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内田和成著「異業種競争戦略」
Author: Kazunari Uchida
Title: Competition on the Business Chain

待ちに待った内田先生の新刊が出ました。本のタイトルの由来となっている「異業種格闘技」と最初に出会ったのは、約1年前、グローバルイノベーションフォーラム2008の内田先生のパートでした。その内容はしっかりblogにまとめていました。本書の基本となるものです。この日のblog記事には、内田先生からのコメントもいただき、非常に嬉しい思いをしました。

その後も内田先生のblogを読んだり、嶋口内田研究会に参加させていただいているので、本書のおおよその内容は聞いた事があるものでした。それでも、きちんと一冊の書籍にまとまって手元に置いておけるというのは、何とも心強い限りです。

今回の備忘録は、本書のエッセンスを抽出したものではなく、zuKaoがすぐに引き出したい部分、繰り返し読みたい部分を抜き出してあります。例えばp.162の引用部分などは、この備忘録だけではよく分からないでしょう。(←興味があれば本書を読んでください!)

ちなみにzuKaoが一番気に入ったのは、本書の最終章、第7章が「リーダーシップ」で締めくくられているところです。

※p.77に図表3-8として「ビジネスモデルの3要素」という図があるのですが、この内容は以前に内田先生から聞いた事があり、自分で以下のようなファイルにしていました(本書の図とは、若干イメージが違いますが、内容は同じです)。この画像ファイルは、zuKaoの携帯にもiPodにも入っており、頻繁にこの図を見るよう仕掛けをしています。
bmodel.jpg




●私は、こうした新しいタイプの競争を「異業種格闘技」と名づけました。異なるバックグラウンドを持つ企業が、異なるルールで、同じ顧客や市場を奪い合う戦争、という意味です。ひょっとしたら、10年後にトヨタがパナソニックと電気自動車で戦うといった、これまでなら考えられなかった競争が起きているかもしれません。~(中略)~こうした新しいタイプの競争、すなわち異業種格闘技の競争構造を解明し、戦略構築の方法論を提唱することが本書の目的です。(p.2)

●しかし、異業種格闘技は、これまでの競争戦略では説明できません。というのも、従来の競争戦略は、「同じ業界内での競争」を前提とし、そこで起きる新規参入や取引先との力関係などを説明したものだからです。(p.3)

●つまり、有料雑誌では、満足させる相手が読者で、部数は結果、フリーペーパーでは、満足させる相手が広告主で、そのためにも部数ありきなのです。(p.4)

●異業種格闘技を読み解くために、本書では、従来のバリューチェーンの上位概念ともいうべき新しいコンセプトとして「事業連鎖」を取り上げました。バリューチェーンが、あるひとつの企業のなかに閉じられた価値連鎖を表すことが多かったのに対し、事業連鎖は、製品や事業をまたがる、より広範な事業間のかかわりを記述します。(p.4)

●流通会社であれば、全国でたくさんの店舗を運営しており、その数は銀行の比ではありません。そうした自分たちの事業構造の強みを生かすかたちで銀行業に参入してきたとしたら、何が起こるでしょうか。当然、「利ざやで稼ぐ」といった従来型ではない新しい戦い方、たとえば「ATMの場所代で稼ぐ」や「すぐれた接客サービスで稼ぐ」などといった新しいルールを持ち込んだ戦いを仕掛けてきます。このとき、ねらいが同じ個人顧客であれば、同じ市場を、それぞれまったく異なる武器で戦うことになります。(p.23)

●すでにauは、銀行免許を取得して、2008年7月に「じぶん銀行」を始めています。また、NTTドコモは、みずほ銀行と組んで、携帯電話から送金ができる「ドコモケータイ送金」サービスを始めています。(p.24)

●異業種格闘技は、次のように定義できます。異業種格闘技とは、
1 異なる事業構造を持つ企業が
2 異なるルールで
3 同じ顧客や市場を 奪い合う競争である。(p.25)

●実際、レコード針で何が起きたかというと、CDが発売されたことでレコードのニーズが減ってしまったのです。どんなにいいレコード針をつくっても、レコードプレーヤーを使う機会が減ればレコード針もいらなくなります。多くの消費者がCDで音楽を聴くようになったら、従来のバリューチェーンで(従来の企業活動を)どんなにがんばっても限界があるのです。ところが、いまや、そのCDさえも音楽を聴くために本当に必要なのだろうか、という疑問が出てきています。(p.62)

●たとえば、図表3-1の事業連鎖には7つのボックス(要素)がありますが、このうち、絶対になくてはならないのは「ミュージシャン」と「消費者」だけです。そのあいだにある要素は手段であり、レコードでもCDでも音楽配信でも何でもよいのです。~(中略)~それと重ね合わせるかたちで、これまで不可能だったことを可能にする技術の進展があります。実際に、音源をデジタル化する技術ができたことでCDが可能となり、通信技術の進展によって音楽配信が可能となってきたという背景があります。ここからも、音楽を聴くための「手段はまったく問わない」という本質が見えてきます。本当になくてはならないものは何かを明確に認識するためにも消費者視点は非常に重要です。(p.63)

●異業種格闘技において、なぜ事業連鎖を考えることが必要なのか、その意味をまとめておきましょう。ひとつは、自社だけにかぎらず広い視点で業界を見直すことで、業界全体で何が起きているか、あるいは業界外部からどのような動きがあるかを見落とさないようにするためです。人も、そして企業もそうですが、目の前で起きている変化ならともかく、後ろから、あるいは思ってもみなかった方面から起きた変化に対しては、それに気づいたり対応策をとったりするのに遅れがちです。~(中略)~もうひとつは、業界を消費者目線で見直し、「消費者が何に対してお金を払っているのか」を常に確かめておくためです。企業が提供する価値と、顧客がお金を支払っている価値とがズレている場合も少なくありません。自分たちがいま、どんな役割を果たしているか、それは今後も必要とされるものなのかを普段から考えておくことが重要です。(p.75)

●ビジネスモデルにはさまざまな定義がありますが、ここでは、「顧客に、ある価値を提供するときの手段と儲けの仕組み」としておきましょう。(p.76)

●ガリバーのビジネスモデルは次のようにまとめられます。
・顧客に提供する価値
 ……透明度の高い価格付け、査定。市場価格での買い取り。
・儲けの仕組み
 ……他の中古車販売会社に売った価格と買取価格の差。これが手数料に相当する。
また、ガリバーは、価格の査定を本部でしか行いません。現場で査定するためには、ベテランの査定員を置かなくてはならないし、人によって査定金額が違ってくるからです。そのため、ガリバーでは、チェックだけを現場で行い、チェック項目はデータとして本部に送ります。そして、本部にいる査定員が査定をするようにしています。(p.79)

●中古車販売のビジネスモデルを大きく変えたガリバーは、従来型の中古車販売会社からみると非常にやりにくい競争相手になっています。というのも、「顧客に提供する価値」「儲けの仕組み」「競争優位性の持続」といったビジネスモデルの3要素がすべて既存の中古車販売会社とは異なっているからです。場合によっては、競合していることすら気づかないかもしれません(図表3-9)。(p.80)

●テレビゲームをやりながら、同時にテレビも見る、といった器用な方はいないでしょう。つまり、どちらかをやれば、どちらかが成り立たないのです。たとえば、テレビゲームがどんどん売れて、皆さんが何時間もそれで遊ぶようになれば、当然、テレビを見る時間は減ります。このようにして、テレビとテレビゲームは「時間を奪い合う競争」をしているのです。(p.98)

●異業種格闘技の戦略構築手法は、次の4つのステップに分けられます。
ステップ1 どこにチャンスや脅威があるか
      ……事業連鎖の再構築
ステップ2 敵を知り、己を知り、顧客を知る
      ……競争環境の再認識
ステップ3 事業連鎖のなかで、どう稼ぐか
      ……ビジネスモデルの確立
ステップ4 敵を自分の土俵に引きずり込む
      ……新しいルールの確立 (p.117)

●何が起こるかわからない異業種格闘技において、どこに軸足を置いて戦い方を考えればよいのでしょうか。その答えは、顧客です。自分たちは顧客に何を提供するのか、それは競争相手と同じものか、それともまったく異なる価値を提供しながら顧客を奪い取るのか-。(p.130)

●顧客に提供する価値の違いで戦う場合は、ちょっとした違いでは勝てません。顧客の誰もが認めるほどの決定的な違いであることが不可欠です。たとえば、ヤマト運輸が「宅急便」を始めたときの戦い方がこれにあたります。~(中略)~個人が荷物を送ろうとしたら、郵便局か鉄道の駅まで自分で持っていくしかなかったのです。自宅まで荷物を取りにきてくれるというサービスが画期的なものだったからこそ、宅配便サービスの市場が伸びたわけです。(p.141)

●プリンターがイネーブラーで、インクカートリッジがトールゲートだといえるでしょう。(p.162)

●マイクロソフトにとって、同社の稼ぎ柱である「ワード」や「エクセル」に対抗するソフトウエアが無料で提供されることは非常に手痛いことです。このように、相手が嫌がることをする、あるいは相手のトールゲートを無意味なものにしてしまうというのがブロックプレイです。(p.164)

●さまざまな競争相手が、さまざまな仕掛けで攻めてきます。自分たちの軸足をきちんと持たず、それらにいちいち振り回されてばかりいたら、自分自身をも見失いかねません。~(中略)~敵を知り、己を知り、顧客を知ったうえで、攻めるときと同様、敵の動きを見ながら臨機応変な反撃を開始すべきでしょう。場合によっては、動かないほうがいい場合もあります。「どうなるかわからない」といってあきらめてしまうのが、いちばんの愚策です。(p.174)

●最後に、これまでみてきた戦略的な視点を実行するために、リーダーに何が求められるかを考えます。それは、異業種格闘技を戦い抜くために欠かせないリーダーの役割です。異業種格闘技では攻めるより守るほうが難しいと述べましたが、リーダーの役割には両方の要素が求められます。~(中略)~守る側の企業も、どこかで反撃に転じないと、収益力が低下するばかりです。また、どこで何が起きるかわからない異業種格闘技では、「平時」ではなく「戦時」のリーダーシップが求められます。リーダーシップのなかには、組織をリードするなどといった一般的なリーダーシップも含まれますが、ここでは、異業種格闘技という戦時に求められるリーダーシップに焦点を絞ってみていきます。(p.179)

●異業種格闘技では先を読むことも必要ですが、最も重要なのは、先を読んだうえで、夢やゴールを示すことです。新しいビジネスモデルを確立し、新しいビジネスのルールをつくり出すためにも、リーダーはそれを従業員に示さなければならないからです。~(中略)~グーグルの目的は、「マイクロソフトやヤフーと戦う」ということではなく「すべてのサービスはネット上にあるべきだ(パソコンの本体内に置くべきではない)。だからこそ、ウェブ上であらゆるサービスを提供し、それをお客さんに使ってもらう」ということであり、それをビジネスとしています。これは、非常に明解なフィロソフィーであるとともに、戦略であり、ゴールであり、ミッションでもあります。実際に、この方向性のもとで組織全体が動いています。(p.180)

●パーク24が運営するコインパーキングの「タイムズ」も同様です。駅前の何十台、何百台規模の大駐車場をいきなり手がけるのではなく、誰も注目しない小さな土地-2~3台のクルマしか駐車できないような土地からコインパーキングを始めたので、誰も気づかないうちに事業を成長させることができました。からめ手で攻めるということは、大手の既存企業が正面から対抗してこないという点ですぐれた戦い方のひとつです。リーダーには「戦い方を見切る力」が求められます。(p.183)

●あるいは、「小学校や中学校の校舎は、平日の昼間しか使われないのでもったいない」というのなら、夜間や休日に小学校で社会人向けのビジネススクールや料理教室を開くといったことも考えられます。このように、業界を超えて通用する事例は数多くあります。コンサルティング業界では、これを「アナロジーを使う」と呼んでいます。(p.185)

●戦いを勝利に導くためには、次の4つの役割がリーダーに求められます。
1 実行力
  ……最後までやり抜く
2 スピード
  ……迅速な取り組み
3 柔軟な思考力
  ……パラダイム・シフターを見逃さない
4 変化対応力
  ……スパイラル・アプローチで戦う(p.191)

●進むべき道を明らかにし、組織を率いて行動を開始したとしましょう。しかし、予定どおりにいくことはまずありません。思ったほどお客さんがついてこない、興味は持ってくれているがお金を払ってくれない、当面はないと思っていた競合が出現したなどといったことが当然のように起きてきます。~(中略)~ぐっとこらえて、芽が出るまでやり抜くのがリーダーの仕事です。いまでこそ高収益で高評価のアマゾンでさえ、黒字化するのに10年近い年月がかかりました。(p.192)

●新しいビジネスモデルを考えたり、既存の秩序を壊して新しいルールで戦おうと考えたりする人は、いまの事業の中枢からは生まれてきません。業界の外にいる人、あるいは業界内(社内)でも異端とみなされている人、あるいはまったくの新人が考えつき、はじめることが多いといえます。こうした新しい仕組みやビジネスを考える人を、パラダイムを変える革命者ということで「パラダイム・シフター」あるいは「チャンピオン」と呼びます。~(中略)~パラダイム・シフターは既存の企業のなかにもいますが、社内の主流派から相手にされていないことが多く、また彼らだけで事業を変革したり、組織を変えたりすることができないため、実際には企業としての対応が遅れ、結果的に新興企業の後塵を拝してしまうことになりがちです。(p.196)

●不確実性への対応が必須の戦時のリーダーには、次の3つの資質が求められます。これは、ドイツの前にプロイセンという国があって、そこの将軍だったクラウゼヴィッツの著書『戦争論』からヒントを得て考えたものです(図表7-2)。
1 先見性
2 勇気
3 現場力 (p.201)

●フランスの文学者、マルセル・プルーストの言葉です。
「本当の発見の旅とは、新しい土地を探すことではなく、新しい目で見ることだ」
いま皆さんがやっていることを、もういちど、ぜひ違う目で見つめ直していただきたいと思います。(p.208)
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