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藤井清孝著「グローバル・イノベーション 日本を変える3つの革命」
7月に入り、4冊目のアップです。今月は頑張っています!

藤井さんの本は、昨年2月に読んだ「グローバル・マインド」に続き2冊目です。



●どんな強い組織や集団でも長く経てば必ず澱(よど)みを生む。「新陳代謝」のサイクルを仕組みとしてつくり込むことで、既存の組織も緊張感で強くなり新規参入組との健全な競争が生まれるのである。(p.18)

●私は自分のいろいろな国での実体験から、教育レベルでもビジネスの環境でも、現在の日本のリーダー育成の仕組みに構造的な脆弱(ぜいじゃく)性を感じている。一言で言うと、あまりにも思考が内向き過ぎるのだ。これが先述の危機感の弱さの原因にもなっていると感じる。(p.19)

●私自身がそうだったが、社長としてのレポート先は、本社の社長だった。また、当時は本社の社長の直轄の下、日本向けだけの製品開発や、日本独自の戦略が例外的に許容されていたケースも多かった。(p.30)

●ところが、昨今のグローバル企業の日本子会社は、アジア地域の一国の組織に格下げされ、日本法人社長も、その多くがシンガポールにいるアジア地域本部のトップにレポートをしている。~(中略)~結果として日本法人社長には、良くて「営業部長」、下手をすると日本の「大家さん」のような役割しか期待されなくなっている。~(中略)~実際、グーグル社では、2010年に入って日本法人社長という職務自体をなくしてしまっているが、これは大変象徴的だ。(p.31)

●香港、台湾、シンガポールの華人ビジネスパーソンは英語も流暢で、アメリカで教育を受けた中国人も急増しており、欧米人から見ると日本人よりもわかりやすい商売相手と言えよう。縮小し、理解困難で収益性の低い日本市場が、中国の存在の下でかすんで見えるわけである。~(中略)~このように欧米のグローバル企業での日本の位置づけを見ると、この3、4年で激変している。一言で言うと、グローバル企業は、「日本はもう特別扱いするに値しない市場」という判断を下してしまっている。(p.32)

●昔から日本は、グローバルな舞台では工業製品の優秀さ以外には「今一つよくわからない国」であったが、今は「わかりたくもない国」に変わりつつある。(p.33)

●経営者が株価を重視するのは当然のことと考えられているが、私の経験では、日本の経営者が自社の株価低迷に伴う激痛を感じる局面は、欧米の企業に比べて圧倒的に少ないと思う。欧米では、株価が低迷すると買収の標的にされたり、経営陣が退陣させられたりする事態が現実の脅威として存在する。(p.42)

●ところが、この資本市場の「優しさ」は業界再編を遅らせる。資本市場からのプレッシャーが企業のガバナンスを揺るがすところまで行かないので、どう考えても存続が難しいような業界下位の企業ですら存続してしまい、業界全体の足を引っ張る結果になるからだ。(p.43)

●日本産業再生の論議の際によくある、「技術立国を目指せ」「研究・開発に力を入れろ」「特許を増やせ」「途上国にフォーカスした製品を発売せよ」のような短絡的な議論を聞いていると、グローバルなデジタル化の潮流をどこまで本質的に理解されているか、懸念させられる。(p.46)

●私は、SAPという基幹業務向けのソフトウェア企業の日本法人社長を6年近く務めたおかげで、ソフトウェアの開発力強化に必要なものを身をもって体験した。ソフトウェア開発で一番大切な能力は「概念設計」である。まず、いろいろなシナリオをシミュレートしながら、論理的に詰めていく力である。~(中略)~これは「生産現場重視」の日本企業の得意技からは少し離れた世界だ。現場は目に見えるものだが、ソフトウェアは概念の世界で、目に見える現場は存在しない。そもそもソフトウェアは、試作品=完成品なので量産技術は不要であり、生産の現場自体が存在しない。また、世界最大のソフトウェア企業、マイクロソフトの製品でもバグが出るように、最初から完璧な製品を出荷することは極めて難しく、日本メーカーの完璧指向の文化には違和感のある世界だ。(p.62)

●日本人には「現場にすべての答えがある」と信奉している人が多いと感じるが、これは現場を積み重ねて結論を出す「演繹(えんえき)的な思考」教育の結果だと感じる。これに対してソフトウェアの開発には、トップダウンで概念設計から入っていく「帰納的な思考」が必要であり、これは日本の教育が得意としてきた分野ではない。このようにソフトウェアの開発では、「トップダウンの概念設計」「目に見える現場が存在しない」「試行錯誤が必要」といった特徴があり、従来の日本のメーカーが得意とする分野での経験が活かしにくいのである。(p.63)

●ガースナーの行った変革は一言で言えば、メインフレームの製品中心のプロダクト・カンパニーから、顧客中心のサービス・カンパニーへとIBMのビジネスモデルを変革したことにある。この新しいビジネスモデルでは、顧客の求めるソリューションはIBMの製品でなくても受け入れるオープン性を取り入れながら、肝心のカギとなるハードウェア機器や、種々のアプリケーション・ソフトウェア・ソリューションを統合するミドルウェアはIBM製という関門を設けた。また、顧客の問題解決サービス能力を増強するために、大手のコンサルティング会社を買収した。(p.71)

●私が日本法人の社長を務めていた、ルイ・ヴィトンのパリ本社の商品開発では、「顧客のニーズを敢えて聞かない」雰囲気があった。商品開発の部門は本社でも立ち入り禁止区域になっており、そこではデザイナーが自由な環境でイノベーションを追っていた。また、マーケティングから上がってくる市場や競合動向の情報も、意図的に避けていた。そこには、トップブランドの使命は市場を創造することであり、大衆や競合に迎合し、市場に追従することではないとの矜持(きょうじ)があったように感じられる。(p.78)

●実は、サービスの製品化とは、サービス提供のプロセスにおいて「擦り合わせ」方式から「モジュール」化することなのである。~(中略)~日本の高級旅館に宿泊すると、すべてが手づくりのサービスで、女将(おかみ)さんをはじめとするスタッフから自分だけのためのようなもてなしを受ける。料理、宿泊とすべて手づくりであり、その分値段も高額だ。一方、フォーシーズンズホテルや、ザ・リッツ・カールトンのような海外の高級ホテルに宿泊すると、どこに泊まっても常客であれば、自分の好みがITデータベースに登録されており、高級旅館と同じように自分だけのサービスを受けているような気分になる。両者の違いは、その高級旅館は一軒しかないが、海外の高級ホテルは全世界に何百軒とあり、収益性も格段に高いことだ。すなわち、サービス自体をモジュール化することで属人性を排除し、ITを駆使することで顧客にはカスタマイズされたサービスを提供し、コストを下げながらサービスの再現性をつくり込むことにより、事業規模を拡大できるのだ。(p.86)

●デジタル時代では、アライアンスによって必要な機能は外注できるので、経営資源を全部抱え込んでいる大企業の優位性は少なくなっている。そのような環境下では、大企業の一部でサラリーマンが新事業を立ち上げるのと、大きな富の創造のチャンスを目指して、野心家がリスクキャピタルを募り、退路を断って起業するのとでははじめから勝負がついていると言えよう。(p.93)

●ベタープレイス社は2011年に、まずイスラエルとデンマークでこの方式の商業化を計画している。イスラエルは地政学的に原油依存から脱却しようとしているし、デンマークは環境大国として、風力発電や電気自動車を精力的に推進している。両市場では、交換式電池付きの電気自動車の供給をルノー社より受ける予定だ。(p.110)

●タクシーは台数にすると全乗用車の2%に過ぎないが、CO2排出量にすると何と20%を占めている。すなわち、タクシーは普通乗用車の10倍の距離を毎日走っているのだ。(p.116)

●日本はこのトレードオフになる骨太な論点を整理する力と、いったんその平衡点を決めた後、相矛盾せず整合性の取れた、総合的な政策のパッケージを提示する力が決定的に弱い。その結果、本質的にトレードオフになる論点を議論せず、いいとこ取りをした聞き心地の良い言葉を信じるような風潮をあおるのだ。~(中略)~日本人はトレードオフになる論点を深く理解し、その結果複数の選択肢を生みだす思考パターンは苦手だ。これは「正解指向」の教育に根ざしていると考える。本質的にトレードオフを内包している論点に「正解指向」をぶつけると、「いいとこ取り」をした一つの「正解」がとりあえず出てくる。そして、実行段階でその議論の持つ複雑さと矛盾に気がつくパターンだ。(p.131)

●商社や半導体事業などを見てみると、親会社は独立したままなのに、子会社レベルで大きな事業統合を行っている場合が多い。また、二つの会社が一緒になっても、すぐに統合せず「○○ホールディング」という持ち株会社をつくり、その下で昔の会社が昔どおりの名前で商売をする形態は日本独特だ。(p.134)

●大企業が周辺事業をノンコア事業と位置づけていく過程で、それらの事業の将来性に目をつけた若い企業群が1980年代に産声を上げていた。IBMがソフトウェアに力を注がなかった結果、オペレーティング・システム・ソフトに特化したマイクロソフト、データベースに特化したオラクル、アプリケーションに特化したSAP、パソコンのCPUに特化したインテルが生まれ、それらのシリコンバレー型新生企業は短期間にグローバル市場を席巻する巨大企業へと成長していった。(p.143)

●私は日本の次世代のリーダーには、次の3つの力が大切であると考える。
・多様性からエネルギーを生み出す力
・全体観を持ち、問題自体を定義する力
・グローバルな仕組みの中で、日本の繁栄を図る力(p.157)

●問題自体を定義するのは、現場で頑張っている一般国民の果たす役割ではない。それはリーダーにしかできない仕事だ。また、やるべきことが自明である場合はリーダーは要らない。~(中略)~今日本に一番必要なのは、「未来の正解」を決定し、それを力強く、わかりやすくコミュニケートするリーダーシップである。(p.174)
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