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モーガン・マッコール著「ハイ・フライヤー」
Author: Morgan W. McCall, Jr.
Title: High Flyers
Sub Title: Developing the next generation of leaders

久しぶりに良い本に巡り合えました。邦題からは連想しにくいですが、リーダーシップに関する本です。



●本書、『ハイ・フライヤー』は、国家や企業の違いを超え、どの会社で働こうとも、どの国の出身であっても、リーダーシップは同じように学ぶことができるのだということが前提となっている。リーダーシップは経験を通じて学ぶことができる。課題に挑戦し、(良くも悪くも)卓越した人々と接触し、苦境や失敗を乗り越え、ときには研修プログラムに参加するといった経験を通じて、学ぶことができる。企業や会社が変われば、リーダーが学ぶことは異なるかもしれないが、どのように学ぶかという点は変わらないのである。(p.2)

●最初の有害な影響は、「最適者」に関するあまりにも安易で誤った信念である。どのように達成したかということは無視され、過去の実績(トラック・レコード)が主な指標となることが多い。そのため、最適者が存在する、ゆえに生存者が最適者であるというような同語反復に陥る。十分な育成をすることなく、最適者が生き残るという信念を持っているため、企業は成長できる可能性を秘めている人を見落としてしまうだけでなく、欠点があるにもかかわらず報いたり、効果のあがらない方法で教えたり、視野やスキルの幅を狭めたり、慢心させたりすることによって、高く飛べる人(ハイ・フライヤー)(訳注:本書ではハイ・フライヤーとは経営幹部、ビジネスリーダーの意味)として認められた人たちを何気なく挫折させてしまうのである。(p.8)

●本書で言いたいことは、「リーダーシップの能力は学習できるものであるということ」「人材開発を支援する環境づくりが企業の競合優位性を築くことになるということ」「リーダーシップ開発はリーダーの責任であるということ」である。(p.9)

●成功した経営幹部と挫折した経営幹部とを区別するコンピテンシーには、融通性、冒険心(勇気)、行動を起こす心構え、柔軟性、忍耐力、創造性などがある。(p.27)

●リーダーシップ研究において、「特異性による信頼(idiosyncrasy credits 良い判断をしてきた人物に対して、集団の規範からの逸脱を認めるというもの)」という概念は、広く普及したものであった。「何かいいもの」を持つ人物は、活力があり、機転がきき、勇気を持っているというふうに見られる。(p.33)

●今日のリーダーは複雑なスキルを必要とするため、「天賦の才能」だけでは十分とは言えず、また天賦の才能を持つ人も十分には存在しない。非常に有能な人物、優れた天分のある人物も、成長や開発を続けなければ困難に陥る危険性がある。(p.37)

●ピラミッドの頂上に近づくにつれてポストは少なくなるため、さまざまな正当な理由によって多くの人は各自に適したレベルに到達し、昇進は止まる。また、多くの人は自分の選択によって、あるいは能力の限界によって、組織からの期待と達成レベルがつりあった時点で昇進は止まる。(p.49)

●ほかの企業では、有能な人を狭い専門領域内で昇進させ、その視野を狭め、のちに総合的にマネジメントする地位に就かせ、より広い視野が必要とされる際に、脱線させてしまうことがあった。(p.57)

●原理原則にあまりにも忠実であると、狂信的になったり、自分の信念を他者に押しつけるようになることがある。高業績チームを構築する能力に優れていると、うまく機能していない他の関係を無視するようになってしまう。決断力があり、高い水準を追求すると評されるリーダーが、のちに傲慢で、独裁的で、横暴だとみなされることはよくあることである。(p.68)

●また、遅かれ早かれ、成功した経営幹部は管理したがるようになり、自分の専門知識外の職務にも過剰な管理を持ち込む。特に、オーバーマネジャー(過剰に管理するマネジャー)は「自分が理解していない事柄に対して干渉する」、「自分が援助を必要とする人を遠ざける」、「専門家の意見を聞かなかったり、あるいは、専門家のほうにとっても助言する気にさせないことで多くの過ちを犯す」、「細かなことに陥ってしまって広い視野で考えることができなくなる」などの欠点がある。マイクロマネジャー(細かなことまで管理するマネジャー)は、他者の仕事に手を出してしまうために忙しくなり、自分の仕事に手が回らなくなってしまう。(p.71)

●私たちの研究において、「インセンシティビティ(無神経さ)」というのは、脱線した経営幹部に関して最もよく報告される欠点であり、脱線した経営幹部と成功した経営幹部の最も際立った相違のひとつだった。(p.73)

●「過去目立たなかった欠点が致命的になる」背景には、環境の変化が関連していることが多い。有能な人、つまり結果を残す人や顕著な実績を残した人は、自らを置く環境が頻繁に変わる傾向にある。つまり、そのような人は昇進したり、チャレンジングな任務を提示されたり、重要なプロジェクトに任命されたり、大きな責任を与えられたり、より華やかな新しい舞台へ異動していく。(p.74)

●自信は成功にとって非常に重要な要素であるが、成功に慢心して傲慢になってしまうことがある。実績の明るいきらめきに目がくらんでしまい、非常に有能な人が、ギリシア神話のイカロスのように太陽に近づきすぎて、墜落してしまうことがよくある(訳注:ギリシア神話のイカロスはハイ・フライヤーよろしくさらに高く飛び続けて、太陽に近づきすぎたときに蝋でくっつけた羽が、太陽の熱で溶けてしまったために墜落してしまった)。(p.78)

●軍パイロットでも、医者でも、経営幹部でも、過去の実績は何か特別なものが自分にあるという証明にはならない(実際にその人たちが優れていても)。しかしながら、特別であると思い込むことがエゴに変わり、頼りにしている人たちを遠ざけてしまう結果になる。(p.79)

●「偉大なる利己主義者は、楽観主義者であることが多い」とこれまで言われてきた。~(中略)~それにもかかわらず、(見当違いの自信だったとしても)自信こそが、他人がひるむような困難な問題に果敢に挑戦するための原動力である。(p.81)

傲慢さは、「強み」から発展した「弱み」である。実際、傲慢さは、才能と成功から生まれる。傲慢さは、ネガティブな影響を直接及ぼすだけでなく、他者に対して、どんな影響を及ぼしているのか見えなくしてしまう。(p.82)

●敵をつくらずに、企業内で仕事を日常的に続けるのはほとんどできず、リーダーシップには、ときには恨みを買うような決断を下すことも必要である。~(中略)~他者の力は必要ないと信じ、そのような態度で他者に接することは、自分が自ら崩壊の舞台を設定しているようなものだ。いざというときに、その人を救うために進んで立ち上がる人はいない。(p.88)

●個人単位での仕事から管理職へのジャンプは、視野の変化だけでなく、部下(かつては同僚だったかもしれないし、経験がより豊富かもしれない部下)と建設的な関係を築くことを意味している。そのことが成長を促す。個人単位での仕事から成果をあげるマネジャーへの転換は、リンダ・ヒルの本に詳しく説明されている。ヒルは「マネジャーになるということは新しいアイデンティティを身につけることと同様に難しい」と述べている。挑戦し、他者をリードすることを楽しむことによって成果を勝ちとることができる。(p.111)

●私たちが研究したところによると、視野の変化は、精通していないこと(職務、ビジネス、人物など)をマネジメントすることを学ぶこと、部下を採用・育成して「リモート」でマネジメントすることを学ぶこと、権限を委譲すること、部下の行動の責任を引き受けることを学ぶこと、組織を前に進めるような組織構造や報酬制度をつくることを学ぶこと、といったようにさまざまな教訓を提供する。(p.114)

●仕事の場面で新しいことをするにはリスクは高すぎるかもしれないが、仕事以外で何か新しいことに挑戦することは、リーダーシップ開発にとって大変重要なものになるだろう。(p.121)

●マネジメントの進歩に関して長期にわたって研究したアン・ハワードとダグ・ブレイによると「最も成長した人は、同じタイプの職務を続けるような直線的な昇進ではなく、他の地域への異動、部門間の異動が一般的である」と報告している。少しずつしか増えない責任、中程度の困難な課題、非常に似ている上司、という環境では、人材開発がほとんど促進されないということがデータ的にも実証されている。(p.122)

●国際的に活躍するマネジャーに関するある研究では、海外ビジネスにおいて3つの事柄が重要だということを示している。それは「変革へのコミットメント」「洞察力」「リスクを冒す勇気」である。具体的には、それぞれ、「組織の成功へ進んで犠牲になること」「問題の要点をとらえ、それを独創的に解決する能力」「他者の同意が得られなかったり、個人またはビジネスにリスクが生じるような場合でも行動を起こす勇気」と言い換えることができる。~(中略)~長期的キャリアの視点と人材開発の視点から考えると、これらの属性は明らかに不十分であり、脱線の原因となりうる。このような理由から、私たちはこれらの属性を「入学金」と呼ぶ。つまり、実績重視の企業において「潜在能力が高い」と認められ、リーダーシップとしての持ち駒を広げる機会を得るには、これらの属性が最低限の基準となる。(p.188)

●知識に対する飽くなき追求は海外勤務になると高速ギアで回転する。この任務において、潜在能力が高いと評価された人は異文化に接することに喜びを見いだし、その文化を理解することやその環境で効率的な行動を学習することに多くのエネルギーを費やす。まとめると、成果をあげるマネジャーは自分の見解を変え、新しいことに触れ、ビジネスや自分の置かれた部門に対する理解を広げる、といった経験を自らに課すことで、冒険心を表明する。その過程でリスクを冒す勇気を示し、それを開発していく。なぜならば、新しいことへの移行は、常に何らかのリスクを伴っているからである。(p.190)

●成果をあげる学習者と、あげられない学習者との相違は次のようなところに見られる。前者は自分に影響するフィードバックを積極的に求め、それに対応し、フィードバックが批判的であっても、あるいは自分を脅かすような相手からのものであっても、オープンに受け入れる傾向がある。自己防衛的な態度をとることなく他者に情報を求めることができ、情報提供者と建設的な関係を築くことができる。(p.194)

●「人は具体的な目的に対して責任を負う場合に、管理者としての行動が形成される」ということを、ほとんどの企業が発見している。MBO(目標による管理手法)に代表されるような、アカウンタビリティ(説明責任)を明確にするために開発された制度は完璧なものとは言いがたいが、ほとんどの企業が目標や目的を設定するのに公式な手順を使っている。(p.239)

「リーダーシップの能力は主にOJTで学習できる」ことが研究によって実証されている。挑戦的な課題、非凡な上司、失敗など、人材開発に影響を及ぼすさまざまな経験はすでに組織に存在している。それらを活用せず、そこからリターンを得ないとうことは、はっきり言って、やるべきことをやっていないということだ。(p.258)

●「学習する組織」に関して最も影響を及ぼした書籍は、おそらく20世紀最後の10年に上梓されたピーター・センゲの『最強組織の法則』だろう。この中で、学習する組織を「未来を創造する能力を常に伸ばす組織」であると定義している。(p.259)

●よい経営とは、すなわち正しいことをやっていることである。業績を最大にしつつ高いモラルを維持するというのはなかなか難しいことであるが、有能な人を開発することでそのような機会を実現することができる。(p.259)

●スカンジナビア航空の前CEO、ヤン・カールソンは「真のリーダーになるかどうかはトップしだいである。真のリーダーは大胆さと繊細さを持って社員が各自の責任を受け入れ実行できるような環境を創造することに専心している。……孤立して、独裁的な意思決定を行っていては成功することはできない。真のリーダーは、理想家であり、戦略家であり、情報提供者であり、教師であり、そして奨励者でなければならない」と述べている。私は、「真のリーダーは、社員が学習と成長を継続できるような環境を創造する人物である」と付け加えたい。(p.275)

●人は挑戦的な経験、つまりその人を背伸びさせ、新しいことを探求させ、隠れた能力を引き出すような経験によって成長する。(p.276)
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