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遠藤功著「現場力を鍛える」
この本を読み終わったのは先週の金曜日でしたが、1週間以上が経ってやっとUPできる状況になりました。

著者の遠藤さんの本は、昨年読んだ「ねばちっこい経営」に続き2冊目です。ちなみに昨日、さらに「見える化」という本もAmazonで注文しました(古本で!)。遠藤さんの本に書かれている事はどれも理解するのには難しい事ではないのですが、継続して実行するのが難しい事なのだと思います。だからこそ、時折意識をする事が大事なのだと思います。



●結果を出したケースを見ると、戦略を実行する立場にいる現場の人たちが、きわめて高い「当事者意識」を持っていた。~(中略)~もちろん結果が出るまでには、試行錯誤の繰り返しだが、それでも「一度決めた戦略を実行し、結果を出すのは自分たちだ」という強い自負を感じた。現場に主体性があり、自発的に侃々諤々(かんかんがくがく)議論を繰り返し、意見の対立を乗り越えながら、一歩一歩前進させていく「柔軟な頭脳」と「強靭な足腰」を持っていた。(p.ii)

●経営においては、競争戦略も大切だし、リーダーシップも大切である。しかし、私が15年のコンサルタント経験で得た結論は、戦略を実現する当事者である現場の持つ力、すなわち「現場力」こそが最大の競争力の源泉であるということに尽きる。(p.iii)

●世の中には、競争戦略やリーダーシップの書物は数多くあるが、オペレーション、すなわち現場の目線から経営を捉えようとする書物は稀有(けう)である。競争力の源泉となるような「強い現場」とはどんなものなのか。これまでの経験をもとに整理をしてみたいというのが、本書を書こうとした動機である。(p.vi)

●ビジネススクールでは今後、「現場学」として体系的な研究をしたいと思っているが、本書はその取っ掛かりとなる視座をまとめたにすぎない。(p.vii)

●マイケル・ポーターは、競争優位を生み出すための基本戦略は3つしかないと言い切る。その3つとは、「コスト・リーダーシップ」「差別化」「集中」である(図表1-2)。(p.11)

●オペレーションというと、単に日常業務をこなすだけの戦略性の低い企業活動と捉えられがちであるが、現実にはオペレーションの優劣が企業の業績を大きく左右していると言っても過言ではない。そして、企業のオペレーションには戦略を軌道修正しながら遂行する「組織能力」が内包されている。これを私は「現場力」と呼ぶ。オペレーション力とは、すなわち現場力のことである。(p.23)

●また、現場力の重要性は製造業に限ったことではない。むしろ、企業活動の大部分がオペレーションであるサービス業においてこそ、現場力の強化は経営にとって最大のテーマだと言える。(p.26)

●「正しくやりきる」とは、言い換えると「当たり前」のことを全員が最後まできちんとやりきることである。結果を出している企業に共通する「当たり前」のこととは、次の5つのポイントに凝縮される。
1 結果を出すのは自分たちだという強い自負・誇り・当事者意識を現場が持っている。
2 現場が会社の戦略や方針を正しく理解・納得し、自分たちの役割をきちんと認識している。
3 結果を出すために、組織の壁を越えて結束・協力し、知恵を出し合う。
4 結果が出るまで努力を続け、決して諦めない。
5 結果を出しても奢(おご)らず、新たな目標に向かってチャレンジしつづける。(p.31)

●品質をよくしようとすればコストがかかる。スピードを高めようとすると品質が犠牲になる。しかし、そうした「トレードオフ」を容認してしまったら、他社を凌駕する優位性は絶対に実現できず、せいぜい「他社並み」で終わってしまう。両立することが一見困難に思える目標を、同時にかつ高次元で実現させる「二律背反の克服」こそが「強い現場」の絶対条件である。(p.38)

●オペレーション力、すなわち現場力が卓越し、競争上の優位性にまで高められていることを「オペレーショナル・エクセレンス」と呼ぶ。戦略を実行する現場の組織能力が秀でていて、結果を出すことのできる「柔軟な頭脳」と「強靭な足腰」を持つ企業のことである。~(中略)~オペレーショナル・エクセレンスの特徴は「持続力の長い優位性」を確立する点にある。(p.41)

●それでは、オペレーショナル・エクセレンスの追求によってめざすべき優位性とはどんなものであろうか。一つ目は言うまでもなく「圧倒的な業務効率性の実現によるコスト優位性」である。~(中略)~ムダのない安定・均一した業務品質とスピーディーな仕事の流れを確保し、さらに日常的な業務改善を貪欲に追及することが、ワールドクラスの「ロー・コスト・オペレーション」につながるのである。しかし、オペレーショナル・エクセレンスによる優位性は、決して業務効率性だけではない。「強い現場」は単に業務を遂行するだけでなく、その過程においてお客様の充たされないニーズやウォンツを肌で感じることができる。そうした「新たな顧客価値の発見」は、新たな商品やサービスを生み出す起点となるのである。(p.43)

●業務効率性の追求は、業務連鎖におけるムダ・ムラ・ムリを取り払い、一気通貫のスムーズな仕事の流れを実現することで、ロー・コストとスピードという価値をお客様に提供する。企業がより儲けるために業務効率性を追求するわけではない。業務効率性がお客様に価値をもたらし、その結果として、企業はより高い収益を上げることができるのである。(p.44)

●データや情報が効力を発揮するのは、三現主義のうちの「現実」、すなわち「現状分析」の部分にすぎない。「現地」「現物」を伴わないデータはかえって判断を誤らせるリスクがあるのである。(p.47)

●マザー・テレサは「無関心こそが最大の罪悪である」と言ったが、それはまさに企業の現場にも当てはまる。(p.51)

●国連難民高等弁務官として活躍された緒方貞子氏は、日本人の特質についてこう語っている。「人間は仕事を通して成長していかなければなりません。その鍵となるのは好奇心です。常に問題を求め、積極的に疑問を出していく『心』と『頭』が必要なのです。開かれた頭で、何かを求めていく姿勢がなければなりません。日本人は答えはきっちり出すが、問題を出してこないという欠陥があるように思われます」。(p.55)

●世界に冠たる石油会社エクソンモービルは、世界中にオペレーションを展開しているが、石油の精製から調達、物流、販売に至るまで、すべての現場を熟知している本社担当役員が世界中を飛び回り、「現場監査」を日常的に行っている。その監査は社内では「コールド・アイ・レビュー」(冷徹な目による監査)と呼ばれ、各国の経営者、現場責任者に恐れられている。~(中略)~エクソンモービルでは、すべての機能、業務において本社で定めた基本プロセスやスタンダード(基準)が存在する。コールド・アイ・レビューでは、すべての業務がこうしたスタンダードにのっとって行われているか、あるいは行われていないのであればその理由が妥当なものであるかどうか、目標を達成するために改善の知恵が出されているかどうかなどが厳しく追求される。(p.62)

●しかし、たとえロジックが完璧であっても、実行されない、できない戦略はそもそも戦略などと呼ぶべき代物ではない。極論すれば、たとえロジックが不完全であっても、現場感があり、現場がその気になって実行する戦略の方がはるかに成果は出やすい。「まず戦略ありき」という頭でっかちの発想から抜け出さなければ、実行性は担保できない。(p.66)

●納得性とは「経営のトップから現場に至るまでの全員が理解し、共感する『腹に落ちる』競争戦略となっている」ことである。戦略を実行し、具体的な顧客価値を創出するのは現場である。現場がその気にならなければ、戦略など無価値である。(p.67)

●こうした企業では、オペレーションを改善していくこと、すなわち「自分たちの仕事を進化させること」自体が仕事であると捉えられ、その姿勢は企業としての「哲学」や「信念」のレベルにまで昇華されている。また、自分の仕事だけを考えるのではなく、「仕事の流れ全体を見渡し、一連の流れをより効率的に、よりスピーディに、そしてより正確にするためにはどうしたらよいか」を考える業務連鎖の発想、全体最適の発想が根付いている。(p.77)

●現場力とは「自ら問題を発見し、解決する」ことであると繰り返し述べている。しかし、いくら問題点を発見しても、それを指摘し知らしめなければ意味がない。問題に気づいても「言わない」「触れない」では、気づいていないのと同じである。「問題発見」「問題提起」「問題解決」の三つの能力が揃ってはじめて、進化する現場はつくられる。(p.88)

●17年連続で2桁増益を続けている化粧品世界最大手のロレアルでは、創業以来「誰でも間違える権利がある」を不文律にしている。たとえミスを犯しても、もう一度別のポジションでチャンスを与える。~(中略)~ロレアルの社内組織は、小さい部門で4~5人、大きなところで数百人というチームに分かれている。社内ではこれを「船」にたとえている。小さなボートから大きな貨物船まで、それぞれに「船長」がいて権限委譲を徹底している。結果を出し、成功した者は次々とより大きな船を乗り換えていく。失敗した場合でも、小さな船に戻ったり、スピードが要求されない船に移ったりして、再度チャレンジするチャンスを与えている。(p.100)

●「見える仕組み」は決して問題点の「見える化」だけではない。問題発見から問題解決に至るPDCAサイクルの中で、様々な「見える化」の工夫がされなければならない。~(中略)~「プロセス」「問題点」「結果」「知恵」の4つが「見える」ことによって、現場の進化が生まれてくる。(p.117)

●この会社では、納期に関する約30のKPIに加えて、営業活動や新製品開発のプロセスにおけるKPIを設定し、トータルで約100のKPIに落とし込んだ。これらのKPIは時系列でトレンドが分かるようにグラフ化され、イントラネットを使って管理職以上がいつでも見ることができるようになっている(図表2-9)。こうした仕組みを「KPIコックピット」と呼ぶ。~(中略)~その最初の画面ではKPIを一覧でき、目標値を達成しているものはグリーン、目標値を少し外れているものはイエロー、目標値から大きく乖離(かいり)しているものはレッドで表示されるようになっている。(p.122)

●「小さなチーム」の構成は、4人程度がひとつの目安となる。4人という単位の妥当性は、お祭りの「みこし担ぎ」を考えてもらうと分かりやすい。小さなみこしは基本的に4人が分担して担ぐものである。誰かひとりでも手を抜くとすぐ分かるし、人数が増えると力を使わずにぶら下がる人間が増えるだけである。一人ひとりが責任を持ち、なおかつチームとしての団結を保ちながら、知恵を出す努力をするためには4人というチーム構成はきわめて効果的である。(p.126)

●組織は成長とともに肥大化し、官僚的になる。そして、現場のエネルギーは徐々に失われ、責任意識が希薄になる。~(中略)~それに対する処方箋は、収益管理の単位を小さくし、従業員を全員戦力化して、自律神経を取り戻すことである。(p.129)

●効率化を考える前に、「その業務をやめることができないか」を問い直すことが肝心である。経営学者のピーター・F・ドラッカーはこう指摘する。「本来やるべきではない業務を効率化しようとすることほど非効率なことはない」。(p.146)

●花王では、部門横断的な会議が飲み会に発展した時には、一次会まで経費で落とすことを認めている。コストには徹底的に厳しい花王だが、社内交流を促すこうしたコストには寛容である。(p.153)

●私たちは「改善」という言葉を日頃何気なく使っているが、その言葉の持つ意味合い、重さは会社によって異なる。改善とは、「自主的に業務のあり方を考え、課題を発見し、解決を導き出す活動」と定義することができる。(p.155)

●それでは「改革」とは何を指すのだろうか。これも様々な定義があるが、私は改革を「5~10年ごとに行うべきビジネスの仕組みの構造的変革」と定義している。(p.158)

●直接現場を歩き回って、管理するという実務重視型の経営手法、MBWA(マネジメント・バイ・ウォーキング・アラウンド)が一時脚光を浴びた。特に、トップダウンが強すぎ、本社と現場が遊離してしまった欧米企業でこの考え方はもてはやされた。常に現場に関心を持ち、現場で起きている「事実」から経営を組み立てることの重要性を、多くの日本企業も思い出さなければならない。(p.174)
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