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岩崎日出俊著「M&A新世紀」
zuKaoはM&Aにはあまり興味を持っていなかったのですが、ある方に薦められて見たドラマ「ハゲタカ」で面白いなぁと感じていました。もう少し知りたいなぁと思っていた矢先、Amazonでこの本を見つけました。

内田和成さんも2007年のblogで「ハゲタカ」についての記事を書かれていました(zuKao ハゲタカでGoogle検索したら、偶然見つかりました!)。




●今の日本では、市場主義経済が本来持っている「不適切な経営者を市場が交代させる」という自己修正機能が働かなくなってしまっている。(p.4)

●米国で1位から5位までのビール会社は全て米国以外の会社の支配下に陥落してしまった。今やベルギーの「インベブ社」が、キリンの20倍近くもの規模を誇っている。キリンとサントリーの合併は「勝ち組同士の合併」などという甘いものではない。キリンにしてもサントリーにしても、グローバル・マーケットで生き残っていくために手を組まざるを得なかった。(p.6)

●アメリカ最大のビール会社がベルギーの会社に買収された時も、全米がこぞって買収反対の大合唱を繰り広げたが、ベルギーの会社は全額キャッシュ(現金)を積んで、米国のビール会社を買いさらってしまった。(p.7)

●ミタルによるアルセロール買収の帰趨(きすう)を、固唾(かたず)を呑んで見守っていた新日鐵の三村会長はこう語っている。「どれほどの大企業であっても、いったん買収者のターゲットになり、その渦中に巻き込まれると、産業資本ではなく金融資本のロジックによって怒涛のような荒波に呑み込まれてしまうということを、我々は体験した」(p.8)

●インドの田舎町で牛小屋のような土壁造りの家屋に生まれ、インドネシアへ飛び出して電炉のスクラップ工場を始めたミタル。その彼が30年もしないうちに世界一の鉄鋼王になることが出来たというのが、グローバル資本主義の醍醐味だ。(p.9)

●左頁の下表は、世界の主な敵対的買収の事例を集めてみたものである。これを見ると分かるように、現実の世界では既に20兆円を超える敵対的買収が成立している。映画だけでなく現実の世界でも、トヨタは既に十分に射程距離にあるということだ。~(中略)~映画のような「国家ファンド」は、本当に12兆円のトヨタを買うだけの資金力を持っているのだろうか。29頁の上表は主な国家ファンドをリスト・アップしてみたものだが、12兆円を上回る資産を持つ国家ファンドが9つ。30兆円を上回る資産を保有しているところが4つもある。(p.24)

●国家ファンドとは、政府が運用するファンドのことで、国富ファンド、あるいはSWF(Sovereign Wealth Fund)とも言われる。オイルマネーや外貨準備などの国家資金を海外に投資する基金のことだ。~(中略)~主なものは左の上表の通りで、最大規模のアブダビ投資庁の運用資産規模は63兆円。日本の国家予算(平成21年度)が89兆円(うち税収が46兆円)であることに比すれば、国家ファンドの大きさが実感できよう。(p.28)

●アラブ首長国連邦の7つの首長国の一つであるドバイ。このドバイを代表する国家ファンド、ドバイ・ワールドの子会社「イスティスマール」は、日本のユニクロ(ファーストリテイリング)を相手に米国バーニーズ・ニューヨークの買収合戦を演じ、日本でも一躍有名になった。~(中略)~最終的にイスティスマールは買収金額9億4230万ドルを提示。(p.32)

●さすがに時価総額12兆円のトヨタ自動車を敵対的に買収するのは、これら民間の投資ファンドでは(裏で国家ファンドが協力でもしない限り)無理だろうが、日本企業の時価総額ランキング17位のソニー(2.5兆円)程度であれば、十分視野に入ってくるサイズだ。別言すれば日本の上位10位を除けば、残りの会社は全て海外の民間投資ファンドによって買収することが可能だということである。(p.40)

●「ハゲタカからのご忠告です。本業以外のビジネスに手を出した企業は、必ず潰れます」映画「ハゲタカ」の原作となった小説「レッドゾーン」では、主人公の鷲津政彦(わしづまさひこ)がこう発言する一幕がある。本業以外に手を出して破綻した企業の代表格は、GM(ゼネラルモーターズ)だろう。~(中略)~そもそも株式市場では、一つの事業を行う会社、いわゆる「ピュアプレイ」(pure play)の方が好まれ、複数の事業を行う会社は、価値が低く評価される傾向にある(コングロマリット・ディスカウント)。(p.46)

●仮にファンドがトヨタを買収したら、どのようにしてトヨタの企業価値向上を図るだろうか。ファンドから派遣された経営者がまず最初に手をつける経営改善策は、本業の自動車事業に経営資源を集中し、それ以外の事業から撤退することだろう。~(中略)~熾烈(しれつ)極まりない国際競争が支配する自動車業界にあっては、いかにトヨタといえども、本業以外に手を出している余裕など本来ないはずなのだ。(p.54)

●任天堂の現預金は2009年3月31日現在の数字で約7560億円。なんと従業員1人あたり1億8000万円の現預金を持っていることになる。(p.66)

●駄目な経営者が既得権に安住して居座り、一向に会社の業績が上がらない場合。その結果、従業員がリストラされ、株価も低迷し続ける場合。あるいは経営者による公私混同の放漫経営が横行する場合・・・・・・。このような場合に会社の中で自浄作用が働くのであれば問題ない。ただ日本では取締役会と言っても、実質的には社長に指名された取締役で構成されていて、自浄作用が働きにくい。~(中略)~英会話のNOVAのように、会社が破綻してしまってからでは遅いのである。(p.116)

●一国の経済がより大きく成長していく為には、株式市場が効率化していることが必要だ。ヒト、モノ、カネの経営資源が、本来行くべきところ(成長性の高いところ)へ、市場を通じて配分されることにより、経済全体として目一杯成長できるようになる。歪(ゆが)んだ市場では、資金が本来行くべきところに行くことができず、無駄に使われてしまう。(p.153)

●2007年、日本中が三角合併で大騒ぎしたが、実際には海外企業が自社株式を使って、日本企業に買収を仕掛けてくることはほとんど無かったと述べた(102頁)。その理由の一つは、日本企業が一般的に言って、株価のわりには収益力が乏しいということである。~(中略)~このため仮に米国企業が株式交換によって日本企業を買収しても、その結果、連結ベースでは買収後の自らのEPSを低下させ、株価を下げてしまうことになりかねない。(p.155)

●今や百貨店は、他の百貨店と競争しているのではない。婦人服では、H&Mや「しまむら」と競争し、紳士服はAOKIや青山と競争している。家電ではヤマダ電機、家具はニトリと顧客を取り合っているのだ。(p.202)

●ビールの世界で覇者となったのは、大国であるアメリカやドイツの企業ではなく、意外にも、ヨーロッパの小国ベルギー(面積は九州より小さくGDPは日本の10分の1)の「インベブ」や、南アフリカ(GDPはベルギーの約半分)の「SAB」であった。彼らはM&Aによって成長・発展し、世界のトップカンパニーとなったのである。これと同じように、鉄鋼の世界では、インドの実業家ラクシュミー・ミタルがスタートした鉄スクラップの電炉工場が、M&Aによって世界第1位にのし上がっている。そして驚くべき点は、彼がこの工場を1976年にインドネシアに立ち上げてから、世界トップに上り詰めるまでに30年とかからなかったということだ。(p.226)

●2006年1月から6月までの5ヶ月間にも及ぶミタルとアルセロールの壮絶な攻防。この結果明らかになったことは、ヨーロッパ各国が一体となって買収反対を叫んでみても、グローバル資本主義の前には無力だということだった。まさかの時に国は守ってくれない。政治家が何と言おうと、そして官僚がどうあがこうと、資本主義のルールに則って理路整然と駒を進めてくる買収者の前には無力だ。~(中略)~この買収の帰趨を、固唾(かたず)を呑んで見守っていた新日鐵の三村社長(当時)は、NHKの記者にこう語っている。「ミタルが、先にアルセロールに買収を仕掛けたのは、新日鐵にとって幸運だった。相手を分析し、対策を練る時間ができたからだ」ミタルによるアルセロール買収の動きを察知した後の三村社長は電光石火の如く矢継ぎ早に動いた。(p.236)

●世の中にはグローバル資本主義に批判的な人も多い。~(中略)~しかしグローバル資本主義は「強欲であれ」と言っているわけではないし、「アメリカ一辺倒」を主張しているわけでもない。かつて私は日本興業銀行からJ・P・モルガンのマネージングダイレクターに移ったが、モルガンの社風は天下国家を論じる興銀の社風に非常に似通ったところがあったし、従業員一人ひとりを大切にして、その能力を引き出すという社内教育システムは、興銀以上のものがあった。(p.250)

●本来、グローバル資本主義の言わんとしていることは、資本主義というルールの下で、オープンでフェアな競争をしようということだ。世界のどんな貧しいところで生まれた人にもチャンスを与えようということである。(p.251)
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