育の問題点も指摘しておきましょう。それは、以下の3つに集約されるといっていいと思います。
①職種マッチング重視
②やりたいことを仕事にすべきという、内因的仕事観への表面的かつ過度な偏り
③目標逆算的、計画的キャリア形成イメージ (p.149)

●このように現実社会は矛盾に充ちており、それらの矛盾とうまく折り合いをつけながら、問題解決を行っていくのがプロフェッショナルの仕事なのです。(p.154)

●人生は、決していつも平穏ではありません。ときに受け入れがたいような現実にも遭遇します。そういうときはどうやって乗り越えたらいいのでしょう。それを考えるには、ハーバードメディカルスクールの医者であるジョージ・E・ヴァイラントの『Aging Well』がたいへん参考になります。(p.161)

●未熟な防御機制には以下のようなものがあります。
・投影-「自分がガンになったのは、あの医者が検査で見逃したから」というように、誰かの責任にすることで、受け入れがたい事態から逃れようとする。~(以下、略)(p.162)

●反対に、幸福になっている人は、押し並べて防衛機制が成熟しているようです。成熟した防衛機制とはこのようなものをいいます。
・昇華-現在の不幸な状況を「これは神様から与えられた試練」「これによって自分はもっと成長できる」などといって、もっと次元の高い問題に置き換える。~(中略)~
・抑制-自分の感情をコントロールし、平静を保つ。
プロフェッショナルは、生涯にわたって第一線で価値を提供し続けるのですから、それを可能にするために、防衛機制を成熟させることにも、ぜひ意識的に取り組んでほしいと思います。(p.163)

●現代のように変化の激しい時代には、予期せぬチャンスや出会いの機会はたいへん重要であり、それが多く生まれる、多様で開放的な人間関係を築くことは、とくにプロフェショナルにとっては不可欠だといえます。(p.165)

●会社というのはあくまで「行く」ところ。それに対し「帰る」場所というのは、通常家庭や家族がその役目を果たします。帰る場所があれば、人はどこに行っても安心して全力を尽くすことができるのです。ところが、高度成長期のモーレツ社員のように、帰る場所の役目まで会社にしてしまうと、定年後に帰る場所がないという悲惨なことになってしまいます。ましてや現在のように変化の激しい、想定外のことが起こるのが当たり前の時代には、会社以外に帰る場所を確保しておくことが、ことに重要です。(p.169)

●たとえば転職も、ヨコ人脈を増やすきっかけになります。なぜなら、転職しても前の会社の人たちとのつながりを切らなければ、その人たちと開放的なネットワークをつくることができるからです。ただし、ケンカ別れのような辞め方をすれば、その会社の人脈はそこで切れてしまうので、人脈は広がりません。転職の際は、辞めたあとのことも考えなければいけないということです。(p.172)

●プロフェッショナルのキャリアとはどういうものか、という問いに対するひとつの答えが、「自分のキャリアを振り返ったとき、そこに自分らしさを感じることができる」です。「自分らしさを感じる」は、「自分の背骨が生きている」「自分の個性が透けて見える」と言い換えてもいいでしょう。(p.174)

●たとえば、40歳を過ぎてこのまま第一線でやり続けるのか、それとも新たにマネジメントの世界でプロフェッショナルを目指すのか、自分で決めなければならなくなるというのは、まさにキャリアの節目だといえます。そして、このとき必要なのが、直感的な意思決定による節目デザインです。どちらの道を選べば、より活き活きと働けるのかを想像する能力を、脳科学の世界では感情予測機能といいます。節目ではこの機能を活用し、最後は「よし、こっちだ」という方向を直感的に選ぶのです。神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏氏は、キャリア目標をつくり、そこから逆算してキャリアをつくっていくことはできないが、節目のときだけはちゃんとデザインしなければいけないといっています。そのとき役に立つのが直感的な意思決定のスキルなのです。(p.183)

●また、使う能力の偏りは、社会生活にも影響を及ぼします。ソフトウェアのプログラミングというのは、非常に論理的な仕事です。そして、IT業界の技術者は、それを毎日朝から晩までやり続けることを求められています。そうすると、脳の感情を司る部分がだんだんと衰えて、感情の正常なコントロールができなくなってくる危険性があります。最近増えている、ささいなことですぐキレるというのは、まさに感情の制御ができない人の典型だといえます。また、相手の気持ちが理解できないというのも、やはり感情脳の劣化に原因があるといっていいでしょう。(p.186)

●「一意専心」という言葉もあるように、日本ではひとつの分野に専念するのがよいことだと思われています。しかし、専念とは分業の強化であり、シナジーを喪失するということですから、決して望ましい形とはいえないのです。とくに現代のような変化の激しい時代においては、長い間ひとつのことだけにコミットメントし続けるというのは、はっきりいって得策ではありません。仕事人間にはなってもいいのですが、仕事だけ人間というのは避けるべきでしょう。一度に複数のことを手掛けるのが難しいなら、20代のうちは仕事中心で、結婚したら子どもに手がかからなくなるまでは家庭に軸足を置き、その後はまた仕事の比重を増やすというように、人生のフェーズで分けていくというのもひとつのやり方です。(p.190)

●仕事は何のためにやるのか。この問いに対する答えを、やりがいといった内因的なものから探すのは、もちろん悪いことではありません。しかし、プロフェッショナルとしての働き方を目指すなら、国や社会あるいは顧客に対し、こういう価値を提供するために働くという規範的仕事観からの回答もできるようにしておくべきだと思います。(p.193)

●プロフェッショナルの働き方というのは、誰かに対し価値を生み出していれば、いつかそれが自分の利益となって返ってくるというマネーフォローズが基本です。何かを失わないために働くというのでは、プロフェッショナルにはなれません。普遍性の高い学びを繰り返しながら勝負能力を身につけ、やりがいや成長感、満足感などの内因的仕事観とともに、自分はこういう価値を社会や顧客に生み出すという背骨にこだわっていく、それがプロフェッショナルです。(p.198)
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