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妹尾堅一郎著「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」
この本、知財(知的財産)に関する本だとは知らずに買ってしまいました。少々難しかったのですが、仕事がら知財の知識も多少あるので、なんとか読み進める事ができました。バックグラウンドとして、「キャズム」や「イノベーションのジレンマ」について知っていたのも良かったです。

なお、本書に関連する情報が、2009年9月3日の日経ニュースメールに書かれていました。以下に添付しますが、今後の動向に注目です。

2009-09-03 Evening
N I K K E I -g o o 日経ニュースメール

デジタル家電向けCPU、国内勢が規格統一へ
富士通、東芝、パナソニックなど半導体・電機大手はデジタル家電や携帯電話に搭載する新型CPU(中央演算処理装置)の規格を統一する。基幹技術を共有化することで、一からソフトを開発する手間が省ける。新型の台頭を機に国内勢が結束し、CPU市場で圧倒的なシェアをもつ米インテルの牙城に挑む。2012年度を目標に業界標準の実現を目指す。




●2008年の後半から、日本のほとんどの経済誌・ビジネス誌で自動車産業の危機に関する特集が何回も組まれていますが、それらの特集はおおむね二つの論調で議論されていました。一つは、サブプライム問題からリーマンショックを経て「100年に一度あるかないかという世界経済不況の煽りをもろに受けた」というもの。~(中略)~そしてもう一つの論調は、「若者の自動車離れ」というものです。どちらも根本問題ではないように私には思えてなりません。重要なこと、すなわち自動車産業の最大の危機、それは、従来のガソリンエンジン車(レシプロ車)が電気モーター車(エレクトリックビークル:電気自動車)に移行することなのです。電気自動車によって、業界のビジネス構造がすべて変わってしまいかねないのです。(p.iv)

●日本の製造業の強みは「インテグラル(各部品間を相互に調整しながら多様な機能を摺り合わせていく)型」の製品であり、その代表格が自動車です。なのに、なぜ?実は、インテグラル型の現在の自動車(=ガソリン車)は、電気自動車になると完全にモジュラー(部品の独立性が高く、調整せずに組み立てが可能な製品)型に移行されてしまうのです。つまり、部品を相互に摺り合わせしながら調整をしてつくっていく高度なインテグラル製品ではなく、高度ではあるけれど単純な部品の簡単な組み合わせでつくることのできるモジュラー製品になってしまうからです。(p.vi)

●日本の半導体は1980年代、世界を席巻しました。"産業の米"と呼ばれ、微細加工という「ものづくり」の技術で日本は世界をリードしていました。しかし、通常のメモリー(記憶装置)ではなく、パソコンの頭脳であるMPU(中央演算装置)としての半導体チップになると様相が変わってきました。~(中略)~もちろん、どこまでを半導体の特許と呼ぶかは定義によりますが、いずれにせよ日本の企業群全体では一万余と言われています。つまり、日本の連合軍は一万人以上の兵士を抱えて闘っていると例えられるでしょう。一方、インテルの保持する特許はいくつでしょうか?~(中略)~とんでもない、実は、320に過ぎないとの説もあるのです!(p.ix)

●我が国の競争力の現状について、私はかなり悲観的です。競争優位の状況をつくり出すためには、競争劣位の現状をしっかり認識したほうが良いはずです。でないと日本人は、なぜ負けたか、なぜ負けているかをしっかり把握しないままに、あっさりと「水に流してしまう」からです。~(中略)~かつて太平洋戦争で日本軍は、当初なぜ自分たちが勝ったかの分析もせずに同じように攻め続けました。そして負けに転じた後も、なぜ負けたかについて原因をしっかり分析せず負け続けました。現在の日本の産業、特に製造業はこれと同じ状況になっているのです。(p.xii)

●技術で勝っても、事業で負ける。技術で勝って、知財権をとっても、事業で負ける。技術で勝って、国際標準をとっても、事業で負ける。なぜか?これが本書の基本となる第一の問題意識です。一万余の特許を持っている日本の半導体産業は、なぜ320の特許しか持っていないインテルに勝てないのでしょうか?(p.xii)

●国際競争力の評価では著名な『IMD世界競争力年鑑 2008年版』によると、日本の総合順位は55カ国・地域中22位、前年の24位より2位上がりました。~(中略)~2008年の総合順位では、1位米国、2位シンガポール、3位香港、4位スイス、5位ルクセンブルク、6位デンマーク、7位オーストラリア、8位カナダ、9位スウェーデン、10位オランダです。総合順位22位の日本は、大項目を見ると、経済状況が29位、政府の効率性が39位、ビジネスの効率性が24位、インフラは米国、スイス、シンガポールに次いで4位です。(p.xiv)

●そして何より重要なことは、イノベーションのモデル自体が大きくイノベーションされてしまったことです。従来のようにインベンション(発明、技術開発)とイノベーション(価値の創新)が同じであった時代は去ったのです。(p.xvii)

●日本にはいまだに、良い技術について単に知財権を取得すればそれだけで済むという風潮が残っています。ここで我々がすべきは、「知財権だけで貢献できること」「知財権でなければ貢献できないこと」「知財権とほかの要素の補完ないしは相乗的関係とつくることによって達成できること」をしっかり整理することなのです。(p.xx)

●振り返れば、90年代以降世界をリードした経営者は、モデルを変えることを率先した人々でした。IBMのルイス・ガースナー、GEのジャック・ウェルチ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズ、CNNのテッド・ターナー等々。最近のイノベーション競争を先導しているIBMのサミュエル・パルミサーノ会長がプレゼンテーションのときに使う資料には、「ゲームのルールを変えた者だけが勝つ」と書いてあります。(p.8)

●第一原則:従来モデルの改善をいくら突き進めても、イノベーションは起こらない(p.11)

●新しい技術、新しいモデルは常に外からやってきます。そのモデルにやられたくなければ、自ら変身するしかありません。生物学者チャールズ・ダーウィンが言ったと伝わるように、「強い者が勝つのではなく、常に変わり続けるものが生き残る」のです。(p.12)

●第二原則:イノベーションは従来モデルを駆逐し、その生産性向上努力を無にする(p.12)

●第三原則:システム的な階層構造上、常に上位のモデルのイノベーションが競争優位に立つ(p.13)

●第四原則:下位レベルのモデル磨きは、上位のモデル磨きにとどまる場合が普通だが、ときに上位モデル創新となる場合もある(p.15)

●第五原則:プロダクトイノベーションのほうがプロセスイノベーションより強い(p.16)

●レコードの生産性を画期的に向上させる生産上のプロセスイノベーションを起こしたとしても、CDが出現してしまえばそれは無に帰するということです。魅力的なモデルがなければ、洗練のしようがないのです。(p.16)

●第六原則:同種モデル間の競争はインプルーブメント、異種間の競争はイノベーション(p.17)

●「自社がイノベーションを仕掛けるにはリスクがある、かといって、他社に先んじられては遅れる」・・・・・・これが「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる状況なのです。従来の銀塩写真フィルムで圧倒的なシェアを持っていた富士フィルムが、自らデジタルカメラを発売するといった状況です。デジタルカメラを出してしまうと、最も強い自分たちの領域を自分たちで食べてしまうカニバリズム(共食い)に陥ってしまうのです。(p.19)

●第七原則:成長と発展、イノベーションとインプルーブメントは「スパイラルな関係」(p.20)

●企業経営の失敗の多くが、従来モデルの磨き上げか、新規モデルへの移行か、その判断を誤った場合であると言えます。成長すべき段階に発展戦略をとったら、あるいは発展すべき段階に成長戦略をとったら、どうなるでしょう。その判断こそが、経営者の重要な使命の一つであるとさえ言えます。つまり、「いつまでオタマジャクシのままで大きくなるつもりなのか」「いつカエルに変わるべきなのか」、それを見極めることが極めて重要な経営判断なのです。(p.22)

●さて、研究開発が事業に至らないことを、私は次のように整理しています。
①そもそもアイデアが生まれない(発想の問題)
②アイデアが知識に至らない(知識化の問題)
③知識が技術に至らない(研究の問題)
④技術が製品やサービスに至らない(開発の問題)
⑤製品やサービスが事業に至らない(市場開発の問題)
⑥事業が成功に至らない(事業戦略の問題)
この六段階のどこかでつまずき、技術が事業化を通じて社会に貢献するところまで至らないのです。この至らない狭間を、技術経営では「死の谷」「魔の川」「ダーウィンの海」「キャズム」等と呼ぶのはご存じのとおりです。(p.31)

●基幹部品を押さえて、そこから「完成品」を支配する「インテル・インサイド型」。反対に「完成品」をイメージしてその枠の中で部品群を支配する「アップル・アウトサイド型」(ここでは完成品と呼ぶことにしていますが、最終章でこれらは実は「準完成品」であると議論します)。この両者を見ながら、新しいイノベーションモデルを検討していくのが、本章です。(p.65)

●インテルは、それまではインテグラル型製品(部品間の相互調整を綿密に行うことによって創り上げる、摺り合わせ型製品)だったパソコンを、基幹部品であるMPUの急所技術を開発して、それを起点にモジュラー型製品(部品を相互につなぐだけで済む組み立て型製品)に変えてしまったのです。しかも、それだけではありません。そのMPUを取り付けたマザーボードという「中間財」を創り、それによってパソコンの組み立てを一気に簡略化したのです。そして、その製作ノウハウを台湾メーカーに渡して、廉価なマザーボードを製作してもらい世界中に普及する作戦を進めたのです。(p.67)

●<iPod>に使われている部材の大部分は、実は日本の企業が供給しています。マイクロプロセッサーやビデオプロセッサーが米国製である以外は、ハードディスク、液晶画面から接着剤、フィルム等々に至るまで全部供給していると聞きます。また、外側の見事な筐体のシルバー面の磨きは新潟県の燕市の食器を磨いた腕が活かされていたのです。(p.81)

●三菱化学が、DVDメディアの機能性素材を標準化の中に忍び込ませ、レシピ付きでオープンにした結果、多くの台湾メーカーがDVDメディアを製造し、結果としてほとんどが三菱化学の材料を使用するようになった例もあります。(p.85)

●確かにトヨタ自動車を始め多くの自動車メーカーは、ガソリンエンジン車の次にハイブリッド車を進めると言っています。しかし、従来モデルと新規モデルを組み合わせたハイブリッドは、ある意味「従来モデルの延命策」です。~(中略)~すなわち「ハイブリッド延命策は、実は短命」なのです。アナログからデジタルへの移行に伴うハイブリッドの延命の事例としては、例えばAPS(アドバンストフォトシステム)が代表例と言えるでしょう。(p.89)

●ハイブリッドカーは、いわば延命策としての「つなぎ」に見えます。そして皮肉なことに、ハイブリッドカーの性能が上がるということは、実はエンジンではなくモーターの技術開発を促進します。つまり、ハイブリッドを推進すればするほど、実は電気自動車が近くなるのです。(p.90)

●オバマ大統領がグリーンニューディールと言って81兆円用意しましたが、そのかなりの部分は自動車産業に使われるはずです。~(中略)~明らかに電気自動車のほうが環境に良いのですから、ビッグスリーがいきなり電気自動車に行ったらお金をつけると言っているのに等しいとも言えます。あるいは、電気自動車をつくり始めているカリフォルニアのベンチャーにお金を回すことも可能でしょう。このベンチャー企業は、今年2009年に横浜で実証実験を開始します。(p.92)

●インドのタタは20万円を切る簡易自動車<ナノ>の販売を2009年に開始しました。あれはとにかく部品数が少なく、どこまで簡便なら自動車として成立するのかということを実証実験しているように見えます。(p.94)

●ところで、電気自動車に関して卓見を持っているのが、ある強大な総合流通家電販売会社です。ここは最近なぜか中古車販売を始めました。彼らは郊外店をたくさん持っているから中古車販売に手を出したと解説されていますが、私はその読みは浅いのではないかと考えています。おそらく同社の社長は、近い将来電気自動車を販売するのは、秋葉原と郊外の巨大な電気流通業だと見ているのでしょう。電気自動車の販売の準備として自動車をどう売るかについて学習していると思われます。(p.95)

●米国と違って、東京では何百kmも走る必要はない。通常90%の自動車の走行距離は40km未満だと聞きます。つまり駐車場に停めているときや、コンビニにいるとき、家にいるときに簡易充電すれば良いのです。~(中略)~電池の交換や充電をサービスステーションで行うという発想も、昔からのガソリン車時代の発想を引きずっているかもしれません。むしろちょっとした駐車の合間に自動的に充電できることを発想したい。(p.100)

●日本の自動車の稼働率は実はかなり低い。そこで充電した自動車が家庭や企業にあるということは、すなわち強大な電源を日本全国の家庭に分散して持っているようなものでしょう。充電をしておけばピーク時は逆に、電気自動車の電池から通常の電力網に取り込めば良いわけです。(p.102)

●70年代終盤から80年代にかけて、アラン・ケイの影響を受けたスティーブ・ジョブズたちが、アップルの<マッキントッシュ>を生み出したのです。その後のマイクロソフトとインテルがパソコンの世界を制覇したことは、今までに述べてきたとおりです。日本は残念ながら、パソコンで覇権を米国にとられたと言って良いでしょう。(p.103)

●つまり、従来の「インベンション(発明)=イノベーション(新価値の創出)」というモデルはすでに過去のものになり、「イノベーション=発明×普及定着」となったのです。これは、「イノベーションモデル自体がイノベートされた」ということを意味します。別の角度から見れば、「技術力が必要十分条件の時代」が去って、「技術力は必要条件であるが、他に十分条件となるものが現れた時代」に入ったということです。(p.108)

●そして、『ヤング・レポート』から20年、2004年の12月に米国の新しい競争力強化を提言した『パルミサーノ・レポート』が出されました。その主題はイノベーションによる競争力強化です。この考え方が、世界の産業界や官僚たちを驚かせたのです。パルミサーノとはこのレポートをとりまとめた委員長、すなわちサミュエル・パルミサーノIBM会長のことです。このレポートの原題はInnovate Americaと言います。彼らは経験からイノベーションを起こしたものが勝つということを学んだのです。~(中略)~『パルミサーノ・レポート』には、もう一つ『ヤング・レポート』とは明らかに違う点があります。それはイノベーションを起こすのは人だ、と強調し、人財育成を大きなテーマにしたことです。彼らは留学生に手厚くすると見返りがあることを、経験から学んでいました。中国とインドで大活躍している人の多くは米国留学帰りです。(p.115)

●重要なことは、『パルミサーノ・レポート』は中国やインドといったBRICs諸国への対抗を想定して書かれたものだという点です。端的に言えば、日本は外されたわけです。『ヤング・レポート』の頃は、ジャパン・バッシング(Japan bassing:日本叩き)の時期でした。あっという間に、ジャパン・パッシング(Japan passing:日本素通り)になり、そして最近は悲しいかな、ジャパン・ナッシング(Japan nothing:日本無視)と言われ始めているのです。(p.117)

●たとえシェアが当初100%あっても、特許の件数が多くても、「国際標準化によるオープン政策」が行われた途端にシェアが著しく下がっていく状況となるのが、日本の「惨敗パターン」です。~(中略)~半導体も液晶もDVDもすべて同じ構造です。(p.133)

世界の巨人と言われたIBMは、かつては独自技術を開発し、それを特許で固めて、他社の追随を許しませんでした。今は、ネットワークの時代に即して、自社ユーザーがイノベーションを起こす、その基盤としてのプラットフォーム形成を、自社技術を軸としたオープンイノベーションによって推進していくという方針に転じています。(p.145)

●2008年2月にHD-DVD陣営の主軸であった東芝が事業撤退したことをもって、長年続いていた新世代DVDの国際標準間の争いは、ソニーを主軸にしたブルーレイディスク(BD)の勝利で終結したと思われていました。ところが、それから一年半後、撤退したと思われたHD-DVDの技術が日本から中国へ移ったというニュース(日経ビジネス2009年6月1日号)が出て、我々を仰天させています。~(中略)~仮に先進国で撤退したはずのHD-DVDが中国の国内標準となったら、先進国で標準となったブルーレイディスクよりはるかに多くの人々へ普及が可能となるわけです。(p.151)

●技術オープンの要諦は、「技術(特許)をオープン(公開)すれば市場全体が拡大する」ということです。~(中略)~「技術をオープンしないと、そもそも市場が立ち上がらず、その結果、その商品カテゴリー自体が消滅してしまうリスクもある」のです。(p.154)

●結果、PDFはインターネットの普及と足並みを揃えて一気に普及し、ついに2008年、PDFは、ISO32000と呼ばれる標準規格として国際機関から正式承認されたのです。「オープン標準」として公的に認知されたのです。リーダーは無償であったとしても、文書を制作するツールソフトのほうは有料です。それで稼ぐことになります。(p.162)

●今まで見てきたように、新しいイノベーションモデルは、技術と知財のフルオープンを意味しているわけではありません。オープンとは、「勝手に使っていいよ」という意味での自由公開を意味しているわけではないのです。しかしながら、オープンイノベーションを「ご自由にお取りください」とイメージしている人の多いことに驚きます。無料ではないのです。~(中略)~そしてオープンになったドアを入れば、そこの操縦席に座っているのは、欧米の企業なのです。欧米企業が「オープンイノベーションをやりましょうよ」と言ったら、自分たちが操縦席に座るつもりだと思ったほうが無難です。ところが日本人は、「みんなで持ち寄って頑張りましょう」となってしまう。(p.218)

●事業戦略上、知財はすべて権利化すれば良いというものではありません。前述のとおり、知財と知財権は別物です。概念が異なるのです。しかし、知財マネジメントを「すべての知財を権利化することだ」と誤解する人が少なくありません。これは間違いです。知財権をとらないほうが事業戦略上有効だと考えられる場合は、あえて権利をとりません。(p.237)

●知財マネジメントの重要な役目の一つは、「どの知財を権利化し、どの知財を権利化しないでノウハウ秘匿とするのか?」という判断を行うことです。一般的には、「リバースエンジニアリングできるか、否か?」が判断ポイントになります。リバースエンジニアリングとは、「完成品を分解したり解析したりして、それがどのような技術や工夫をこらしているのか、それを逆に(リバースして)調べること」を言います。それが可能な場合は、製品を製造するためのさまざまな技術がばれてしまうので、しっかりと特許をとっておくことが必要となります。(p.240)

●自動車のタイヤの素材自体については、特許を取得することができます。一方、タイヤの表面に彫られている溝と切り込みで構成された模様(トレッドパターン)によってタイヤの性能は大きく変わります。そこで、いかに効果的なトレッドパターンを開発するかは、各社がコンピュータシミュレーションを駆使して競争する分野となります。~(中略)~こういったパターン自体を技術成果として、特許権に加えて、意匠権で保護するわけです。また、新幹線の先頭車両の鼻部分の形状。これも流体力学の粋を集めた技術の塊ですが、それも特許と意匠権の両方で押さえています。(p.251)

●かつて、中国でオートバイの模倣品対策に手を焼いていたホンダは、最も高度な技術力を持っていた模倣品メーカーを外注先にしてしまいました。一石二鳥。これなども、問題の解決ではなく、問題を解消する方法でしょう。(p.268)

●最近では、パテントプールを開放する試みも出てきました。IBM、ノキア、ソニーなどの企業が中心となって形成した「エコ・パテントコモンズ」がその代表と言われます。これは、環境保護に使える特許を無償で開放して、相互に使い合おうとするものです。(p.276)

●1991年に基本特許が取得されたカーボンナノチューブは大規模な用途開発がようやく進展し始めましたが、実はもう特許権がほぼ切れる段階に来ています。とすると、実用化までの過程において知財マネジメントに工夫が必要となります。(p.320)

●もし電気自動車に大きく変わったとしたら、充電網は一種の別レイヤーのネットワークになりえます。つまり、電気自動車はそのネットワークの下位レイヤーともなってしまいかねません。すなわち、自動車が"携帯電話機"と同等の位置づけになる可能性もあるわけです。このメタファーの含意に気づいてほしいのです。システムとネットワークという概念を用いれば、それが理解されるはずでしょう。要するに、主導権を握るためには、同一レイヤー上の競争だけではダメになったのです。日本のお得意の同業種の「切磋琢磨型」は通用しなくなったのです。(p.354)

●IBMが製造業からサービス業にシフトしています。売上高の7割以上がソリューションビジネスになってから大分たちます。しかし、これはものづくりからコンサルテーションに移行している、あるいは製造業を止めてサービス業になったと受け取って良いのでしょうか。そうではありません。IBMは非常に多くのアウトソーシングサービスを受注していますが、それは自社のスーパーコンピュータを活用できるサービスとして位置づけているからです。つまり、製造業を包み込むようにサービス業を展開しているのです。(p.356)

●ニーズという言葉は、よく需要、欲求、要望と訳されますが、実は「不足」と訳すほうが適切です。つまり、知的ニーズというのは、知的に飢餓感を覚えるという「知的ハングリー精神」であると言ったほうが良いようです。(p.387)
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クリムゾン・ルーム リバース【2009/09/05 04:21】