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ダン・セノール、シャウル・シンゲル著「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」
Title: Start-Up Nation
Sub Title: The Story of Israel's Economic Miracle
Authors: Dan Senor and Saul Singer

イスラエルに関する本は、「知られざる技術大国 イスラエルの頭脳」に続いて2冊目です。非常に興味深い本です。

●イスラエルの初代首相、ダビッド・ベングリオンは言った。「専門家とは例外なく過去の事実を語る専門家だ。これから起こる事象を語れる専門家はひとりもいない」。これから生まれる未来についての"専門家"になるためには、経験に取って代われるビジョンが不可欠だ。(p.iii)

●本書のテーマはイノベーションと起業家精神であり、小さな国イスラエルがどのようにしてこの両方を自らの財産にしたのかを語ることだ。(p.v)

●ペレスは、大手の自動車企業はどこも、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、超小型電気自動車といった奇妙な電気の変異体の果実に一喜一憂していると見ていた。しかし、モーター駆動自動車のテクノロジーがもたらす新たな時代の到来を予見している企業は全く存在していなかった。ペレスの演説が5分ほど続いたところで、ゴーンが口を挟んだ。「閣下、私はアガシ氏の構想書を読ませていただきました」。このことばにアガシとペレスは一瞬身構えた。それでもゴーンとの話の方向が見えてきたように感じた。「アガシ氏の議論はどこから見ても真っ当です。私たちもみな同じことを考えています、つまり、将来は電気です。私たちには乗用車があり、そのためのバッテリーも手の内にあると思います」(p.7)

●ペレスは思わず口にした、「ところで、ハイブリッドについてはどのようにお考えですか」。「全く意味がないと思います」とゴーンはきっぱりと言った。「ハイブリッドは人魚のようなものです。つまり、魚が欲しいと思って手にしてみるとそれは人間の女性、女性だと思って手にしてみると魚、そんなものです」(p.8)

●イスラエルに魅力を感じていたのはニューヨーク証券取引所だけではない。技術の将来性を測る最も重要でしかも明快な尺度、ベンチャーキャピタルもそうだった。2008年、イスラエルにおけるひとりあたりのベンチャーキャピタル投資金額は、アメリカの2.5倍、ヨーロッパの30倍以上、中国の80倍、そしてインドの350倍を記録した。~(中略)~イスラエルは、ナスダックに上場した企業の数が、アメリカを除けば、世界で最も多い国だ。(p.17)

●グーグルのCEO兼会長、エリック・シュミットは次のように語ってくれた。アメリカは起業家にとって世界最高の国ではあるが、「アメリカを除けば、イスラエルが最高」。マイクロソフトのスティーブ・バルマーはマイクロソフトのことを、同社のイスラエル人チームの規模とその中心的な役割を考えると「アメリカの会社であるのと同時に、同じようにイスラエルの会社だ」と言っている。リスク回避主義の伝道師ウォーレン・バフェットが何十年も守り続けた外国企業を一切買収しないという自身の記録を途絶えさせた原因、それこそが、あるイスラエル企業の買収だった。(p.21)

●大手のテクノロジー企業にとってイスラエルを無視するのは不可能であり、そんなことをしている企業はほとんど見あたらない。~(中略)~シスコ1社だけをとってみても、イスラエルの企業を9社買収し、さらに買収相手を探っている。「2日間イスラエルに滞在しただけで、私はイスラエル以外の世界中の国で1年過ごすよりも多くのチャンスを目の当たりにしました」。これはフィリップス・メディカルの上級副社長ポール・スミスのことばだ。(p.22)

●アメリカが依然として世界で最も競争力のある経済大国と評価されている一方で、何か根本的なものがおかしくなってしまったという感覚が広まっている。(p.26)

●初めてイスラエルにやって来た人たちは、住人の態度が無礼だと思うことがしばしばある。イスラエル人は相手から自分の知らないことをずけずけと聞き出そうとする。たとえば、相手の年齢、アパートの家賃やクルマの値段といったことをたずねる。あるいは、新米の父親母親にさえ、その子どもに天候に合った服を着せていないと話しかけたりする。両親どころか、街角や食料品店でたまたま出会った全く知らない人に向かってそう言うときもある。ユダヤ人についての格言-ユダヤ人がふたりいれば、意見は3通りある-が、イスラエル人にあてはまるのは確かだ。この種のいわゆる歯に衣着せぬ態度が嫌いな人はイスラエルから離れていくかもしれない。しかし、そうでない人たちは、そうした態度が目新しくそして真っ正直にも感じるだろう。(p.46)

●インテル・イスラエルの創立者ドヴ・フローマンはのちに、本物のイノベーションの文化を生みだそうとするとき、「失うことの恐怖は、しばしば、得ることの希望よりも強力だと教えてくれる」と述べている。フローマンは長年にわたって、インテル・イスラエル社内に異論反論や討論を歓迎する文化の育成に努力してきた。そしてサンタクララにこの気風を広めたいと願っていた。フローマンは言う。「リーダーのゴールは、異論反論を奨励するという意味で、摩擦を最大化することにあるべきです。組織が危機に陥っているとき、摩擦のないことそのものが大きな問題になるかもしれません。つまり、摩擦がないのは、努力して起こそうとしている変革が本質的なものではない……反対意見が姿を隠してしまっている、という意味かもしれないのです。もし、組織内部の人たちの異論の存在に気がついていなければ、そのときは、窮地に陥ってしまいます」(p.54)

●振り返ってみると、インテル・イスラエルの新しいアーキテクチャ開発の取り組みにおける注目すべき現象は、エンジニアが本当に自分に与えられた仕事に専念していたことだ。彼らは会社全体の将来を心配していた。つまり、彼らの闘いは本質的に、インテル社内の闘いに勝つためではなく、競争相手との戦争に勝つためだった。(p.56)

●「アメリカに5年間住んでみて、イスラエル人についての興味深い対象は文化だと断言できます。イスラエル人はそれほど折り目正しく振る舞う文化を持っているわけではありません。ゼロ歳のときから、われわれは、はっきりしていることに疑問を持つ、質問をぶつける、何についても議論する、革新を目指すといった教育を受けているのです」その結果として、と次のように付け加える。「イスラエル人5人を管理するほうがアメリカ人50人を管理するよりはるかに複雑な仕事です。なぜなら、イスラエル人は絶えずマネジャーに疑問をぶつけてくるからです。まずこんな質問が飛んできます、"なぜあなたが私のマネジャーなのですか。なぜ私があなたのマネジャーではないのですか"とね」(p.60)

●われわれがファルカシュ少将に、なぜイスラエルの軍隊はこれほどまで階級制度嫌いでしかも互いに質問をぶつけ合う気風があるのかと聞いたところ、それは軍隊だけの話ではない、イスラエルの社会や歴史全体にもあてはまる、という答えが返ってきた。(p.75)

●しかも、中国で3番目に大きいソーシャルネットワークのウェブサイトは、なんと、クーラヌーというイスラエルのスタートアップ企業が運営し、中国の若いウェブサーファー2500万人を相手にサービスを行なっている。(p.89)

●世界の至るところでイスラエル人の若いバックパッカーが目につくことと、イスラエルのテクノロジー起業家が海外市場に進出していることとの因果関係は明らかだ。30歳になる前のイスラエル人はたいてい、海外で魅力的な成功のチャンスを発見できるかどうかが試されるだけでなく、不慣れな環境に飛び込んで自分たちの文化とは極端に違った文化に深くかかわることへの不安感も抱いていない。事実、軍事史家のエドワード・ラトワックは、兵役を終えた多くのイスラエル人が35歳になるまでに12か国以上の国を訪問していると推測している。イスラエル人が新しい経済圏と未知の地域で成功をおさめている理由のひとつは、彼らが世界中に出て行った経験の持ち主だからだ。(p.90)

●イノベーションは、異なる視野が持てるかどうかにかかっている。視野は経験の産物だ。本当の経験は一般的に年齢や成熟の産物でもある。しかし、イスラエルでは、普通よりも若い年齢で経験や視野を手に入れ、そして成熟する。なぜなら、高校を卒業するかしないかの若いイスラエル人に、社会が、さまざまに応用の利く経験をこれでもかと詰め込むからだ。大学に進学するころには、彼らの知力は、アメリカの同世代の学生とは違ったレベルに到達している。(p.106)

●「若いうちに軍隊に入ると、そこで教わるのは、何かことを任されたら目の前で起こることにはすべて責任があるということです……起こらないことにもね」とロウリーは言っている。「"それは私のせいではありません"ということばは軍隊の文化には存在しないのです」。(p.112)

●MBAプログラムへの入学願書を提出するアメリカ軍士官の数は増え続けている。しかも彼らはタイス大尉のように、入学のためには並外れた苦労も厭わない。2008年、ジーマット(GMAT=Graduate Management Admission Test)を受けた向上心あふれるMBA志願者の中で、その6パーセント1万5259人が軍隊経験者だった。バージニア大学のダーデン・スクール・オブ・ビジネスでは、軍出身の志願者の数が2007年から2008年にかけて62パーセント増加している。2008年の1年生クラスは333人で、そのうちの40人が軍出身者、しかもそのうちの38人がアフガニスタンかイラクの戦争経験者だった。ジーマットを運営するGMAC(経営大学院入試委員会)は、戦争の前線からビジネススクールに入学する道筋を整える作業をその最優先課題にした。(p.119)

●しかも、この委員会は軍隊の基地にまで次々にジーマットのテストセンターを開設している。テストセンターのひとつは2008年、テキサス州フォートフードに生まれ、さらにもうひとつは日本の横田空軍基地につくる計画だ。(p.120)

●世界には兵役期間が18か月以上の徴兵制度を維持している国が約30ある。こうした国々の大半は、開発途上国か、非民主主義国家、あるいはその両方だ。ところが、先進工業諸国の中にも、そうした長い兵役期間を定めている国が3か国ある。それはイスラエル、韓国、そしてシンガポールだ。これらの国はどれも、長い間目の前の脅威にさらされ続けている国か、国の生き残りをかけた戦争の記憶がいまだに生々しい国かのどちらかだ。~(中略)~シンガポールには、第二次大戦中日本に占領された記憶、そして1965年に終わった独立への闘い、そしてその後の不安定な時代の記憶が残っている。(p.122)

●というのも、乗組員のひとり、イスラエル空軍大佐で最初のイスラエル人宇宙飛行士でもあるイラン・ラモンが、コロンビア号の空中分解によって犠牲になったからだ。しかし、ラモンはそれ以前からずっとイスラエルの英雄だった。1981年に実施された大胆な空軍の作戦でイラクの原子炉施設オシラックを破壊したときのパイロットだったからだ。(p.128)

●大きな組織は、軍事組織か企業組織かを問わず、茶坊主的態度や集団的浅慮の存在に絶えず目を光らせていなければならない。そうでないと、組織全体が、あっと言う間にひどい間違いに向かって突っ走ってしまう可能性がある。それでも、大半の軍隊そして多くの企業は、規律のために柔軟性を犠牲にし、組織のために進取の精神を犠牲にし、先を読みやすくするためにイノベーションを犠牲にしているように思える。これは、少なくとも原則的には、イスラエルの流儀ではない。(p.143)

●イスラエルは今では、排水のリサイクル事業で世界の先端を走っている。彼らは70パーセント以上の水をリサイクルさせている。これはリサイクル率2位のスペインの3倍にあたる数値だ。(p.159)

●2008年12月、ベングリオン大学は砂漠化との闘いをテーマにした国連提供の会議を主催した。世界最大の会議だった。40か国から集まった専門家の関心は、なぜイスラエルが自国の砂漠の面積を減少させている唯一の国なのか、その理由を自分の目で確かめることだった。(p.162)

●今では、イスラエルを訪れる人たちは自分が離陸してきた空港よりもはるかに魅力的でモダンな空港に降り立っている。新規の電話回線の供給数は無制限で、しかも申し込みをすればわずか数時間で設置できる。ブラックベリーの受信は決して不安定にならないし、インターネットの無線接続はコーヒーショップ並みに手近な場所でできる。~(中略)~イスラエルはひとりあたりの携帯電話所有率が世界のどの国よりも高い。10歳以上の子どもはたいてい、寝室のパソコンと同じように、携帯電話を持っている。街の通りという通りは、アメリカ製のマッチョなハマーからヨーロッパ生まれのスマートという乗用車まで、最新のモデルであふれている。(p.171)

●マクドナルドのイスラエル第1号店が開店したのは1993年で、これは、モスクワにマクドナルド最大の店舗ができてから3年後、オーストラリアのシドニーにマクドナルドが初めて開店してから22年後のことだ。今ではイスラエルにあるマクドナルドの店はざっと150軒を数える。(p.172)

●アメリカの場合には、市民権の申請をするのに5年間待たされる(配偶者がアメリカ市民であれば3年間)。アメリカの法律では、市民権を求める移民は英語を理解する能力のあることを示し、公民の試験に合格しなければならない。イスラエルの市民権はイスラエルに着いたその日に発効する。その移民がどんな言語を話していても関係ない。しかも試験も一切ない。(p.187)

●このわずか10週間前、マーレクが所長を務めるグーグルの研究開発センターのあるハイファに、ヒズボラのミサイルが雨あられのように降り注いでいた。それから数か月後、グーグルはそこから南にクルマで1時間ばかりのテルアビブに2番目の研究センターを開設した。(p.208)

●まだ気がついていない人のために付け加えると、グーグルサジェストとは検索ボックスにタイプ入力すると、いくつか候補のリストを表示する機能のことだ。この候補は、キーワードを一文字ずつタイプするたびに、タイプ入力とほとんど同じ速さで、更新されていく。グーグルは検索した結果をほとんど瞬時に表示するサービスで有名になっている。ところが、グーグルサジェストでは一文字ごとにこの芸当を発揮しなければならなかった。情報がグーグルのサーバーに送られ、関連のありそうな候補のリストが送り返される、それも次の文字がタイプされるまでのほんの一瞬で完結させなければならない。このプロジェクトに着手してから二か月、イスラエルのチームは初めてその突破口を見出す。(p.210)

●マイクロソフトもイスラエルの活用でそれほど後れをとっているわけではない。2006年のレバノン戦争で受けた2000本のミサイル爆撃による損害からの復旧の最中に、ビル・ゲイツが大胆にもイスラエルを訪れた。(p.210)

●この世界で最も裕福な男がイスラエルから出て行くのと入れ代わりに、その次に裕福なウォーレン・バフェットが現れる。アメリカで最も崇拝されているこの投資家は、アメリカ国外で初めて買収した会社を訪れるためにやって来た。バフェットは52時間かけて、45億ドルで買収した工作機械企業イスカーと、多くのうわさを耳にしていたイスラエルを見て回った。(p.211)

●しかし、ウォーレン・バフェットが、アメリカの国外で企業買収をしないという永年の方針を転換してイスラエルをその地に選んだのは、歴史に対する理解からくるものではなさそうだ。(p.211)

●バフェットが買収したイスラエル企業イスカーは、イスラエルの北部にある主力工場と研究開発センターが二度にわたってミサイル攻撃の脅威にさらされている。最初は1991年、湾岸戦争でイラクのサダム・フセインによって全土が攻撃目標になったとき、そして二度目は、2006年のレバノン戦争でヒズボラがイスラエル北部の都市にミサイル砲撃を行なったときだ。われわれは「これが破局的なリスクにつながらないのか」とシュローダーにたずねてみた。シュローダーによれば、もしイスカーの設備や建物が爆撃されても、また別の工場を建設できるとバフェットは考えているという。工場が会社の価値を表しているのではない。イスカーの価値を決めるのは、従業員と経営陣の才能、国際的な得意先の基盤、そしてブランドだ。したがって、ミサイルがたとえ工場という工場を破壊したとしても、バフェットの目には、それが破局的なリスクとは映らない。2006年のレバノン戦争のとき、バフェットによるイスカー買収からちょうど二か月後、4228発のミサイルがイスラエル北部を直撃した。イスカーはレバノンとの国境から約13キロも離れていなかったため、真っ先にロケット攻撃の標的になった。イスカーの会長エイタン・ヴェルトハイマーはバフェットの買収に応じた人物で、この戦争初日に自分の新しいボスに電話をかけた、と明かしてくれた。「われわれのたったひとつの心配は、社員の安全と幸福でした。壊された機械や破れた窓といったものはいつでも新しいものに取り替えられますからね」。そしてバフェットとの電話のやりとりについて触れた。「私はこう続けました。"私たちの考えをおわかりいただきたいのですが、半分の従業員で操業を続けるつもりです。それでもすべての顧客に対して期日までに、場合によっては期日前に注文通り納品できるとお約束します"」(p.215)

●インテル・イスラエルはIBMパーソナルコンピュータ第一号機に使用されるチップの設計を任されていた。それが最初のペンティアムであり、アナリストも、これこそ1990年代に衰退への循環からインテルを救った新しいアーキテクチャだと認めている。~(中略)~すばらしいことに、イスラエルがインテルにとって非常に重要な製造拠点として台頭したことによって、何があっても、戦争でさえもその操業を止められないことが証明された。(p.219)

●しかし、ウッドはまた、イスラエルにあるどこか異質な面にも気がついたという。「この国には、マルチタスク的なものの考え方があります。(p.253)

●イスラエルでマッシュアップが最も日常的に起こっているのは、医療機器とバイオテクノロジーの分野の企業だ。そこには、風洞実験のエンジニアと医師が、注射を時代遅れにしてしまうかもしれないクレジットカード大の仕掛けを共同で開発している姿がある。また、糖尿病を治療するための移植可能な人工膵臓を生みだした会社(ベータ細胞、光ファイバーそしてイエローストーン国立公園で採取される藻類を所有している企業)もある。さらには、ミサイルの先端部の開発から得た光学技術を応用して、消化器の内部からその画像を送信できるカプセルサイズの内視鏡をつくりあげたスタートアップ企業も存在している。ガヴリエル・イダンはかつて、IDFの主力武器開発企業の一社、ラファエルのロケット科学者だった。その専門はミサイルに標的を"見る"能力を与える最先端の電子光学装置だった。ロケットは、医療テクノロジーを研究するとき最初に目をつける対象ではないかもしれない。しかしイダンには奇抜な発想があった。それは、ミサイルで活用されている最新の微小化テクノロジーを応用して小型カプセルに入るカメラを開発するというアイデアだった。そうすれば、そのカプセルによって人体の内部から画像を送信できる。誰でも飲み下せるような小さいカプセルに、カメラ、送信機そしてライトと電源を詰め込むのは不可能だと多くの人が忠告した。イダンは粘りに粘った。あるときには、カプセルのプロトタイプが動物の組織を通り抜けて信号を送信できるかどうかを試そうとして、スーパーマーケットに鶏を買いに行った。このカプセル型内視鏡、"ピルカム"を足がかりにビジネスを立ち上げ、ギブン・イメージングという社名にした。2001年、ギブン・イメージングは、9.11事件の後ウォール街で株式上場を果たした世界初の企業になった。同社の創立から6年後の2004年までに、ギブン・イメージングはピルカムを10万個販売。2007年の初めには50万個を記録、2009年には100万個、そして2011年6月には150万個の販売を達成している。現在、最新世代のカプセル内視鏡は、患者の消化器官の奥深いところから、毎秒35コマの画像を、患者に全く痛みを感じさせずに何時間もの間送信する。撮影されたビデオ画像は、医師がリアルタイムで確認できる。その市場規模は拡大する一方で、主要な競争相手も目をつけてきた。というのも、アメリカだけで消化器官の病気のために、のべ3000万人以上の人が医師の診察を受けているからだ。(p.258)

●ベストセラー『ビジョナリー・カンパニー』で、ビジネス書のグル、ジェームズ・コリンズは数件の永続的な企業の成功を取り上げ、そこにはひとつの共通点があると指摘している。それはひとつかふたつの文章だけで明確に表現された"コアパーパス"(根源的な目的)の存在だ。(p.281)

●1980年から2000年の間に、サウジアラビアから申請登録された特許の件数は171、エジプトからは77、クウェートは52、UAE32、シリア20、そしてヨルダンは15。これに対してイスラエルは7652件だ。(p.288)

●一方で、国際金融の崩壊はほぼすべての国の金融システムに感染した。ただし、これには注目に値する例外が2件あり、カナダとイスラエルはただの1件の銀行破綻にも直面していない。(p.297)

●ベンヤミン・ネタニヤフ首相は次のように明かしてくれた。「当面のイランの目標は、イスラエル国内にいる最も才能のある市民を脅して国外に脱出させることです」(p.300)

●確かに、イスラエルは国際的な学術コミュニティでリーダー的な立場にいる。『サイエンティスト』誌による2008年の世界的調査によって、ふたつのイスラエルの機関、つまりヴァイツマン科学研究所とエルサレムのヘブライ大学が、アメリカ以外の国で"最も学術研究活動に適したところ"と認められた。ダン・ベン=ダビッドはふたりのフランス人学者が行なったある調査をわれわれに見せてくれた。それは、1971年から2000年までの期間に、最優秀の経済論文の発表件数を基準にして、アメリカ以外の国を順位付けした調査だった。イギリスは-ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス、オックスフォード、ケンブリッジがある-第2位だった。ドイツはひとりあたりの論文発表件数がイギリスの半分以下だった。イスラエルがナンバーワンだった。「5パーセントや10パーセント上回っているというのではありません。7倍です-他の国とは比較になりません」とわれわれに向かって胸を張った。「しかも、イスラエルの経済学者並みに優秀なのはコンピュータ科学者で、彼らの分野で考えればもっと優秀かもしれません。最近ノーベル経済学賞を2件受賞し、化学賞も1件か2件受賞しています」(p.301)

●そこで、例によってルールを無視して、ベングリオンとペレスはなんとか予算外でこの計画のために資金を調達すると、ペレスは一流の科学者のほうを向かず、テクニオンの学生に目をつける。そしてその中の何人かを勉強のためフランスに送った。その成果がディモナ近くに建設された原子炉だった。1960年代の初めからずっと無事故で稼働を続けており、これによってイスラエルは公式に核保有国になった。2005年の時点で、イスラエルは世界で10番目に核関連特許件数の多い国になっていた。(p.310)

●イノベーションを産業として育成していく必要十分条件とは-日本語版出版にあたって
ギブン・イメージング株式会社 代表取締役社長 河上正三
~(中略)~もう一つは、日本語版の話がさっぱり進まないという事実でした。
~(中略)~私はこの距離感の違いが、今後日本企業がグローバル競争を展開する上で大きなハンディになるのではと危惧しています。
~(中略)~本書中にはアップルはあまり登場しませんが、2012年1月、イスラエルの半導体スタートアップ企業を4億~5億ドルという高額で買収したことが話題となりました。
~(中略)~2012年4月(p.339)
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