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大前研一著「民の見えざる手」
大前研一さんの本は一時期すごく読んでいたのですが、最近は御無沙汰でした。一見すると受け入れにくく捉えられる事も多いのでしょうが、私にとっては非常に良い刺激となります。この本からも、非常に多くの知的刺激を受けました。



●「景気は来年後半に上向く」-年末恒例の経済予測で、多くのエコノミストがそういい続けて、10年以上になる。それに対し、私は一貫して「この先もずっと景気はよくならない」と主張してきた。なぜなら、少子高齢化が加速する日本は、労働力人口が毎年40万人ずつ減少しており、国内市場の縮小と企業の海外移転によって、経済規模も雇用も税収も減る一方だからである。(p.12)

●こうした「ボーダレス経済」や「サイバー経済」が深化する中、金融危機後のアメリカで何が起きたか?1995年から2005年までの10年間にGDP(国内総生産)成長率の8割以上を担っていたともいわれるベビーブーマー世代が一気に消費を手控えたのだ。~(中略)~大きな家を2~3軒所有し、南部にも老後を過ごすための別荘を買い求め、車を3台持って、ブランドにもこだわっていた。彼らの旺盛な消費欲を支えていたのは、確定拠出型年金の「401k」や株などの資産だった。ところが、リーマン・ショックで、いきなり積み上がっていたはずの運用益が吹き飛び、引退後の生活に十分な貯えがないということになった。(p.15)

●リーマン・ショックで「やばい」と感じた人々が「撃ち方やめ!」とばかりに消費を控え、家を1軒売り、車を1台売って、浮いたお金を貯蓄に回したわけである。こうした人々の行動は、従来のマクロ経済学では説明がつかない。すべてはマクロではなくミクロな、個人個人の心理-民の見えざる手-が及ぼした結果なのだ。今や先進国では、ミクロがマクロを支配するといってよい。(p.16)

●なぜマクロ経済学者は未来を予測できないのか?答えは簡単だ。それらの経済学は、結局は限られた条件下での閉鎖的な理論にすぎないからである。~(中略)~たった1人の人間が、国の経済をがらりと変えることもあるのだ。投資家のジョージ・ソロスは1992年のイギリス・ポンド危機で莫大な額のポンドを空売りしてイングランド銀行をひっくり返したが、その現実の前には経済学者の理屈など机上の空論にすぎなかった。97年のアジア通貨危機もまた、高尚な理論に関係なく、一部のファンドがタイ・バーツを売り浴びせたことから端を発している。(p.20)

●本書は、2007年に上梓した拙著『大前流 心理経済学』の応用編として、今の経済を動かしている「民の見えざる手」の正体とは何なのか、そしてこれからの世界がどこへ向かおうとしているのかを私なりに分析したものである。(p.32)

●また、パソコンメーカーのエイサーは1980年代には何度か経営危機に見舞われていたにもかかわらず、アッという間に復活してアメリカのゲートウェイを買収し、2009年度第3四半期(7~9月期)の全世界パソコン出荷量で初めてデルを上回ってHPに次ぐ世界2位のパソコンメーカーになった。(p.38)

●たとえば私の友人で、中国最大手のソフトウェア会社「東軟集団」(NEUSOFT GROUP)の総裁である劉積仁さんは、2009年に大連の小高い山を切り開いて広大な第2キャンパス(ソフト工場)を建設した。山の中腹に「NEUSOFT」とハリウッドサインばりの看板を掲げる同社の企業団地は、日本企業のように貧相な建物ではない。豪勢に大理石を多用した"白亜の殿堂"である。~(中略)~劉さんが東軟集団を創業したのは1991年。わずか18年で、社員1万6000人、時価総額3000億円の大企業に成長し、外国企業の買収も積極的に開始している。(p.43)

●また先日、CCTV(中国中央電視台)の番組に出演した際に会った「新希望集団」の劉永好総裁はもともと農民の出身で、1982年に四川省・成都を拠点に資本金1000元(当時約1万5000円)で起業した。今では農業のあらゆる分野に事業を拡大し、従業員6万人を抱え、個人的にも米誌『フォーブス』の資産家リストでトップクラスにランキングされている。(p.44)

●もし、自動車の保有者全員が車検時の買い替えを1回延ばしたとすれば、おのずと新車販売台数は対前年比40%減になってしまう。全員一斉に買い控えたら、その年は新車が1台も売れないということも理論的にはありえる。つまり、耐久消費財は消費者の心理が凍てついたら、その年の需要がゼロになっても不思議ではないのである。(p.46)

●会社というものは「顧客に奉仕すること」以外の目的を持ってはいけない。これをマッキンゼー流に言い換えれば、「クライアント・インタレスト・ファースト」となるのだが、たとえば、成長しよう、大きくなろう、売上高いくら、目標何店・・・・・・といった自己中心的な別の目的を優先するようになったら、事業は失敗する。(p.59)

●私たちが「日本の家庭」といった時にまず頭に思い浮かべるのは、夫婦と子供が1人か2人の核家族世帯だろう。ところが、そういう世帯はもはやマジョリティではない。いま日本で最も多いのは「単身世帯(1人暮らし世帯)」なのである(図9を参照)。単身世帯は1960年の約400万世帯から年々大幅に増え続け、2005年に約1333万世帯となって、「夫婦と子供から成る世帯」の約1464万世帯に肩を並べた。すでに単身世帯は夫婦と子供から成る世帯を抜き、2010年中には1500万世帯を超えて全体の3割以上を占めると推計されている。(p.66)

●そもそも価格というのは「認知された価値(Perceived value)」で決まる。認知された価値とは、買っている人が、その価格を払うだけの価値があると思っている、ということだ。(p.75)

●海外事業を任せられる優秀な幹部社員が100人いたとして、そのうち10人を中国に投入する会社は、ほとんどないと思う。社員のほうも長期間は中国に赴任したがらない。しかし、かつて日本企業は、優秀な幹部社員の大半をアメリカに投入した。たとえば、ソニーは今から35年ほど前、創業者の盛田昭夫氏が将来のソニーを背負って立つと見た若手7人を全員ニューヨークに派遣し、数年間にわたって同じ釜の飯を食わせた。盛田氏自身も一時は家族を連れてニューヨークに移り住んだほどである。そういう意気込みでトップクラスの社員を日本から送り込み、現地に骨を埋める覚悟でやらせないと、中国の国内市場に入り込むことはできないだろう。(p.110)

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●そもそもインドネシアは驚くほど大きな国である。面積は約189万平方キロと日本の5倍以上。国土は東西5100キロ、南北1900キロもあり、東西の総距離は北米大陸横断やヨーロッパ大陸横断にも匹敵する。人口は約2億2800万人で日本の2倍近い。(p.117)

●インドネシアをはじめとする新興国では、アンビション(野心)というものがまだまだ通用する。現地事情に疎い日本の本社はほとんど放ったらかしにしているから、自分の好きなように仕事ができる。マーケットが縮小する日本では努力しても報われないことが多いが、新興国にはまだまだチャンスが眠っている。要は考え方次第、心の持ち方次第ということになる。(p.122)

●ルーマニアの発展は始まったばかりで、今後の成長の可能性は地域別に見ると大きく分けて3つあると思う。まず、ブカレストは教育レベルの高い学術都市なので、知的産業が集積するだろう。次に、ドラキュラ伯爵で有名な北西部のトランシルヴァニア地方。この地域には、ノキアのようなEU向けの数千人規模の工場であれば、中国に負けないコストで立地できる町がいくつもある。そして、世界遺産に登録されているドナウ・デルタ。~(中略)~さらに、ルーマニアは農産物や畜産物が美味しくて安い。私たちはワイナリーを訪れて併設のレストランでランチを食べたが、そこで供された肉や野菜は実に美味だった。(p.140)

●海外に赴任する場合、その新しい赴任先に着いたら、まず「現地の人たちのほうが自分たちよりも優秀なのだ」と自分に信じ込ませる。すると、現場と同じ目線で、職場の問題点が眺められることが多いのだ。しかし現実には、新たな赴任者は往々にして、先に出向している日本人社員の"肩越し"から現地社員を見る。そうすると、どうしても最初から偏見や先入観を持ってしまう。(p.142)

●ただし、韓国の好調は今後10年も続かないだろう。いま好循環に入って約5年を経ているが、長期的にはアメリカ化したことが弱さになってくると思う。~(中略)~しかも、韓国は日本より少子化が進んでいる。~(中略)~したがって、このあと韓国が1人当たりGDPや技術レベルなどで日本に追いついたら、国民の緊張感が緩んで日本と同じく衰退国家になるのは避けられないと思う。(p.182)

●ちなみに、米誌『ビジネスウィーク』(2010年6月7日号)によれば、アメリカの就職率は24.4%、日本が91.8%、中国が70%、イギリスはなんと15%である。これで大騒ぎして補助金まで出す日本という国の「甘えの構造」を思い知るべきだ。大学を出ても自動的に職が見つかるわけじゃない、というところから若者の死に物狂いの人生行路が始まるのが世界の常識なのである。(p.193)

●興味深い記事が『ビジネスウィーク』(2010年3月8日号)に掲載されていた。グーグルから出発した人脈図がそれで、現在もグーグルを支える副社長のメリッサ・マイヤーをはじめ、「ツイッター」を生んだエヴァン・ウィリアムズやビズ・ストーンなど、グーグルが生んだ綺羅(きら)星のごとき人材(起業家)と彼らが育てた200社近いベンチャー企業が見開きの図いっぱいにプロットされ、それぞれの人間関係=ネットワークが描かれている。(p.195)
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