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松波晴人著『ビジネスマンのための「行動観察」入門』
この本は、今月一気に読んだ本です。


●それはアンケートやインタビューでわかるニーズは、顧客が自分で言語化した「顕在ニーズ」だけだからだ。そこで、実際に顧客の行動(経験)を観察して、まだ顧客自身も言語化できていない「潜在ニーズ」にいち早く気付き、顧客に価値のある「経験」を提供することが重要となってくるのである。(p.4)

●私は、もともと日本で人間工学などを学んだ後、アメリカに行って行動観察を学び、この手法に魅せられた。そして、帰国と同時に様々なフィールドにおいて人の行動を観察し、そこで得られた知見を顧客に提案するビジネスを始めた。最初は行動観察そのものの理解がなかなか得られなかったが、実際に成果が目に見えてあがってくると、徐々にその効用を認める人も増え、2009年には社内に行動観察研究所を立ち上げるに至った。(p.5)

●私はアメリカのニューヨーク州にあるコーネル大学の大学院に留学して、人間工学や心理学を学んでいた。それまでも研究所で人間の心理や生理に関する研究をしていたが、あらためて真正面から人間の研究に取り組むべく2年間アメリカに滞在していた。私が学んだヒューマン・エコロジー学部、デザイン・アンド・エンバイロンメンタル・アナリシス学科でアラン・ヘッジ教授やゲイリー・エバンス教授に徹底されたのは、以下の2つの点である。
①必ず現場に行って、人間の行動を観察すること
適切な解釈、よい問題解決法(ソリューション)を得るためには、実態を深く知らなければならない。
②根拠のあるソリューションを提案すること
ソリューションは、単なる「勘」で出すのではなく、「こういうことが科学的にわかっているから、この実態はこう解釈される。なのでソリューションはこうしたほうがよい」と論理的に説明できなければならない。(p.13)

●日本に帰ってきてからも、私は「現場に足を運んでの実態把握」「根拠のあるソリューション」の2つをとても重視し、行動観察を実践している。現場に行って行動を観察するためには、体力や気力など、かなりの労力が必要である。また、根拠のあるソリューションを考えるためには、その理論を学問的に学ぶためにかなり時間がかかるし、クリエイティブな発想力も必要となってくる。(p.14)

●アメリカのデザインコンサルティング会社であるIDEOや、イギリス王立芸術大学(RCA:ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)では、製品デザインにおいて「行動観察」を重視している。IDEOのトム・ケリー氏は、その著書(Thom Kelly, Jonathan Littman, The Art of Innovation: Lessons in Creativity from IDEO, America's Leading Design Firm, Bantam Dell Pub Group, 2001)において「イノベーションを可能にするのは観察に触発された洞察である」「イノベーションは見ることから始まる」「自分自身の目と耳で物事を見聞きすることは、画期的な製品の改良や創造の最初の重要な一段階である」「新しいアイディアは、見ること、嗅ぐこと、聞くこと-つまりその場にいること-から生まれる」と述べている。(p.15)

●日本でもサービスの生産性向上は大きな課題となっており、日本で現在、サービスサイエンスに一番力を入れているのは、「国」である。経済産業省では、サービス産業生産性協議会が2007年に設立され、サービスイノベーションセミナーを各地で開催し、様々なサービスの成功事例を紹介した。また、08年には、産業技術総合研究所にサービス工学研究センターが設立され、サービスについて科学的に取り組む動きが加速した。(p.17)

●表情分析:人間の表情は、日本でもアメリカでもアフリカでも、どこでも世界共通であるということがわかっている。(p.21)

●人間はほとんどの行動を無意識に行っている。だから自分自身の何気ない行動をすべて把握しているわけではない。さらに、自分のニーズを構造的に解釈して理解しているわけではない。さらに、自分のニーズを構造的に解釈して理解しているわけではない。そのため、重要なニーズが存在していても、本人がそれを把握しているとは限らないのである。行動観察では、人の行動をすべてつぶさに観察することにより、本人が意識していない課題やニーズを知ることができる。(p.22)

●そのシャーロック・ホームズの有名な言葉がある。それまでワトソンが何度も昇り降りしてきた階段について、ホームズが訊(たず)ねた場面の一節である。君は観察(observe)をしていない。ただ見ている(see)だけだ。私が言いたいのは、観察するのと見るのとは全然違う、ということだ。(『シャーロック・ホームズの冒険』より筆者訳)(p.23)

●私が行動観察の調査を開始してすでに何年か経っていたが、行動観察という調査手法はまだ世間に認知されていなかった。依頼をしてくれた高倉さんの上司でさえ、行動観察について高く評価していたとは言い難かった。このころよく言われたのは、「調査をするかどうか決めるにあたって、行動観察でどういうことがわかるのか教えてほしい」ということだった。しかし、これは答えられない問いである。行動観察はフィールドに入り込んで実態を深く調べてニーズを明らかにする手法なので、調査の前に「こういう結果が出ます」などと約束できるようなものではない。高倉さんは、納得していない上司から了解を取り付け、とにかく調査を開始する段取りをつけてくれた。(p.27)

●事前に悩みすぎてもしかたがないので、とにかく調査を始めることにした。もちろん調査の企画・設計などは入念に行ったが、課題の2点については、「走りながら考える」ことにした。すなわち、「行動を起こす前にすべて考えつくしてしまう」というより、「まず行動を起こして、その中で考えながら進める」ことにしたのである。これは行動観察をするときの基本的な姿勢でもある。(p.28)

●ここで大事なのは、「自分の価値観で観察対象者を批判的な目で見てはいけない」ということである。これは観察対象者の価値観を最大限に尊重することを意味する。たとえば先の事例でいうと、「その食材の皮はどう処理されたんですか?それはなぜでしょうか?」とニュートラルに質問すればよかったのである。また、このときに大事なのは、そのときの言葉のトーンと表情である。皮肉っぽく顔をゆがめて、詰問調の声の出し方をすれば、どのような質問であれ、批判と取られてもしかたがないであろう。つまり、非常に素朴な疑問をぶつける形で、「どうしてですか?」とお訊(き)きするべきなのだ。(p.32)

●自分の考え方や価値観はさておき、事実や他人の思いに対して謙虚であるべきである、という態度には、私は大変影響を受けた。(p.33)

●簡易な結果を先に伝えてしまって後悔したのにはもう1つ理由があって、それは「結果について先入観を与えてしまった」ということである。~(中略)~一度別の結果を聞いてしまったからには、以前の考えを覆して、異なる結果を受け入れてもらうのは大変である。また、高倉さんがフレキシブルな人で、結果が変わることを素直に受け入れてくれる人であったとしても、すでにその上司に「こういう結果が出ています」と報告してしまっているかもしれない。このことから、「結果がまとまるまで、クライアントに安易に途中経過を話さないほうがよい」ということを学んだ。特に行動観察という調査では、「観察で得られた実態からどのような仮説が出てくるか」がポイントなので、通常の調査よりもこういった注意が必要である。(p.37)

●ミステリーショッパーは、文字通りお客さん目線で店舗を見ることを意味するが、行動観察では、お客さん目線だけでなく、俯瞰(ふかん)的に店舗を見ることが求められる。問題点を見つけるというよりは、具体的に何をどうすれば良くなるのか、根拠とともに提示して、見える成果を出すことが重要である。あら捜しをすることはたやすいが、実効性のあるソリューションを提示するのはかなり難しい。私に求められているのは、「実態としての課題」「具体的でいまの現場になじむソリューション」「それが成功する根拠」である。(p.91)

●認知心理学において、人間の処理できる能力は限られており、「同時に7プラスマイナス2個」が目安といわれており、マジカルナンバー7と呼ばれている。たとえば、提供したい情報が21個あるとする。これをただ並べるとお客さんはすべての情報に目を通さなければならないが、3つにグルーピングすれば、お客さんはまずは大枠のグループのタイトルを見て目当ての情報のありかを探せばよい。(p.96)

●支払いのところにいたのは女性のスタッフであったのだが、お釣りを渡すときに、そのスタッフは私の手に少しだけ触れた。この行動には有効性を示す根拠がある。お客さんは手に触れられたかどうかははっきりとは憶えていない。しかし、手を触れられたほうがお客さんの満足度は高まる。実際、そのほうがチップの量が増えたという実験データもある。(p.102)

●英語には、「Think Out of the Box.」という表現があるが、それは「閉じた系から出て外から中を眺めることで新しい気付きが得られる」という意味がある。(p.106)

●このプロジェクトがメディアから注目を浴びて、一度テレビの特集で取り上げられたことがある。そのときに、おゆばの畠山さんは番組の取材にこう答えていた。「結果を見た最初の印象は、当たり前すぎる、ということでした。でも、当たり前のことにこれだけ気付いていないんだな、とも思いました」(p.110)

●行動観察調査をしていると、「観察対象のn数(サンプル数)は充分なんですか?」と聞かれることが多い。つまり質問している人は、観察対象の「客観性」が気になっているわけである。もちろん、統計的にはなるべく多くのn数を確保したほうがよいのは間違いない。しかし、私たちは通常n数を膨大には取っていない。というのは、仮説があった上でそれを検証するのであればn数が多いのに越したことはないが、サービスにイノベーションを起こすためには、まず「何が課題か?」「どうすれば解決できそうか?」という「仮説を生み出すこと」のほうがはるかに重要だからである。仮説を生み出すためには、n数が多いことよりも、どれだけ深く現場の実態を知り、人間の行動を知ることができるか、ということが重要である。n数を増やしての検証はよい仮説が得られてからで充分である。(p.110)

●人間の基本的な特性であるが、人間はみな「なるべく労力を使わない」ようにしている。たとえば、歩く動作一つとっても、人間は足を地面すれすれまでしか上げていない。~(中略)~脳の活動も同じで、Hさんが指摘するように、人間は「なるべく考えないで」すまそうとする。たとえば「前と同じようにしておけばいいだろう」や「専門家が言っているのだから間違いないだろう」といったように、日常でも私たちは「なるべく考えずにすまそう」とする。~(中略)~しかし、優秀な営業マンはその「考える」という「普通の人間はなるべくせずにすますこと」を日々実行している。(p.142)

●ホワイトカラーの生産性向上はダイエットに似ている。正しいダイエットとは、まず体重や運動量、食事の量を調べて現状を正確に把握することから始まる。現状を踏まえた上で運動や食生活の改善プログラムを実施し、日々体重をチェックして減量の達成感を得て、さらには家族の協力を仰ぐなど全体を最適化して初めてダイエットに成功する。しかも、再び体重が増えないように、継続のための仕組みも必要である。ホワイトカラーの生産性向上においても、まずは業務実態や正味時間などの事実を把握し、その上で業務の「見える化」や自律改善活動などに取り組み、トップのコミットメントやオフィス環境の改善、ITの活用などを通じて全体の最適化を行う必要がある。さらには再び生産性が下がることのないよう、日々のチェックや改善の達成感を得るなどの継続する仕組みが必要である。(p.171)

●がんこフードサービス社の調査をすることになったのは、近畿経済産業局と大阪商工会議所が作った関西サービス・イノベーション創造会議という枠組みの中でサービス産業の生産性向上のプロジェクトを実施することになったためである。このプロジェクトは、すべての結果を一般に公開することが最初から前提となっていた。(p.174)

●どういう形で生産性向上を実現しようか、と困っていたところに、がんこフードサービスの新村猛常務(当時)から、方向性の提示があった。多忙な業務の中、自らもサービスサイエンス研究に取り組んで論文の執筆もしている新村常務は、本プロジェクトの本質を見抜いていた。(p.176)

●リーガロイヤルホテルでのプロジェクトも、がんこフードサービス社と同様、関西サービス・イノベーション創造会議という枠組みでの、公開を前提としたプロジェクトである。大阪商工会議所の取り計らいで、リーガロイヤルホテルとサービスの生産性にかかわるプロジェクトが動き始めた。(p.189)

●もちろん、これまでと同様に現場に弟子入りする形の調査になるが、今回はその達人に、そもそも「弟子入りを許してもらえるかどうか」がキーであると思われた。様々な困難が予想され、ハードルは多い。しかし、だからこそそのハードルを楽しく飛び越えたいと思った。(p.190)

●じつは私はよく元ヤクルトスワローズの古田敦也捕手に似ていると言われる。講演のときに「この人は古田さんの親戚です」と冗談で紹介されたこともあるし、大学で講義をしたときの学生の感想に「古田に似てる」と6文字だけ書かれていたこともある。当然「古田に似ていますね」と言われると思ったのだが、「松という字で始まる物まねタレント」に似ているなどと言われたことがないので、最初はそれが誰を指すのかはわからなかった。後からわかったのだが、それは「松尾貴史」のことであった。(p.198)

●1つ目は「何度も繰り返して憶える」。~(中略)~記憶を貯蔵するには記憶するべき項目を何度も唱えることが有効であり、繰り返した回数が多いほど記憶に残る。また、ただ単純に情報を繰り返すだけではなかなか長期貯蔵庫に送られない。長期貯蔵庫に送るには、「新しい情報を付加しながら繰り返す」ことが有効である。(p.200)

●2つ目は「間隔を空けて見直す」である。たとえば、記憶をするときには一晩に一気に憶えようとするのではなく、「朝会社に来たら」「昼食後に」「夕方に」「夜、帰る前に」といった具合に1日に何回かに分けて情報を見直す。つまり、何度もリハーサルを繰り返すにしても、一度にするのではなく、数回に分けて記憶すると有効である。記憶は単純に連続して情報を繰り返すよりも、断続的に繰り返したほうが効果的である。一度に連続して繰り返すことで記憶しようとすると、その情報を68回繰り返す必要があるのに対して、断続的に(間隔を空けて)繰り返した場合、憶えるのに必要とされる回数の平均は38回ですむという。つまり、同じ情報を憶えるのに、何度かに分ける形で記憶したほうが半分ぐらいの回数の繰り返しですむ(マイケル・クーランドほか著、小山晶子訳『世界一わかりやすい脳を鍛えて記憶力を強くする方法』総合法令出版、2002年参照)。(p.201)

●行動観察についてのそれまでの成果を論文にまとめ、関西IE協会に応募したところ、2009年度関西IE大会「生産性向上、競争力強化 改善・革新事例」の部門で優秀賞をいただくことができた。(p.211)

●行動観察に関する取り組みで優秀賞をいただいたのはいいが、その時点ではまだ工場の観察調査を実施したことはなかった。そこで、受賞を機に工場の調査を実施することにした。IEの手法を用いての工場の調査は専門家の手によって多々なされているので、私たちは異なるアプローチを取ることにした。それは、生産に従事している人だけでなく管理部門の人も含む、現場で働いている人たちの「動き」よりも「心理」に焦点を合わせた行動観察調査である。(p.211)

●では、モチベーションは何で決まるのか?私たちの調査したところでは、モチベーションと最も密接に関係しているのは「適職性」であった。つまり、「その仕事が好きか、自分にとって合っていると感じているかどうか」である。(p.215)

●余談ではあるが、日本では血液型と性格に密接な関係があると信じている人が多い。外国にはほとんどない現象で、多くの心理学者が両者の関係を調査したが、その相関性を示すデータは得られていない。心理学者の関心は、「血液型と性格には関係がないのに、どうして関係があると思ってしまうのか」という点に移っているが、その理由の1つがこの「ラベリング効果」であると言われている。(p.217)

●ハーバード大学の心理学者がホーソン工場で、「物理環境と作業効率の関係」について調査を行った。その中で、工場の明るさを段階的に暗くしていき、そのときに作業効率がどの程度低下するかを計測した。通常、手元が暗くなってくれば、作業がしにくくなり、作業効率は下がるものと考えられる。しかし、このときの結果は驚くべきことに、暗くすればするほど生産効率は上がったのである。その理由は、「自分の働く工場は、このような学者たちを呼んでまで自分たちの労働環境をよくしようとしている」と感じた現場の人たちのモチベーションが上がったところにあった。モチベーションが上がれば、物理環境が少々悪化しても作業効率が上がる。このホーソン効果についてはデータの取り方など様々な議論があるが、いずれにしろ工場で働くのが生身の人間である以上、モチベーションは非常に重要なファクターであるのは間違いない。(p.226)

●本書の事例も含めたほぼすべてのプロジェクトにおいて、行動観察は以下の手順に基づいて実施されている。
まずフィールドをよく観察して、事実をありのままにとらえる
  ↓
様々な事実について、可能な解釈を与える
  ↓
心理学や人間工学など、アカデミックな知見を踏まえて構造的な解釈を試みる
  ↓
その事実をよりよく説明できる仮説を考える
  ↓
得られた仮説に基づいてソリューション案を出す
  ↓
そのソリューション案を簡易に実施して、効果を見て有効性を確認する (p.254)

●これらのステップは、以下に示す、基本的な科学の手順と同じである。
事実や現象を把握する
  ↓
過去の文献を参照する
  ↓
事実の解釈について仮説を立てる
  ↓
仮説が正しいかどうかを実験で検証する
つまり、行動観察は科学と同じ手続きを踏んだ手法であるといえる。(p.255)

●ただし、本書の事例について「科学」という言葉を使うのに違和感を持つ人もおられるだろう。なぜ違和感があるのか?その理由は「観察においてデータのサンプル数が少ない」ことではないかと推測する。~(中略)~しかし、本書で述べた行動観察は、そういったデータによる検証にあまり重きを置いていない。その理由は、スーパー銭湯の節(3節)でも記述したように、行動観察を「データ分析」のために実施するというよりも、「仮説を生み出す」ために実施しているからである。(p.256)

●目的が付加価値の提案であれ生産性の向上であれ、フィールドが家庭であれ職場であれ、イノベーションを起こすためには、そのフィールドでの実態はどうであり、本当の課題は何であり、本質は何であるのか、をとらえて、「よい仮説」を得ることができるかどうかが最も重要である。「よい仮説」を得るためには、たとえ行動観察の対象者が10人しかいなくても、それぞれの人々の行動や思いを深く知るほうが、いたずらに対象者を増やして表面的な調査をするよりもよいことはおわかりいただけるだろう。(p.257)

●アカデミックの分野で査読論文を書くには、検証のためのデータを充分取る必要がある。しかし、ビジネスではそこまで必ずしも必要ではない。(p.258)

●「どうすれば行動観察ができるようになれますか?」とよく訊かれる。私はいつも「それには大きく2つ重要なことがあります」と答えるようにしている。1つ目は「自分の価値観から自由になる」ということだ。人はそれぞれ自分自身の価値観がある。私たちは普段の生活において、なるべくエネルギーを使わなくてすむように、様々なことについていちいち考えずに意思決定して行動をしている。しかし、行動観察で様々な気付きを得るためには、自分の価値観をいったん横において、フィールドを観察することが求められる。普段と同じように観察をすると、「これはこういうことだろう」「こうあってほしい」という自分のフィルターを通して事実を安易に解釈してしまう。しかし、それは実態をとらえようとするときにはバイアスになってしまう。(p.259)

●イグナーツ・ゼンメルワイスというハンガリー出身の医師をご存知だろうか。19世紀、病原菌という概念さえない当時、ヨーロッパ中の産院で産褥熱(さんじょくねつ)(出産のときに生じた傷から菌に感染して起こる病気)で多くの人が亡くなっていた。ゼンメルワイスは、「医者が手を塩素水で消毒するだけで、死亡者を激減させられる」ことを発見した。そしてその単純な「医者が手を洗う」方法を取り入れたところ、死亡率を18%から1%に下げることに成功した。これはまさに画期的な発見であり、イノベーションである。(p.267)
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