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天外伺朗著「非常識経営の夜明け」
副題は、『燃える「フロー」型組織が奇跡を生む』です。著者の天外さんですが、「天外」というのはペンネームらしく、本名は土井利忠さんと言います。元ソニーの常務で、CDや犬型ロボットAIBOなどの開発を主導した方のようです。

この本を読んで、先週読んだ「その仕事は利益につながっていますか?」の内容がより深く分かった気がします。



●すべての企業が近代化に取り組んでいるため、結局さらに効率を上げないと競争には勝てない。その循環はとどまることを知らず、際限のないプレッシャーとして従業員に襲いかかっていた。次第にそれが限界に近づき、出口の見えない閉塞感につながってしまったのではなかろうか。(p.22)

●現場がデシジョン(意思決定)できるためには、会社の詳細な情報が全社員に公開され、あまねく周知徹底されていなくてはいけない。セムコ社では清掃係にいたるまで、財務諸表の読み方がトレーニングされている。~(中略)~もちろん、トンチンカンなことも山ほど起きるのだが、全体の熱気の中で、しっかりと自浄作用が働いている。従業員が活性化すれば、会社全体が活性化するのはあたり前の話だ。(p.26)

●部下を徹底的に受容し、信頼し、自律的な動きにまかせて指示・命令をしないマネジメント、つまり「燃える集団」が生まれやすくなるスタイルを、私は「長老型マネジメント」と名づけた。じつは、ソニーの創業者の井深大氏のマネジメントが、その命名のベースになっている。経営論としての裏付けを得るため、心理学者チクセントミハイの「フロー理論」、いま大流行している「コーチング」のルーツであるガルウェイの「インナーワーク」、また深層心理学、トランスパーソナル心理学などを参照した。(p.31)

●誰しもが、自分は合理的に意思決定をし、そのとおりに行動している、と信じて疑わない。だから経営学者たちが、そう錯覚してしまうのは無理からぬことだ。しかしながら、じつはその前提は根本的に間違いであり、きわめて幼稚だといわざるを得ない。間違った土台の上に、いくら美しい論理を重ねてみても、全体としては砂上の楼閣にすぎない。人が決して合理的な存在でないことは、深層心理学という学問が明らかにしてきた。自分では、自由意志にもとづいて合理的に判断していると信じているのだが、じつは、本人も気づくことができない無意識からふつふつとこみ上げてくる、さまざまな衝動に支配されている、というのが人間の実態だ。(p.43)

●「燃える集団」が出現するためには、チーム・メンバーが互いに受容し、強い信頼感で結ばれている必要がある。ところが、自分自身を受容できていない人は、他人も受容することができない。言動が必要以上に防衛的になったり、消極的になったり、ときに無意味に他人を攻撃することがあり、「燃える集団」の火を消す役回りを演じてしまう。一般に、幸福な子ども時代を経験していない人は、自分自身を受容することが難しい。それは決して本人の責任ではないのだが、いかんともしがたい。そういう人は、一見快活で学業成績が優秀で、仕事に熱心に取り組んでいても、「燃える集団」のチーム・メンバーには不向きだ。(p.45)

●ついでにいうと、自分の指示・命令が「やり過ごし」により無視されたとき、怒り狂う上司も無能だ。ほとんどの職場では、上司の思いつきの発言や、とても実行不可能な指示を、現場で適当にフィルターをかけて「やり過ごす」ことにより、業務がとどこおりなく回っていく。~(中略)~つまり、「やり過ごし」が日常的に実行されている職場は、ブレーン・ストーミングを毎日やっているようなもので活気に満ちている。部下のほうも、体を張って「やり過ごす」ことによって判断力、決断力が身についていく。上司のいうとおりに動いている部下は、それができず、マネジメントのレベルに育つことはない。(p.55)

出路の経営学の要点
1.企業経営で最も大切なことは、まず自分が楽しいこと。次に仲間やお客さんが楽しいこと。人を喜ばせることは、本質的に楽しいことだ。
~(中略)~
5.自ら懸命に努力し、反省し、根性を持って頑張り、他にもそれを強要する生き方は最悪。いい結果は生まない。
~(中略)~
8.社員に理念を徹底しなければいけない。わかりやすく簡単なことばで、いろいろな方法で、いろいろな場で、何度でも繰り返して・・・・・・。
9.会社の本当の成長は、規模が大きくなることではない。仲間がより楽しく、お客さんがより楽しく、会社に関係する人々がより楽しくなるような会社にすることだ。それは、最大の楽しみだ。
~(中略)~
12.「現状分析して、問題点を見つけ出し、反省し、解決へ向かう」という従来の仕事の進め方は、あら捜しをして文句をつける拷問を誘う。「楽しくないから反省は一切禁止」「予算管理や目標進捗状況の把握はゲーム感覚で・・・・・・」
13.精密な計数管理をし、詳しく分析して現状把握をしたところで、やたらに忙しくなるばかりで、売り上げが増えるわけではない。むしろ経理処理は徹底的に手を抜いて、昔ながらの「どんぶり勘定」に戻せば、社員は暇になり楽しいことを企画するようになる。そのほうがはるかに売り上げが上がる。~(以下、省略)(p.67)

●その物事の本質のことを、「プロセス指向心理学」という新しい心理学を提唱したアーノルド・ミンデルは「タオ(道)」と呼んだ。タオというのは、いにしえの中国の賢人、老子のことばだが、宇宙の秩序の本質、あるいは大自然の大きな流れを意味する。~(中略)~タオが表に出てくるのは、人の精神状態の両極端においてである。ひとつは、瞑想に近いようなリラックスした状態のときだ。~(中略)~逆に、冷静で理性的でまともな発言の中にはタオはあらわれない、とミンデルはいう。だから、いまの社会で求められているような理路整然たる話し合い話し合いをいくら続けても、紛争が解決されることはない。たとえ表面的な妥協をしても、無意識に抑圧されている根本要因はそのままだからだ。(p.72)

●よく就業時間中の雑談を禁じている企業があるが、これはまったくおろかなマネジメントだ。雑談の中に、真のコミュニケーションにとって最も大切なタオが出てくるのを知らないのだ。~(中略)~一般には、会議は要領よく時間どおりに進行させ、短時間に結論に導くのがよし、とされている。ところが、そういう会議はタオに欠けた無味乾燥な新皮質会議になる。(p.75)

●反省や言い訳はいうほうも聞くほうも楽しくないし、だいいちそんなことで売り上げが上がるわけではない。ガルウェイも、「インナーワーク」で同じことをいっている。反省というのはセルフ1の得意技であり、セルフ2を抑圧し、委縮させる結果につながる。つまり、「フロー」とは対極にあるのだ。(p.92)

●だから、ひどいマネージャーも本当は必要なわけ。その下で苦しめといて、急に解放するから力を発揮する(笑)。そのために会社は、ひどいのを高給を出してたくさん雇っている(笑)。ちょっと雇いすぎだけどね(笑)……。(p.108)

●「心をくつろがせ」というのは、すべての基本だ。人はリラックスしていないと、その場に存在するタオを感じることはできず、自分の内側に存在するタオを表出することもできず、直感をうまく使うこともできない。(p.119)

●どんなにすばらしいシステムを導入し、高度なマネジメントを実行していても、信頼を欠いた組織は破綻を誘う。~(中略)~しょせん企業経営というのは、ドロドロした人間関係の営みそのものであり、従来の経営学が説いているような「こうすれば、ああなる」的な単純な因果関係が支配的なのではない。(p.128)

●行き詰ってしまった現在の日本の産業界では、遊び心に欠け、「仕事以外は脇目もふらず」という態度を従業員に強要する経営者が多い。つまり、「フロー」には入りにくい雰囲気が支配的だ。(p.129)

●三冊目の『経営の未来』[8]の著者のひとり、ゲイリー・ハメルは『コア・コンピタンス経営』(日本経済新聞社、1995年)などのベストセラーを書いた経営学者、コンサルタントであり、ロンドン・ビジネススクールの教授だ。この本は基本的に、読者に経営の改革者になることを奨めている。従来の近代経営管理の考え方に決別して、新しい潮流の推進者になりましょう、という趣旨だ。(p.145)

●8章で、チクセントミハイが「フロー」の研究に着手する50年も前に、「フロー」という現象を発見し、それを中心にした教育学を提唱した人がいた、と述べた。その人の名が、マリア・モンテッソーリなのだ!したがって、モンテッソーリ教育は、子どもたちが「フロー」に入ることを最も重要視している。その教育を受けてきた二人のグーグルの創業者が、大脳辺縁系を活性化して自らの潜在能力を発揮する術を身につけており、また会社全体を「フロー」状態にするような経営をしていることは、ごく自然ななりゆきだろう。(p.147)

●凋落に向かっていくときのソニーでは、成果主義を導入した結果、事業部門間の協力関係が徹底的に破壊された。たとえば、ノートPCを担当する事業部とデスクトップPCを担当する事業部が、搭載するソフトウェアで協力できないような状況になってしまった。後から就任したCEOはそれを見て、「ソニーの事業部は、まるでサイロ(牧草などを発酵させて貯蔵する縦長の倉庫)のように閉じている」と嘆いた。それが凋落のひとつの要因になっていたことは、誰の目にも明らかだったのだ。(p.158)

●じつは、お金や権力、地位などを激しく追い求めることは、意識の成長・進化の道筋では脇道であり、ディープ・グラウンディングからは遠ざかる方向性を持っている。いくらお金をかせいでも、権力を握っても、地位や名誉が得られても、その満足感はきわめて表層的であり、さらに上を目指して戦っていないと精神は安定しない。そういう人は戦いをやめると、燃え尽き症候群に陥ってしまう。(p.185)

●あ、スティーブン・ジョブズに関してひと言いっておくと、僕が彼を個人的によく知っていたのは、もうかれこれ25年前の話だからね。いまは、すっかり変わっているかもしれない。彼は、サンフランシスコ禅センターの高弟で、もう30年以上禅とか瞑想とかを続けているんですよ。だから、内面的に相当充実している可能性はあります、現在はね。僕がいつもいっている、「意識の成長・進化」という意味では、彼は自分で意識して着々と努力をしてきている数少ない経営者のひとりです。(p.200)

●セムラーの経営学の要点
1.従業員は皆大人であり、適切な判断力を持っているという、徹底的な信頼感に基づく経営。
~(中略)~
3.ビジネス上のもっとも大切なコンセプトは「直感」「幸運」「失敗の体験」「セレンディピティー(偶然の賜物)」だ。
~(中略)~
6.就業規則、業務標準、職務記述書、雇用契約、キャリアプランなど、すべて廃止。すべてを、自らの「常識」で判断するように指導。
7.指揮統制(Command & control)は一切しない。レポートや経費を承認する人はいない。作業員を監視監督する人はいない。
~(中略)~
12.ボスは「自分では意思決定しない」という、真の参加型経営を忠実に実行。
16.従業員は会社の目標達成に邁進する前に、自分のやりがいと満足感を追求することを求められる。
17.会社の最優先課題は、従業員の生活の質の向上だ。製品の質、生産性、利益などの向上は、それにともなって自然についてくる。
18.ほとんどの人が2~5年で自主的に配置転換をする。それにより、惰性に流されることを防ぎ、複数の専門性を身につけ、会社全般の仕事の流れを把握する。セクショナリズムを防ぎ、自主的に仕事の穴を埋めることを可能にする。また部門の主(ぬし)のような人が発生するのを防ぐ。
~(中略)~
23.重要ポストの社外からの採用、あるいは社内からの登用は、部下になるべき人たちが複数回面接を実施。その面接に従業員が誰も姿を現さなかったら、そのポストは廃止。
~(中略)~
25.理念、ミッションステートメント、企業目標、ビジネスプラン、企業戦略、短期戦略、中長期計画などすべて廃止。
26.組織図はない。
~(中略)~
29.本社はない。場所だけ存在し、大勢の人が出入りするが専任者はいない。「本社というのは管理と差別、権力欲の巣窟だ」
34.あらゆる書類は、見出しつき1ページに限定(新聞記事のイメージ)。
~(中略)~
37.情報システム部、品質管理部、人事部などを廃止。法律、会計、マーケティングなどの要員を75%削減。秘書は全廃。(p.230)

●じつは、私が経営学や教育学の新しい潮流を表現するときに用いている「人間性」という形容詞は、この心理学から転用させていただいた。その提唱者である、アブラハム・マズローは、その後スタニスラフ・グロフと共同で、宗教的境地やドラッグによる神秘体験まで視野に入れた「トランスパーソナル心理学」を新たに提唱した(彼は生涯で、二度にわたって大きな心理学の流れを提唱したことになる)。(p.242)
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